Author Archives: 川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】

【寄稿】
  • 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
  • 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
  • 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」

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■最近の講演・セミナー実績
  • 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
    兵庫県指定観光名産品協会様主催。
  • 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
    食品技術士センター様主催。
  • 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
    一般財団法人食品産業センター様主催。
  • 2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
    一般財団法人日本能率協会様主催。
  • 2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
    一般財団法人食品産業センター様主催。

>> 講演・セミナーの詳細はこちら

食薬区分の例示の一部改正と原材料確認について

 2026年8月5日、厚生労働省医薬局より「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」の一部改正の通知が公表されました。主な改正内容ともに、通知の基本的な情報についてもこの機会に整理してみたいと思います。

 「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」は、個別の原材料が医薬品に該当するかを判断するために例示としてまとめられたリストです(人が経口的に服用する物が医薬品に該当するかどうかは「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」により判断されます)。そしてリストには、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(以下「専ら医リスト」)と「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(以下「非医リスト」)の2種類があります。

 今回(2026年8月)改正があったのは、主に以下の3点です。

①専ら医リストの植物由来物等の表に学名欄を追加(その他名称欄等の整備)
②専ら医リストの動物由来等の表のうちセンソの他名と部位、レイヨウカクの他名
③非医リストの植物由来等の表のうちイザヨイバラの部位、クラミドモナス・ラインハルチーの学名と他名、ショクヨウホオズキの備考、バラ属の部位と備考

 専ら医リストは、「医薬品と判断される原材料はないか」を確認する際に参照します。例えばリストの最初の行より、アオワニの学名(Aloe ferox Mill.)、他名(アロエ/ケープアロエ)、部位等(葉の液汁)、備考(根・葉肉は「非医」、キダチアロエの葉は「非医」)の規定が確認できます。そして非医リストは、「医薬品と判断されない原材料であるか」を確認する際に参照します。例えばアオワニの欄では、「部位等(根・葉肉)、備考(葉の液汁(アロエ)は「医」)」の規定が確認できます。

 ここでリストを確認しようとWEB上で検索する際には、改正前の過去のリストを参照しないよう注意が必要となります。過去の主な改正としては、2020年に「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別添から「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」に独立する制度改正があったこと、そして2021年から2023年にかけて数回の一部改正(新規成分の追加、一部成分の非医から専ら医への移行等)があったことに注意するとよいと思います。

 以上のように、専ら医リストは「医薬品原材料の例示」、非医リストは「非医薬品(食品)原材料の例示」として考えておくと、使用する原材料の確認時に参考になると思います。なお海外にもこれに近いリストもあり、例えば台湾には、「可同時提供食品使用之中薬材」(食品に使用できる漢方薬のリスト)と「可供食品使用原料彙整一覽表」(食品への使用が認められている原材料リスト)があります。そして中国では「按照传统既是食品又是中药材的物质(2025年版)」(食品と漢方薬の両方で使用される原材料リスト)を、また韓国では「食品原材料リスト」をそれぞれ確認することができます。

 これらは日本の制度とは異なるものではありますが、医薬品(または認可が必要な「新規食品」)に該当する原材料は何か、食品として使用できる原材料は何かを確認するうえでは参考になると思います。特に健康食品に使用される原材料を含む製品においては、添加物などの原材料の確認業務と合わせて、同様の制度について確認をされるとよいと思います。



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コーデックス委員会、予防的アレルゲン表示(PAL)ガイドラインを採択

 2026年7月10日、コーデックス委員会は第49回会合で「予防的アレルゲン表示(precautionary allergen labelling:以下「PAL」)」と呼ばれる表示に関するガイドラインを正式に採択することを発表しました。同ガイドラインは「包装済み一般食品の表示に関する一般規格(CXS 1-1985)」に組み込まれる予定(暫定版はこちら)です。

