食品表示基準の改正と各自治体の条例について

By | 2026年5月8日

 2026年4月の食品表示基準改正に伴い、東京都、大阪市など各自治体による条例も一部改正がなされています。今回は、それらの条例に基づく品質表示基準の内容と、主な改正について整理したいと思います。

 各自治体による条例とは、東京都消費生活条例、大阪市消費者保護条例などの地域別に定められたものを指します。そしてそれらの条例に基づく品質表示基準は、国の食品表示基準に対して追加的な規則を定めたものといえます。各地域内で流通、販売される食品が対象となるため、海外で製造された輸入食品でも同様の確認が必要です。

主な条例と対象品目

 以下に、個別の品目に関する表示ルールを定めた主な条例を整理します。対象となる品目名は、2026年4月改正後のものを掲載しています。

自治体名対象となる品目名
東京都3品目(調理冷凍食品、かまぼこ類、はちみつ類)
神奈川県(※告示1品目(かまぼこ類)
川崎市1品目(かまぼこ類)
名古屋市(※告示1品目(かまぼこ類)
京都市9品目(プレミックス類、生めん類、つくだ煮類及び煮豆、焼き肉のたれ類、ふりかけ類、緑茶、インスタントコーヒー、カレールウ、調理冷凍食品)
大阪市10品目(蒸しかまぼこ類、焼肉のたれ類、鶏卵、生めん類、つくだ煮及び煮豆、緑茶、カレールウ、インスタントコーヒー、ふりかけ類、カットフルーツ)

※本稿執筆時点(2026年4月24日)では、更新された基準全文の公開はされていません。

個別の表示事項の例

例1)「原料原産地名」の表示(東京都)

 対象は輸入品を除く調理冷凍食品の主な原材料(重量割合上位3位までかつ5%以上の原材料及び商品名等にその名称が付された原材料)です(ただし容器又は包装への表示が極めて困難な場合には、表示事項の情報を別途提供する旨を記載することにより、表示に代えることもできます)。国の食品表示基準では「重量割合が最も高い原材料」が対象であるため、追加的な表示基準といえます。 東京都の定義する「調理冷凍食品」(アイスクリーム類、菓子類を冷凍させたものは除く)と原料原産地名表示の適用範囲の詳細については、「調理冷凍食品品質表示実施要領」(およびQ&A)を参照してください。なお、調理冷凍食品における「原材料配合割合」の表示(東京都)については、改正により廃止されました。

例2)「使用上の注意」の表示(大阪市、京都市等)

 対象は焼肉のたれ類、つくだ煮及び煮豆、緑茶など多数の品目で、輸入品も対象となります。国の食品表示基準では4品目(ジャム類、農産物缶詰及び農産物瓶詰、畜産物缶詰及び畜産物瓶詰、調理食品缶詰及び調理食品瓶詰)が対象であるため、こちらも追加的な表示基準といえます。なお、京都市の条例では調理冷凍食品に対する「原材料配合割合」は廃止されたものの、「使用上の注意」は残るため注意が必要です。

実務上の注意点

 ここまでの注意点をまとめると、国の食品表示基準においても改廃が行われた「調理冷凍食品」については、とりわけ慎重な確認が望まれると思います。「凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別」の表示方法も改正されていますので、あらためて食品表示基準Q&A(表示例は“(加工-181-2)”)などを確認されておくとよいでしょう。



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関連サービス

【国産食品(国内流通)】食品表示調査:配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。各方面からの原材料詳細や表示内容の確認などの対応業務をサポートします。新商品や改版の確認業務、膨大な規格書情報の確認業務にご利用いただいております。

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川合 裕之

代表取締役株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】

【寄稿】
  • 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
  • 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
  • 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」

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■最近の講演・セミナー実績
  • 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
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  • 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
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  • 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
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