
2025年10月1日、消費者庁より食品表示基準等の一部改正が公表されました。これまで表示禁止事項とされていた機能性関与成分以外の成分を強調する用語のうち、成分を添加していないこと、成分を含まないこと等の表示については、一般的な食品と同様に容器包装上への表示が可能とするよう改正されています。
第9条および第23条の改正点(基準「新旧対照条文」より一部抜粋)
| 改正前 | 栄養成分の補給ができる旨の表示及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示をする場合を除き、消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を含む)を強調する用語 |
|---|---|
| 改正後 | 消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を除く)を含むことを強調する用語 |
改正により可能となる表示として、「砂糖不使用」「食塩無添加」や、「糖質オフ」「ノンカフェイン」等が想定されています(「機能性表示食品における「成分を強調する用語」について(消費者庁)」参照)。
「食品表示基準Q&A」も改正されており、これまでどおり表示禁止事項とされている「含むことを強調する用語」の表示例についてのQ&A(加工-277-2)が追加されました。(Q&A「新旧対照表」より一部抜粋)
1 機能性表示食品に関して表示禁止事項としている、「含むことを強調する用語」の対象となる成分は、届け出た機能性関与成分及び食品表示基準別表第9の第1欄に掲げる栄養成分以外の成分です。
2 1の表示禁止の対象となる成分としては、例えば、以下の表示が該当します。
・含むことの表示や強化されたことの表示
・別記様式2又は3による栄養成分表示に近接した箇所(栄養成分表示の枠の下等)以外の箇所における成分名とその含有量を併記した表示
3 なお、成分を含まないことや使用していないこと、成分の量が低減されたことの表示は、「含むことを強調する用語」には該当しません。
別表第9の第1欄に掲げる栄養成分とは、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを指します。これまでどおり禁止される表示の例として、「GABAたっぷり」「難消化性デキストリン強化」等が想定されています。
ビタミンやミネラルなどについては、これまでどおり「含むこと」の強調は可能です。ただし「機能性表示食品の届出等に関する手引き」の表示禁止事項が改正されている点に注意が必要です。(手引き「新旧対照表」より一部抜粋)
(c)食品表示基準別表第9に掲げられている栄養成分のうち、過剰摂取により健康障害のリスクが想定される成分及び含有量については、加工食品において、成分名をその含有量とともに主要面等(食品表示基準別記様式3の枠外の下部を除く。)に強調して表示することは、望ましくない。
機能性表示食品は反復・継続して摂取されることが見込まれることから、「日本人の食事摂取基準」の「耐容上限量」に達しないよう留意するなど、合理的理由をもって含有量の設定をすることが必要とされています。
食品表示基準は3月にも改正されており、今年2回目となります。改正履歴を確認する際は「これまでの食品表示基準の改正概要について」を、詳細は「食品表示基準のこれまでの改正」を参照すると分かりやすいと思います。
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川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
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一般財団法人食品産業センター様主催。
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