 PALとは、「“may contain nuts”(ナッツ類が含まれている可能性があります)」などの表示を指します。意図せずアレルゲンが混入するリスクがあることを示すために記載される警告表示ですが、この表示が過剰に使用されたり誤用されたりする傾向があるとして、ガイドラインの策定に至った経緯があります。

 ガイドラインでは、アレルゲンの管理を「食品事業者向けアレルゲン管理実施規範(CXC 80-2020)」により実施し、そのうえでアレルゲンの意図しない混入を防止または管理できない場合には、科学的根拠に基づいたリスク評価の判定基準を利用することを定めています。

アレルゲン品目(IgE介在型) 参照用量
(総たんぱく質量mg)
アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミアナッツ、松の実、くるみ、ペカンナッツ、セロリ、マスタード 1.0
ピーナッツ、卵、乳、ごま 2.0
ヘーゼルナッツ 3.0
小麦、魚 5.0
そば、ルピナス、大豆 10.0
甲殻類 200.0
アレルゲン品目(セリアック病) 参照用量
(総グルテン質量mg)
グルテンを含む穀類(小麦、ライ麦、大麦) 4.0

(※グルテンを含む穀類についてPALを使用する場合、「グルテンフリー」という用語を使用してはならない。)

 リスク評価の判定はアレルゲン品目別の参照用量(表)に基づき、意図しない混入量がアクションレベル(摂取食品重量に換算したときの濃度)を超えている場合にはPALを使用します。一方でアクションレベル以下である場合にはPALは使用できないため、PALは厳密に必要な場合にのみ使用されることになります。

 今回の採択により、各国や地域における検討も広がるものと思われます。例えば米国では「may contain」等による警告表示を「Allergen Advisory Statements (AAS)」と呼んでおり、2026年2月にFDA(米国食品医薬品局)により実施されたアレルゲン閾値の設定に関する意見交換会でも取り上げています。
 また英国はコーデックスのガイドライン策定に積極的に参加しており、PALの表示基準(閾値の設定を含む)について、FSA(食品基準庁)による見解が公表されています。EUでは公式のパブリックコンサルテーションサイトにおいて、EU全体でのPALの使用の統一に関する法案の検討予定(2027年第4四半期)が公表されています。

 なお、日本では「May Contain ○○」にあたるアレルゲンの可能性表示は禁止されており、コンタミネーション防止対策の徹底を図ってもなおコンタミネーションの可能性が排除できない場合は注意喚起表記(例:「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています。」)が推奨されています(「食品表示基準について」 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示 第1-3-(5),(6))。
 食品の輸出入にあたっては、こうした制度の違いと動向を踏まえておくことが求められます。まずは今回採択されたガイドラインを含む一般規格(CXS 1-1985)の統合版が公表され次第、目を通しておかれるとよいでしょう。



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各国の期限表示制度と実務上の注意点について

 2026年7月1日より、米国カリフォルニア州において新たな期限表示制度が始まります。これまで「Sell by」などの多様な表示も認められてきたところ、食品廃棄問題を背景に、「BEST if Used By」、「Use By」等の標準化された表示が義務付けられます。この機会に、各国および地域における期限表示制度の違いなどを整理してみたいと思います。  

 期限表示とは「賞味期限」や「消費期限」などの用語とともに、年月日などの日付により表示されるものを指します。食品の輸出入時における確認事項としては、主に以下の点に注意する必要があるといえます。

  • 国や地域により、表示事項(「賞味期限」「消費期限」などの定義)が異なる
  • 国や地域により、表示方法(「年月日」の表示順、表示位置など)が異なる

 例えば日本では、「賞味期限は年月日の順で表示する(3ヶ月を超える場合は年月の順で表示できる)」「品質が急速に劣化しやすい食品は消費期限を年月日で表示する」とされています。(例:「賞味期限:2026.6.30」)

