中国の「包装済み食品の表示に関する一般規則」が改正されました

By | 2025年5月7日

 2025年3月27日、中国国家衛生健康委員会(NHC)と国家市場監督管理総局(SAMR)は共同で、「包装済み食品の表示に関する一般規則」(GB 7718-2025)を公表しました。また同日に「包装済み食品の栄養表示規則」(GB 28050-2025)も公表されており、どちらも発効は2027年3月16日となっています。中国における包括的な規則であり、大きな改正がされていますので、こちらに整理したいと思います。

主な改正点

<GB 7718-2025>

  • 「製造日および賞味期間」を「製造日および賞味期限(表示順序は「年月日」)」に変更。
    また製造日の記載を不要とする賞味期限を、1年から6ヶ月に変更。
  • アレルゲン情報を推奨表示から義務表示へ変更。
    一括表記または個別表記で表示し、個別の場合は該当原材料名を太字または下線で表示する。
  • 添加物の機能分類名称とあわせてINS番号を表示する場合の要件の変更。
    容器包装の最大表面積が60㎠以下の場合、一般名称の代わりに表示できる。
  • デジタルラベルの表示要件を追加。
    包装済み食品に表示すべき事項をデジタルラベルで表示し、関連法規に従い包装ラベル情報を簡素化できる。
  • 1つ以上の原材料や成分について含む、多い、含まない、少ないなど強調する場合は、定量表示をする。
    定量表示には、具体的な数値や割合をもって、「≥」、「以上」、または「≤」、「以下」を使用する。
  • 「无」(なし)または「不含」(含まない)等の用語を使用する場合は、含有量は「0」である必要がある。
    「不添加」「不使用」およびその同義語(「零添加」「没用」「未用」等)は使用してはならない。 等

<GB 28050-2025>

  • 栄養成分の義務表示の対象に、糖類と飽和脂肪酸を追加。
  • 栄養成分表示の下に「子供および青少年は塩分、脂質、糖分の過剰摂取を避けるべき」の記載の義務化。
  • その他、栄養成分表示の対象成分の追加と、栄養素等表示基準値(NRV)を改定。

 その他、菌株等の表示要件などに関する基準も追加されるなどの改正がなされています。なお、GB 7718-2025から文字の大きさ、期限表示の方法、製造者情報など、いくつかの表示基準が削除されていますが、こうした表示方法に関する基準は同じく3月に改正された「食品表示監督管理施策」に移行されています。この食品表示監督管理施策では「未成年者向け」といった表示を禁止するなどの改正がなされており、発効は同じく2027年3月16日となっています。
 GB 7718-2025、GB 28050-2025の中国語版と、従前のGB7718-2011、GB 28050-2011の日本語仮訳版は、農林水産省の「中国向け輸出食品の製造等企業登録に係る農林水産省における登録申請受付等について」のうち「新規定ガイダンス(仮訳)」のページより確認することができますので、比較することで詳細を確認できます。
 大幅な改正といえますので、中国向けに食品を輸出される方は、改正版と従前版を比較のうえ、詳細について確認しておかれるとよいと思います。

「食品标识监督管理办法」


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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
・2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
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・2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
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・2025年1月23日 日本の食品表示制度の改正状況~まとめと今後について
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・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
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・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
 一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
 千代田保健所様主催。

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