機能性表示食品の表示禁止事項に関する改正案および旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルールの見直しについて

By | 2025年7月4日

 2025年6月13日、消費者庁は「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」に関する意見募集が開始されたことを公表しました。

 機能性表示食品においては、一部を除いて機能性関与成分以外の成分を強調する用語の表示が表示禁止事項とされています。改正案(第9条、第23条)では、強調する用語のうち「成分を添加していないこと」、「成分を含まないこと」等についての表示が可能となるよう、見直しがなされています。なお、届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を除く)を「含むこと」を強調する用語については、引き続き表示禁止事項のままとされています。

改正前第七条の規定に基づく栄養成分の補給ができる旨の表示及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示をする場合を除き、消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第九の第一欄に掲げる栄養成分を含む)を強調する用語
改正後消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第九の第一欄に掲げる栄養成分を除く)を含むことを強調する用語

 改正により、機能性表示食品においてもその他の一般的な食品と同様に、適切な摂取ができる旨の基準の定めのない成分の強調表示も可能になるものと思われます。意見募集期間は7月14日までです。

 また2025年6月25日、消費者庁は「第1回令和7年度食品表示懇談会」の資料として、「旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルールの見直しについて(別表第19、20関係)」を公開しました。 旧食品衛生法に由来する表示ルールとして、主に「食品、添加物等の規格基準」等の内容を表示させるものが別表第19と20に定められており、これらの表示ルールについて、「個別品目ごとの表示ルールの見直し分科会」において旧JAS法に由来する個別の表示ルールに加えて見直しの検討がなされる予定です。

別表第19の例(一部抜粋)

食品表示事項表示の方法
食肉製品水素イオン指数及び水分活性「pH」等水素イオン指数を示す文字を付してその値を表示、水分活性を示す文字を付してその値を表示
冷凍食品凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別を表示(例:「凍結前加熱」)

 見直しの対象は食肉製品、乳、乳製品、乳又は乳製品を主要原料とする食品のほか、冷凍食品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、缶詰の食品など多数ありますので、詳細は資料を参照してください。なお、生鮮食品は見直しの対象外とされています。

 改正案検討後は、旧JAS法由来の個別ルールと同時の施行を目指す予定とされています。日本版FOPNL(容器包装前面栄養成分表示)ガイドラインも含めたスケジュールが「今後の進め方」に掲載されていますので、あわせて確認しておかれるといと思います。



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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

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