 米国では乳児用調製粉乳を除き、食品の期限表示に関する連邦規制はありません。ただしカリフォルニア州では義務化が開始され、品質期限(Quality Dates)の場合は「BEST if Used by」または「BEST if Used or Frozen by」、安全期限(Safety Dates)の場合は「USE by」または「USE by or Freeze by」により表示します。詳細は同州のWEBサイトを参照してください。表示順の明示はありませんが、一般的に「月日年」で表示します。(例:「BEST If Used By:MM/DD/YYYY」)
現在“Food Date Labeling Act(食品期限表示法)”の審議中)

 EUでは賞味期限(minimum durability date)の場合は「Best before …」「Best before end …」を、消費期限(‘use by’ date)の場合は「Use by …」を各加盟国の言語により表示します。表示順 は、「日 月 年」で す。(例:「À consommer de préférence avant le : DD/MM/YYYY」)

 表示順が「年月日」である国や地域としては、日本のほかに台湾、韓国、中国とカナダをあげることができます。例えば台湾では「有效日期(消費期限)」(賞味期限ではない)の表示事項と表示の位置を「年月日」とあわせて表示します(例:「有效日期:見包裝(西元YYYY/MM/DD)」)。そして韓国では表示事項(「消費期限」、「消費期限又は品質保持期限」など)が食品別に定められていること(例:チョコレート菓子の場合は「消費期限」)、中国では「製造日および賞味期限」(「製造日」も必要)とされていることに注意が必要です。

 ここまで、主に表示事項と表示方法の違いをいくつかまとめてみましたが、日付については表示案作成段階において空欄とされることが多く、とりわけ「表示順」(月日年と年月日)の違いに注意が必要といえます。見落としを防ぐためにも、表示案やデザインの段階で「DD/MM/YYYY」など予め入れておくと気づきやすくなると思います。  

 期限表示については食品廃棄問題の背景を受け、近年で各国や地域でいくつか改正の提案がされており、例えば“use by” や“best before”の表示方法について消費者が誤解をすることのないよう、用語、形式、視覚的表現の点での改善が検討されています。日本においても、2025年3月に「食品期限表示の設定のためのガイドライン」が見直しされたばかりですので、今後もこうした動向にも注目しておかれるとよいと思います。



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台湾「赤黄緑」評価システムの草案とFSANZ「Health Star Rating」 システムの義務化検討について

 2026年4月10日、台湾食品医薬局(TFDA)は食品の栄養成分表示に導入する「赤黄緑」評価システムの草案を発表しました。また4月21日、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は食品の栄養成分を評価し表示する「Health Star Rating System」の義務化について意見募集をすると発表しました。

 どちらも栄養成分のFOP(包装前面表示)に関わる制度ですが、近年では各国または地域で様々な制度が発表されていますので、方式(GDA方式とスコアリング方式)の違いにも触れつつニュースを整理していきたいと思います。

台湾

 現在策定中のガイドラインでは「糖類」「ナトリウム」「飽和脂肪」が対象とされており、「赤(高い)」「黄(中間)」「緑(低い)」の評価のための閾値が定めてあります。(固形食品100gあたり(括弧内は液体食品100mlあたり))

1.赤(高)糖類15g(7.5g)、ナトリウム500mg(250mg)、飽和脂肪4.5g(2.25g)
2.黄(中)上記1(赤)と下記3(緑)の間にある場合
3.緑(低)糖類5g(2.5g)、ナトリウム120mg(120mg)、飽和脂肪1.5g(0.75g)

 図解ガイド(PDFダウンロード)も公表されており、茶飲料の例が掲載されていますので表示部分を抜粋します。FOPのデザインは「GDA(1日摂取量ガイドライン)方式」をベースとしつつ、「閾値」をもとに赤黄緑に評価される方式です。今後、この草案についての意見募集がなされる予定です。

FSANZ

 オーストラリア・ニュージーランドにおける「Health Star Rating System」(健康スター評価)は、所定のアルゴリズムにもとづき評価されたスコアを星の数で表示する「スコアリング方式」のFOPです。

