米国FDA、食品の識別規格52件を撤廃へ

By | 2025年9月5日

 2025年7月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、食品の識別規格(Standards of Identity:SOI)52件を廃止する最終規則を発表しました。これらは「時代に合わない」と判断された規格であり、不要な規制の削減とともに、食品業界の柔軟性を高めることを目的としています。

 SOIとは、例えばジャムにおける果実含有量の基準値など食品の規格を定めたもので、米国では1939年より開始されて以来250件以上が策定されています。ただし現在では栄養成分表示や原材料表示など、表示規制等によって消費者保護が進展していることから、米国FDAは以下の分類によりSOIの見直しを進めてきた経緯があります。

  • SOIの改訂、廃止、新設を決定する際に考慮すべき事項について透明性のある原則を確立する
  • 市場における継続的なイノベーションを可能にするため、個々のSOIに最新技術の反映などの更新を行う
  • より健康的な食品の生産とイノベーションを支援できるよう、SOI の更新を行う

 そして今回、米国では販売されなくなった食品を中心に、以下のSOIの廃止が公表されました。対象となる規格の詳細は、「廃止規定第1弾の影響を受ける食品規格一覧」より確認できます。

缶詰に関する最終規則
およびその補完規則案
11食品
例:人工甘味料使用フルーツ缶詰(アプリコット、チェリー等)、フルーツ缶詰(イチジク、種なしブドウ)、野菜缶詰(トウモロコシ、乾燥えんどう豆)
乳製品に関する規則案18食品
例:乳製品(酸性ミルク、低ナトリウムチェダーチーズ、ヤギミルクアイスクリーム等)
その他食品に関する規則案23食品
例:ミルクパン、強化マカロニ、小麦および大豆ヌードル、冷凍オレンジジュース、オリンピアオイスター、バニリンエキス等)

 缶詰に関する最終規則の施行日は2025年9月22日ですが、それまでに重大な意見があった場合は、補完規則案に切り替えて施行される予定です。また乳製品およびその他食品に関する規則案については、2025年9月15日までパブリックコメントが受付されています。

 時代に合わなくなった食品の識別規格を整理する動きは、近年では米国FDAのほかにシンガポール食品庁(SFA)も同様の方針を打ち出しています。2021年の「Standards of Identityの削除」により、コーデックスなど国際基準と整合した柔軟な制度へ移行するとし、200件以上あるSOIのうち59件が削除されました。また日本でも2024年より「個別品目ごとの表示ルールの見直し」が開始され、これまでに多くの食品に関する個別ルール(食品表示基準別表第三における「食品の定義」を含む)の廃止や改訂の検討と決定がなされています。

 食品事業者にとって、SOIは名称や原材料名の表示を検討するにあたっての重要な参照根拠になっているといえます。今後も様々な食品において時代に合わせた更新(廃止、改訂、新設)がなされる可能性もありますので、動向に注意しておきたいと思います。



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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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