
2025年1月17日から2025年4月2日まで実施した意見公募の結果を受け、カナダ保健省 (Health Canada) が2025年9月2日より「糖類を含まない旨 (free of sugars)」の表示要件に関する改定を発表しました。
改定の概要
食品医薬規則B.01.513 の栄養成分表示 — 認められる栄養成分に関する表記および強調表示一覧表 (Nutrition Labelling — Table of Permitted Nutrient Content Statements and Claims)をもとに経緯を整理してみます。
2022年以前、「糖類を含まない旨 (free of sugars)」は、1食あたり0.5g未満の糖類を含むほか、「カロリーを含まない旨」の表示要件である「1食あたり5kcal未満」の基準にも準拠する必要がありました。
そして2022年に、「カロリーを含まない旨」の基準から、「低カロリーである旨」の表示要件である1食あたり40kcal以下(※)へと緩和されましたが、その際に、チューインガムの除外規定が削除されました。(またこの改正時に、「0 g sugar」、「zero g sugar」、「0 gram sugar」、「zero gram sugar」など「糖類を含まない」(free of sugars)の類似表現も基準に取り入れられました)
しかし「低カロリー (low in energy)である旨」の表示要件に、参照量30gまたは30mL以下の食品について50gを基準にカロリーを計算するというエネルギー密度の基準があったことから、チューインガムが「糖類を含まない旨 (free of sugars)」の対象外になるなど意図せず影響を与えたため、2025年の改定でチューインガムの除外規定を復活させました。
各国の糖類を含まない旨に関する強調表示
カナダのケースは、強調表示基準に複数の種類の要件を含む場合の注意を学ぶことができます。比較のために各国の「糖類を含まない旨」の基準を見直すと、カロリー関連の明記事項など他の表示の要件が定められている場合もあります。
| 対象国 | 表示要件 |
|---|---|
| カナダ | (a)1食あたりの糖類含有量は0.5g未満 (b) 「低カロリー」の表示要件に適合、1食あたり40kcal以下(※)(チューインガムを除く) |
| アメリカ | (a) 1食あたりの通常消費基準量(RACC)および表示された1食分あたりの糖類含有量は0.5g未満(または、食事・主菜の場合、表示された1食あたりの糖類含有量は0.5g未満) (b) 原材料表示の脚注として「微量の糖類を含む」など(※)明記する場合を除き、糖類である、または一般的に糖類を含むと認識される原材料を含まない (c) カロリーに関連する備考事項を明示すること(例:「低カロリー」または「低カロリー食品ではありません」) |
| EU | 食品100gもしくは飲料100mlあたりの糖類含有量は0.5g以下 |
| 韓国 | 食品100gもしくは飲料100mlあたりの糖類含有量は0.5g未満 |
| 台湾 | 食品100gもしくは飲料100mlあたりの糖類含有量は0.5g以下 |
(No added sugar(糖類不使用)の規則とは異なります)
カナダの2022年改正の例は、「糖類を含まない旨」の強調表示基準値の見直しによる制限の緩和といえます。一方で特定の栄養成分を含む旨の警告表示(またはスコアリング表示)もトレンドといえますので、日本の表示ガイドラインと併せて常に確認しておくことが大事です。
(※)2025年10月29日更新
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王 惠嫻
趣味はカメラ。
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