 意見募集ページに詳細資料がいくつか公開されていますので、表示例を抜粋します。これまで任意の制度でしたが、これを義務化するというのが今回の意見募集の趣旨となっています。募集期間は2026年6月21までです。

 栄養成分のFOPは国または地域で様々ですが、「GDA方式」の例としてはタイ(義務)を、「スコアリング方式」の例としてはオーストラリア・ニュージーランド(任意)のほかシンガポール(義務)とフランス(任意)の制度を挙げることができると思います。「スコアリング方式」のほうが一歩踏み込んでいる分、評価の方法が難しいとされています。今回の台湾の「赤黄緑」評価システムは「GDA方式」に「閾値」を組み合わせたもので両方式の中間にあたり、同様の例に英国(任意)の制度があります。

 なお、日本では2026年2月に「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」と「<参考情報>日本版包装前面栄養表示ガイドライン関するQ&A」が公表されています。任意のFOP制度で、「GDA方式」にあたるといえます。日本への輸入や、海外各国への輸出を検討される場合の参考にしていただければと思います。



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食品表示基準の改正と各自治体の条例について

 2026年4月の食品表示基準改正に伴い、東京都、大阪市など各自治体による条例も一部改正がなされています。今回は、それらの条例に基づく品質表示基準の内容と、主な改正について整理したいと思います。

 各自治体による条例とは、東京都消費生活条例、大阪市消費者保護条例などの地域別に定められたものを指します。そしてそれらの条例に基づく品質表示基準は、国の食品表示基準に対して追加的な規則を定めたものといえます。各地域内で流通、販売される食品が対象となるため、海外で製造された輸入食品でも同様の確認が必要です。

主な条例と対象品目

 以下に、個別の品目に関する表示ルールを定めた主な条例を整理します。対象となる品目名は、2026年4月改正後のものを掲載しています。

自治体名対象となる品目名
東京都3品目(調理冷凍食品、かまぼこ類、はちみつ類)
神奈川県(※告示1品目(かまぼこ類)
川崎市1品目(かまぼこ類)
名古屋市(※告示1品目(かまぼこ類)
京都市9品目(プレミックス類、生めん類、つくだ煮類及び煮豆、焼き肉のたれ類、ふりかけ類、緑茶、インスタントコーヒー、カレールウ、調理冷凍食品)
大阪市10品目(蒸しかまぼこ類、焼肉のたれ類、鶏卵、生めん類、つくだ煮及び煮豆、緑茶、カレールウ、インスタントコーヒー、ふりかけ類、カットフルーツ)

※本稿執筆時点(2026年4月24日)では、更新された基準全文の公開はされていません。

個別の表示事項の例

例1)「原料原産地名」の表示(東京都)

 対象は輸入品を除く調理冷凍食品の主な原材料(重量割合上位3位までかつ5%以上の原材料及び商品名等にその名称が付された原材料)です(ただし容器又は包装への表示が極めて困難な場合には、表示事項の情報を別途提供する旨を記載することにより、表示に代えることもできます)。国の食品表示基準では「重量割合が最も高い原材料」が対象であるため、追加的な表示基準といえます。 東京都の定義する「調理冷凍食品」(アイスクリーム類、菓子類を冷凍させたものは除く)と原料原産地名表示の適用範囲の詳細については、「調理冷凍食品品質表示実施要領」(およびQ&A)を参照してください。なお、調理冷凍食品における「原材料配合割合」の表示(東京都)については、改正により廃止されました。

例2)「使用上の注意」の表示(大阪市、京都市等)

 対象は焼肉のたれ類、つくだ煮及び煮豆、緑茶など多数の品目で、輸入品も対象となります。国の食品表示基準では4品目(ジャム類、農産物缶詰及び農産物瓶詰、畜産物缶詰及び畜産物瓶詰、調理食品缶詰及び調理食品瓶詰)が対象であるため、こちらも追加的な表示基準といえます。なお、京都市の条例では調理冷凍食品に対する「原材料配合割合」は廃止されたものの、「使用上の注意」は残るため注意が必要です。

