
2025年に入り、シンガポールと中国で大きな食品表示基準改正がありましたが、今回は少し広めに各国の改正動向について整理してみたいと思います。
米国
2025年4月7日、米国アルコール・たばこ税貿易局(TTB)は、アルコール飲料に対する表示基準改正案の意見募集期間を延長することを公表しました。改正案は、アルコール飲料への「アルコール情報(1杯あたり含有量、熱量、栄養成分量)」表示とアレルゲン表示の義務化に関するものです。4月18日、米国食品安全検査局(FSIS)は、米国食品医薬局(FDA)のアレルゲン表示ガイダンス第5版(2025年1月)に対応し、アレルゲン関連のプログラムと文書を更新することを公表しました。アレルゲン表示対象の「木の実」からココナッツが削除されます。また5月8日、米国食品医薬局(FDA)は、容器包装前面(FOP)栄養成分表示制度に関する意見募集期間を延長することを公表しました。
韓国
2025年4月21日、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は「食品等の表示基準の一部改正」を告示しました。消費者に直接販売しない場合などに限り、外国語で表示された輸入食品にハングル表示事項をステッカー貼付等による表示を許可すること、栄養成分表示の義務対象拡大などの改正がなされています。また1月から2月にかけて、「食品等の表示・広告に関する法律施行規則一部改正令(案)」に対する意見募集がなされました。改正案は、主にデジタル表示(原材料名、品目報告番号等)に関する内容です。
タイ
2025年3月7日、タイ食品医薬局(FDA)より、「栄養成分表示制度に関する草案」に対する意見募集がなされました。栄養成分表示の一部表示要件の改正と、GDA(1日摂取目安量)形式による熱量、糖類、脂質、ナトリウム量の表示基準の改正です。主に「色(文字色、背景色等)」に対する厳しい要件を見直す改正案となっています。 また5月6日、タイFDAにより2件(保健省告示第456号、第457号)の告示があり、玄米粉、ゼリーなどの7つ個別の表示基準の廃止と、製造、輸入および流通が禁止される食品の指定(こんにゃくミニカップゼリーとそれに類するもの)についての改正がなされました。
オーストラリア
2025年4月7日、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、以下の3点の改正案を承認する通知を公表しました(①ウズラ培養肉の新規食品指定、②アルコール飲料への炭水化物、糖類の表示、③アルコール飲料への熱量の表示)。
また、シンガポールのFood Regulations(4月2日記事)ではグルテンフリーの要件が追加されていますが、その他にも原材料名の表示に関する規則(第5条第4項)でも改正がなされています。中国のGB7718-2025およびGB 28050-2025(5月7日記事)については、アレルゲン表示の義務化、栄養成分表示の義務対象成分の追加、無添加・不使用表示の禁止など多くの改正がなされています。
日本の食品表示基準改正(4月2日記事、2月6日記事)の動向とあわせて、これら各国の改正動向についても目を通しておかれるとよいと思います。
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