輸出時の食品表示実務の大切なポイントまとめ

By | 2026年3月3日

 2026年3月、「基礎からわかる 輸出時の食品表示の実務ガイドブック」(第一法規)が発刊されます。食品の輸出時における基本的な制度と、各国の制度等の確認とそれに基づく表示確認の手順について解説した実務書です。今回は、その中でも表示確認実務における大切なポイントを整理したいと思います。

 まずは食品表示の実務において確認すべき「制度」ですが、ここでは「表示基準」をはじめ、「添加物(使用基準、成分規格等)」と「食品規格(構成原材料等の定義、規格基準等)」などの食品関連規制(動植物検疫などの輸入規制を除く)と定義したいと思います。そしてこれらの制度についての確認手順は、以下のように表すことができます。ポイントは、表示基準、添加物、食品規格の関連性に注意することです。

  • その製品は、何の「食品」に該当するか
  • その食品に、その「添加物」は使用できるか
  • その食品にその原料を使用して、その「表示」ができるか

 例えば食品の名称や原材料名を表示しようとする際に「一般的な名称を使用すること」、「正式な名称を使用すること」といった表示基準がある場合、何の根拠をもって「一般的」や「正式」といえるかを考える必要があります。また「〇〇(食品名)にのみ使用可能」といった添加物の使用基準がある場合もそうですが、「その食品について定義や規格基準を定めたもの」(食品規格)はないかを探すことになります。

 ただしこれらの制度は国や地域によって異なるため、以下のような課題もあります。

  • 食品規格における定義(例:チョコレート)が同じとは限らない。また食品規格自体があるとは限らない。
  • 添加物の使用基準が同じとは限らない(自国で使用できる原材料や添加物が、輸出先で使用できないこともある)。
  • 表示基準に定めのある用語の定義(例:炭水化物、糖質)が同じとは限らない。

 こうした課題を踏まえて各国の詳細な基準を調査し、以下の確認手順で原材料チェックから表示案作成まで進めます。

  1. 食品規格(製品の規格、製品の主要原材料の規格、定義に関わる原材料の規格)
  2. 添加物(優先調査すべき添加物の特定、添加物一覧と使用基準、添加物の成分規格)
  3. 表示基準(表示事項(横断的義務表示、個別的義務表示事項等)、表示方法(名称と原材料名等、栄養成分関連)、表示禁止事項)

 添加物の規制により使用原材料を変更することは多く、その際に食品規格の要件(構成原材料等)への影響を確認しておかないと、表示案作成の段階になって「一般的な名称が使用できない(例:チョコレートと表示できない)」ことも起こり得ます。確認工程の早めの段階から、これらの制度の関連性に注意しておくことが大切といえるでしょう。

 今回は輸出時のポイントとして整理しましたが、例えば日本へ輸入しようとするときの手順も、基本的には同じです。「基礎からわかる 輸出時の食品表示の実務ガイドブック」では、いくつかの国や地域を事例として取り上げていますが、なるべく多くの国や地域で、なるべく多くの食品で共通する確認視点をもとに整理して解説することを心掛けてみました。皆さんのお役に立つことができればうれしく思います。



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関連サービス

【海外輸出】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。輸出対象国の基準情報整理と確認業務の構築などにご利用いただいております。

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川合 裕之

代表取締役株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】

【寄稿】
  • 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
  • 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
  • 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」

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■最近の講演・セミナー実績
  • 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
    兵庫県指定観光名産品協会様主催。
  • 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
    食品技術士センター様主催。
  • 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
    一般財団法人食品産業センター様主催。
  • 2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
    一般財団法人日本能率協会様主催。
  • 2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
    一般財団法人食品産業センター様主催。

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