実務上の注意点

 ここまでの注意点をまとめると、国の食品表示基準においても改廃が行われた「調理冷凍食品」については、とりわけ慎重な確認が望まれると思います。「凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別」の表示方法も改正されていますので、あらためて食品表示基準Q&A(表示例は“(加工-181-2)”)などを確認されておくとよいでしょう。



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食品表示基準が改正されました

ピスタチオ

 2026年4月1日、食品表示基準の一部改正(「新旧対照条文」)が公布され、同日に施行されました。改正案から大きな変更はありません(※別表第20(表示の方式)の「食酢」に一部修正)。改正の概要は以下のとおりです。

食品表示基準の改正概要

  • カシューナッツを特定原材料(アレルゲン義務表示品目)へ移行(改正対象:別表第14)
  • 個別品目ごとの表示ルールの改正(改正対象:別表第3、4、5、13、19、20、22、23)

 個別品目ごとの表示ルールの改正は多岐に渡りますが、なかでも別表第4(「名称」、「原材料名」等の個別の表示方法)と別表第19(「殺菌方法」、「使用上の注意」等の個別の表示事項)が大幅に改正(廃止)されており、全体的に横断的な表示ルールに寄せる改正となっています。
 また通知(「食品表示基準について」、「食品表示基準Q&Aについて」)においても、食品表示基準の改正にあわせて多数の変更がなされています。

通知(「食品表示基準について(新旧対照表)」の主な改正内容

  • カシューナッツの確認検査の方法(リアルタイムPCR法、PCR-核酸クロマト法又はLC-MS/MS法)の追加
  • ピスタチオを特定原材料に準ずるもの(アレルゲン推奨表示品目)に追加
  • 上記にあわせて特定原材料等の範囲(別表1)、特定原材料等由来の添加物(別表2)、および特定原材料等の代替表記等方法リスト(別表3)の修正
  • 凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別について、冷凍食品である旨の表示に近接した箇所に表示する規定を追加

 アレルゲン表示の品目数は、今回の改正により特定原材料(義務)9品目、特定原材料に準ずるもの(推奨)20品目の計29品目となりました。推奨品目を対象としているかを分かりやすくするためにも、「特定原材料9品目」または「特定原材料に準ずる20品目を含む29品目」と、一括表示の外に表示するよう努める必要があります。

通知(「食品表示基準Q&Aについて(新旧対照表)」)の主な改正内容

  • 凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別の表示方法の追加(加工ー181ー2)
  • ソーセージのケーシング(皮)等の表示方法の追加(加工ー56ー2)
  • 果実飲料の原材料として使用する柑橘類の表示方法の追加(加工ー65ー2) 
  • その他、個別品目(食用植物油脂、即席めん等)ごとの表示ルールの改正にともなう変更

 改正Q&Aには表示例もあわせて掲載されていますので、確認しておくとよいでしょう。

 経過措置期間について、アレルギー表示の改正は令和10年(2028年)3月31日まで、個別品目ごとの表示ルールの改正は令和12年(2030年)3月31日までです。
 そのほか、2月に「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」「<参考情報>日本版包装前面栄養表示ガイドライン関するQ&A」も公表されていますので、今後改版を計画する際に、あわせて参照されるとよいと思います。



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輸出時の食品表示実務の大切なポイントまとめ

 2026年3月、「基礎からわかる 輸出時の食品表示の実務ガイドブック」(第一法規)が発刊されます。食品の輸出時における基本的な制度と、各国の制度等の確認とそれに基づく表示確認の手順について解説した実務書です。今回は、その中でも表示確認実務における大切なポイントを整理したいと思います。

 まずは食品表示の実務において確認すべき「制度」ですが、ここでは「表示基準」をはじめ、「添加物(使用基準、成分規格等)」と「食品規格(構成原材料等の定義、規格基準等)」などの食品関連規制(動植物検疫などの輸入規制を除く)と定義したいと思います。そしてこれらの制度についての確認手順は、以下のように表すことができます。ポイントは、表示基準、添加物、食品規格の関連性に注意することです。

