
2025年6月22日、米国テキサス州において食品添加物に関する警告表示を義務付ける法案「Senate Bill 25」が可決されました。これにより、原材料として合成着色料、二酸化チタン、部分水素添加油脂などを含む製品に対し、「この製品には、オーストラリア、カナダ、EU、英国の関係当局により人体への摂取が推奨されない成分が含まれています」といった警告表示が義務化されます。
対象となる原材料には、「赤色3号」などの合成着色料や、FDAで認可されている着色料も含めて44種類がリストアップされており、多くの製品に影響を与える可能性があると思われます。2025年9月に施行され、適用は2027年1月1日以降に開発した商品が対象となる予定です。
そして2025年6月27日、米国ルイジアナ州において食品添加物に関する警告表示を義務付ける法案「Senate Bill 14」が可決されました。対象となる原材料を含む食品の容器包装に、QRコード付きの警告表示が義務化され、ウェブサイトに「注意:この製品には[成分名]が含まれています。FDA承認を含むこの成分の詳細については、ここをクリックしてください。」といった通知文と該当サイトへのリンクを掲載する必要があります。
対象原材料としてリストアップされているものは44種類あり、テキサス州のものとほぼ重複しますが、人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム)が含まれる点が異なります。施行は2028年1月1日の予定です。
米国に食品を輸出する際は連邦の表示基準(21CFR)に加え、こうした州法にも注意が必要といえます。例えばカリフォルニア州の「Proposition65」の表示基準では、指定された化学物質を含む製品に対し、「カリフォルニア州では[がん] [先天性欠損症またはその他の生殖障害]を引き起こすことが知られています」といった警告表示が義務化されています。ヒ素、鉛、水銀やアクリルアミドのほか、二酸化硫黄など、対象となる化学物質のリストと閾値が設定されており、州法ではあるものの、実務上では米国への食品輸出の際に注意すべき基準として広く知られているといえます。
これらの各州法は「対象成分を含む食品に警告表示を義務付ける」とする表示基準ではありますが、食品事業者にとっては実質的に原材料や添加物の配合を検討する段階での確認が必要な基準として機能しています。そのため食品事業者は、テキサス州とルイジアナ州の新しい規則でリストアップされている対象原材料リストを確認のうえ、どの商品にどの原材料が使用されているか、または成分が含まれているか、といった検証が求められる可能性があります。
また、米国ではこれらの州法と同様(対象原材料を含む食品に警告表示を義務化するもの)の法案がいくつかの州でも審議されている状況ですので、あわせてその確認をしておくことと、そして米国の連邦の基準について今後の動向を落ち着いて確認することが大切だと思います。今回の新しい規則には、連邦優先条項として「連邦で使用が禁止される、もしくは警告表示などの使用条件が課される、または安全であると判断される」などの場合(テキサス州)や、「同等以上の制限を有する連邦基準の公布」などの場合(ルイジアナ州)についての定めもありますので、今後の動向とあわせて確認しておくとよいでしょう。
なお、容器包装済みの食品だけでなく、外食や学校給食まで対象を広げると、さらに多くの基準が存在します。食品を輸出する際には、こうした州法などによる基準の有無を確認するとともに、特に原材料や添加物の使用の検討段階で注意すべきものはないか、事前に確認をすることが大切といえるかと思います。
メールマガジン配信登録
こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。
関連サービス
【海外輸出】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。輸出対象国の基準情報整理と確認業務の構築などにご利用いただいております。
川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
>> 寄稿の詳細はこちら
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
■最近の講演・セミナー実績
・2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
一般財団法人日本能率協会様主催。
・2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2025年1月23日 日本の食品表示制度の改正状況~まとめと今後について
株式会社ウェルネスニュースグループ様主催。
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら
最新記事 by 川合 裕之 (全て見る)
- 食品表示に関する制度改正状況について(2026年版) - 2026年1月5日
- 韓国の「ナトリウム・糖類低減表示基準」改正について - 2025年12月4日
- EUと日本におけるサプリメントに関する制度比較 - 2025年11月7日





