
2025年10月20日、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は「ナトリウム・糖類低減表示基準」を改正した告示(2025-68号)を公布しました。本改正は2024年10月17日に施行された一部改正(告示第2024-63号)に続き、適用対象食品の拡大と制度の詳細化がなされていますので、こちらに整理したいと思います。
<ポイント>
- 「低減表示」の対象食品は限定されていたが、改正により段階的(2024年、2025年)に拡大された
- 対象食品は、ナトリウム低減と糖類低減で区分されている
- 比較対象には、食品カテゴリーごとの平均値データを使用する
以下が、2025年10月改正の低減表示基準です。
第4条(表示基準)
① 次の各号のいずれかに該当する場合、「少ない、減量、ライト、低減、低」及びこれに類似する用語を用いてナトリウム・糖類低減表示を行うことができる。
1. 細分類別の平均値を基準として10%以上低減した場合。この場合、細分類別の平均値は、市販流通中の食品の細分類別ナトリウム・糖類含有量の平均値を対象に算出する。
2. 細分類別の自社類似製品と比較単位当たり25%以上削減した場合(ただし、食品の細分類別ナトリウム・糖類含有量の平均値以下の場合に限る。)② 第1項第1号に基づく細分類別の平均値は、食品医薬品安全処のホームページに掲載する方法で通知することができる。
③ 比較単位は1回提供量当たりとする。ただし、個分けなどによって分割可能な製品において、その単位内容量が100g以上であるか、または1回摂取参考量以上の食品の比較単位は、単位内容量とする。
対象食品(第3条)としては、ナトリウム低減では麺類やスープ製品、糖類低減ではパン類やアイスクリームなどがリストアップされており、2025年10月の改正ではスープ製品やパン類等の品目拡大と、チョコレートの追加などがされています。対象食品の分類詳細は、告示巻末の別紙に整理されています。
韓国への輸出食品に同様の表示をしようとする際は、特に「比較対象」の違いに注意が必要です。例えば日本の食品表示基準(第七条)の「低減された旨(別表第十三)」も他の同種の食品と比較して「〇〇%カット」等と表示することができますが、比較対象は事業者の任意(自社の類似商品など)で設定することができます。
しかし韓国の「ナトリウム・糖類低減表示基準」は、MFDSが定める食品カテゴリーごとの平均値データが比較対象の基準となる点で大きく異なるといえます。また韓国には個別の食品規格(定義や規格基準)がありますので、輸出する際には自社製品の食品規格への適合性を確認することも、あわせて重要になると思います。
同様の表示を予定されている方には、MFDSの事業者向けガイドライン(2024年12月時点)がイラスト付きで分かりやすいと思います。こちらで制度の大枠を確認したのちに、2025年の改正内容を確認されるとよいでしょう。
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【海外輸出】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。輸出対象国の基準情報整理と確認業務の構築などにご利用いただいております。
川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
>> 寄稿の詳細はこちら
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
■最近の講演・セミナー実績
・2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
一般財団法人日本能率協会様主催。
・2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2025年1月23日 日本の食品表示制度の改正状況~まとめと今後について
株式会社ウェルネスニュースグループ様主催。
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら
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