  • その製品は、何の「食品」に該当するか
  • その食品に、その「添加物」は使用できるか
  • その食品にその原料を使用して、その「表示」ができるか

 例えば食品の名称や原材料名を表示しようとする際に「一般的な名称を使用すること」、「正式な名称を使用すること」といった表示基準がある場合、何の根拠をもって「一般的」や「正式」といえるかを考える必要があります。また「〇〇(食品名)にのみ使用可能」といった添加物の使用基準がある場合もそうですが、「その食品について定義や規格基準を定めたもの」(食品規格)はないかを探すことになります。

 ただしこれらの制度は国や地域によって異なるため、以下のような課題もあります。

  • 食品規格における定義(例:チョコレート)が同じとは限らない。また食品規格自体があるとは限らない。
  • 添加物の使用基準が同じとは限らない(自国で使用できる原材料や添加物が、輸出先で使用できないこともある)。
  • 表示基準に定めのある用語の定義(例:炭水化物、糖質)が同じとは限らない。

 こうした課題を踏まえて各国の詳細な基準を調査し、以下の確認手順で原材料チェックから表示案作成まで進めます。

  1. 食品規格(製品の規格、製品の主要原材料の規格、定義に関わる原材料の規格)
  2. 添加物(優先調査すべき添加物の特定、添加物一覧と使用基準、添加物の成分規格)
  3. 表示基準(表示事項(横断的義務表示、個別的義務表示事項等)、表示方法(名称と原材料名等、栄養成分関連)、表示禁止事項)

 添加物の規制により使用原材料を変更することは多く、その際に食品規格の要件(構成原材料等)への影響を確認しておかないと、表示案作成の段階になって「一般的な名称が使用できない(例:チョコレートと表示できない)」ことも起こり得ます。確認工程の早めの段階から、これらの制度の関連性に注意しておくことが大切といえるでしょう。

 今回は輸出時のポイントとして整理しましたが、例えば日本へ輸入しようとするときの手順も、基本的には同じです。「基礎からわかる 輸出時の食品表示の実務ガイドブック」では、いくつかの国や地域を事例として取り上げていますが、なるべく多くの国や地域で、なるべく多くの食品で共通する確認視点をもとに整理して解説することを心掛けてみました。皆さんのお役に立つことができればうれしく思います。



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食品表示に関する制度改正状況について(2026年版)(2)

 近く改正予定の食品表示基準について、「食品表示基準及び食品表示法第六条第八項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」として意見募集(2025年12月26日~2026年1月30日)がなされました。改正内容が多く、かつ複雑であるため、第80回食品表示部会の「【資料2】食品表示基準の一部改正について」を参考に概要を整理したいと思います。

改正案のまとめ

1.個別品目ごとの表示ルール(旧JAS法由来事項)の改正

昨年に続き、新たに22品目について個別の原材料名、添加物、内容量の表示ルールや表示禁止事項等を廃止し、食品の定義や名称の規制なども一部改正。1品⽬(混合プレスハム)については完全に廃⽌。

例)マヨネーズ以外のドレッシング(「サラダクリーミードレッシング」「半固体状ドレッシング」「乳化液状ドレッシング」「分離液状ドレッシング」)は「ドレッシング」、ドレッシングタイプ調味料は「ノンオイルドレッシング」(定義に該当するものに限る)の名称の表示が可能に。

例)⾷⽤植物油脂の定義は限定列挙形式(⾷⽤サフラワー油、⾷⽤ぶどう油、⾷⽤⼤⾖油等)を廃⽌し、「植物の種⼦や果⾁などから採取した油であって⾷⽤に適するように処理したもの」と改め、あわせて名称も改正。

例)果実飲料の原材料名表示における『複数果実を使⽤した際、「果実」で括り、さらにその重量順で3番⽬以降の果実を「その他」と表⽰できる』を廃止。これに伴い、「柑橘類」でまとめる表示についてQ&Aに追加される。

2.個別品目ごとの表示ルール(旧食品衛生法由来事項)の改正

横断的義務表示事項等で代替が可能と考えられる事項、品質に関わるものであって義務的表示である必要がないと考えられる事項については廃止する。

例)食肉製品の「殺菌方法」、「⽔素イオン指数及び⽔分活性(⾮加熱⾷⾁製品)」、乳製品の「含まれる無脂乳固形分及び乳脂肪分の重量百分率」、「容器包装に⼊れた後、加熱殺菌した旨(ナチュラルチーズ)」等は廃止する。

例)食肉製品の「⾮加熱⾷⾁製品である旨」、乳製品の「飲食に供する際に加熱する旨」、冷凍食品の「飲⾷に供する際に加熱を要するかどうかの別」等は維持する。

例)冷凍食品の「凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別」は、『「凍結直前加熱」の⽂字等凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別を表⽰する』に改正する。

3.食物アレルギー表示の改正

カシューナッツを「特定原材料」に移行し、ピスタチオを「特定原材料に準ずるもの」へ追加する。

今後の予定

 今後は消費者委員会への諮問を経て、近く改正が行われる予定です。経過措置期間は、1と2の個別品目ごとの表示ルールの改正は令和12年(2030年)3月31日まで、3のアレルギー表示の改正は令和10年(2028年)3月31日までとなる見込みです。

 とりわけ1の個別品目ごとの表示ルール(旧JAS法由来事項)の改正案は複雑ですが、消費者委員会資料に「分科会における⾷品表⽰の今後の検討課題について」「2年間の検討の結果」として整理されていますので、見直しの全体像を把握されたい場合にはこちらを参照すると分かりやすいと思います。



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食品表示に関する制度改正状況について(2026年版)

 昨年も食品表示制度に関する様々な改正がありましたが、今年も予定されているものもありますので、国内の状況についてあらためて整理してみたいと思います。

ここ数年の主な改正について

 昨年(2025年)3月には、「栄養強化目的で使用した食品添加物に係る表示免除規定の削除」、「栄養素等表示基準値の改正」、「個別品目ごとの表示ルールの見直し」(全42品目中の20品目)と、3つの大きな改正がありました。このうち「個別品目ごとの表示ルールの見直し」については、2025年に残り22品目の見直しとあわせて、旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルール(別表第19関係)の見直しについても検討がなされており、2026年に改正が予定されています。

 さらに「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」と「カシューナッツ」の(アレルゲン)義務表示化についても2025年に検討がなされており、2026年に公表および改正があるものと思われます。特にアレルゲン表示については2023年、2024年にも改正があり、混乱をしないよう注意する必要があります。以下に、ここ数年の主な改正をまとめてみました。

2023年3月アレルゲン表示の改正(くるみの義務品目移行)
遺伝子組換え表示の改正(なたねの追加、なたねの形質(EPA、DHA産生)の追加)
2024年3月アレルゲン表示の改正(推奨品目にマカダミアナッツ追加、まつたけ削除)
2024年8月機能性表示食品の改正(定義、要件、表示事項、表示の方法、表示の方式)
2025年3月栄養強化目的で使用した食品添加物に係る表示免除規定の削除
栄養素等表示基準値の改正
個別品目ごとの表示ルールの見直し(みそ等の20品目)
2025年10月機能性表示食品の改正(表示禁止事項(強調表示要件の一部緩和))
2026年4月個別品目ごとの表示ルールの見直し(調理冷凍食品)
2026年予定個別品目ごとの表示ルールの見直し(しょうゆ等の22品目)
個別品目ごとの表示ルールの見直し(旧食品衛生法に由来するもの)
アレルゲン表示の改正(カシューナッツの義務品目移行、ピスタチオの推奨品目への追加)
日本版包装前面栄養表示ガイドライン公表
今後の予定栄養機能食品の改正(上限値・下限値、栄養成分の機能等)
食品表示へのデジタルツールの活用

※調理冷凍食品については、「東京都消費生活条例に基づく食品表示の見直し」も検討されています。

今後の予定について

 その他、栄養機能食品の改正(上限値・下限値、栄養成分の機能等)や、デジタルツールの活用についても検討がなされている状況です。2026年に予定されている個別品目ごとの表示ルール見直し(しょうゆ等の22品目、旧食品衛生法に由来するもの)の改正案は、複雑なものになりそうですが、近く公表されるものと思われます。 以上、今後の食品表示制度に関する改正状況について簡単にまとめてみました。アレルゲン表示をはじめ、実務上で大きな影響がある改正がいくつもありますので、あらためて確認をしていただく機会になればと思います。

【2026/1/5追記】
第2回令和7年度食品表示懇談会(2025年12月19日)の資料として、個別品⽬ごとの表⽰ルール⾒直し分科会における検討状況のまとめ資料(「旧JAS法由来事項」「旧食品衛生法由来事項」)が公開されています。



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韓国の「ナトリウム・糖類低減表示基準」改正について

 2025年10月20日、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は「ナトリウム・糖類低減表示基準」を改正した告示(2025-68号)を公布しました。本改正は2024年10月17日に施行された一部改正(告示第2024-63号)に続き、適用対象食品の拡大と制度の詳細化がなされていますので、こちらに整理したいと思います。

<ポイント>

  • 「低減表示」の対象食品は限定されていたが、改正により段階的(2024年、2025年)に拡大された
  • 対象食品は、ナトリウム低減と糖類低減で区分されている
  • 比較対象には、食品カテゴリーごとの平均値データを使用する

 以下が、2025年10月改正の低減表示基準です。

第4条(表示基準)

① 次の各号のいずれかに該当する場合、「少ない、減量、ライト、低減、低」及びこれに類似する用語を用いてナトリウム・糖類低減表示を行うことができる。

 1. 細分類別の平均値を基準として10%以上低減した場合。この場合、細分類別の平均値は、市販流通中の食品の細分類別ナトリウム・糖類含有量の平均値を対象に算出する。
2. 細分類別の自社類似製品と比較単位当たり25%以上削減した場合(ただし、食品の細分類別ナトリウム・糖類含有量の平均値以下の場合に限る。)

② 第1項第1号に基づく細分類別の平均値は、食品医薬品安全処のホームページに掲載する方法で通知することができる。

③ 比較単位は1回提供量当たりとする。ただし、個分けなどによって分割可能な製品において、その単位内容量が100g以上であるか、または1回摂取参考量以上の食品の比較単位は、単位内容量とする。

 対象食品(第3条)としては、ナトリウム低減では麺類やスープ製品、糖類低減ではパン類やアイスクリームなどがリストアップされており、2025年10月の改正ではスープ製品やパン類等の品目拡大と、チョコレートの追加などがされています。対象食品の分類詳細は、告示巻末の別紙に整理されています。

 韓国への輸出食品に同様の表示をしようとする際は、特に「比較対象」の違いに注意が必要です。例えば日本の食品表示基準(第七条)の「低減された旨(別表第十三)」も他の同種の食品と比較して「〇〇%カット」等と表示することができますが、比較対象は事業者の任意(自社の類似商品など)で設定することができます。

 しかし韓国の「ナトリウム・糖類低減表示基準」は、MFDSが定める食品カテゴリーごとの平均値データが比較対象の基準となる点で大きく異なるといえます。また韓国には個別の食品規格(定義や規格基準)がありますので、輸出する際には自社製品の食品規格への適合性を確認することも、あわせて重要になると思います。

 同様の表示を予定されている方には、MFDSの事業者向けガイドライン(2024年12月時点)がイラスト付きで分かりやすいと思います。こちらで制度の大枠を確認したのちに、2025年の改正内容を確認されるとよいでしょう。



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