Author Archives: 川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】

【寄稿】
  • 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
  • 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
  • 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」

>> 寄稿の詳細はこちら

■最近の講演・セミナー実績
  • 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
    兵庫県指定観光名産品協会様主催。
  • 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
    食品技術士センター様主催。
  • 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
    一般財団法人食品産業センター様主催。
  • 2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
    一般財団法人日本能率協会様主催。
  • 2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
    一般財団法人食品産業センター様主催。

>> 講演・セミナーの詳細はこちら

米国テキサス州、ルイジアナ州における新たな警告表示の義務化について

 2025年6月22日、米国テキサス州において食品添加物に関する警告表示を義務付ける法案「Senate Bill 25」が可決されました。これにより、原材料として合成着色料、二酸化チタン、部分水素添加油脂などを含む製品に対し、「この製品には、オーストラリア、カナダ、EU、英国の関係当局により人体への摂取が推奨されない成分が含まれています」といった警告表示が義務化されます。
 対象となる原材料には、「赤色3号」などの合成着色料や、FDAで認可されている着色料も含めて44種類がリストアップされており、多くの製品に影響を与える可能性があると思われます。2025年9月に施行され、適用は2027年1月1日以降に開発した商品が対象となる予定です。

 そして2025年6月27日、米国ルイジアナ州において食品添加物に関する警告表示を義務付ける法案「Senate Bill 14」が可決されました。対象となる原材料を含む食品の容器包装に、QRコード付きの警告表示が義務化され、ウェブサイトに「注意:この製品には[成分名]が含まれています。FDA承認を含むこの成分の詳細については、ここをクリックしてください。」といった通知文と該当サイトへのリンクを掲載する必要があります。
 対象原材料としてリストアップされているものは44種類あり、テキサス州のものとほぼ重複しますが、人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム)が含まれる点が異なります。施行は2028年1月1日の予定です。

 米国に食品を輸出する際は連邦の表示基準(21CFR)に加え、こうした州法にも注意が必要といえます。例えばカリフォルニア州の「Proposition65」の表示基準では、指定された化学物質を含む製品に対し、「カリフォルニア州では[がん] [先天性欠損症またはその他の生殖障害]を引き起こすことが知られています」といった警告表示が義務化されています。ヒ素、鉛、水銀やアクリルアミドのほか、二酸化硫黄など、対象となる化学物質のリストと閾値が設定されており、州法ではあるものの、実務上では米国への食品輸出の際に注意すべき基準として広く知られているといえます。

 これらの各州法は「対象成分を含む食品に警告表示を義務付ける」とする表示基準ではありますが、食品事業者にとっては実質的に原材料や添加物の配合を検討する段階での確認が必要な基準として機能しています。そのため食品事業者は、テキサス州とルイジアナ州の新しい規則でリストアップされている対象原材料リストを確認のうえ、どの商品にどの原材料が使用されているか、または成分が含まれているか、といった検証が求められる可能性があります。

 また、米国ではこれらの州法と同様(対象原材料を含む食品に警告表示を義務化するもの)の法案がいくつかの州でも審議されている状況ですので、あわせてその確認をしておくことと、そして米国の連邦の基準について今後の動向を落ち着いて確認することが大切だと思います。今回の新しい規則には、連邦優先条項として「連邦で使用が禁止される、もしくは警告表示などの使用条件が課される、または安全であると判断される」などの場合(テキサス州)や、「同等以上の制限を有する連邦基準の公布」などの場合(ルイジアナ州)についての定めもありますので、今後の動向とあわせて確認しておくとよいでしょう。

 なお、容器包装済みの食品だけでなく、外食や学校給食まで対象を広げると、さらに多くの基準が存在します。食品を輸出する際には、こうした州法などによる基準の有無を確認するとともに、特に原材料や添加物の使用の検討段階で注意すべきものはないか、事前に確認をすることが大切といえるかと思います。



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機能性表示食品の表示禁止事項に関する改正案および旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルールの見直しについて

 2025年6月13日、消費者庁は「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」に関する意見募集が開始されたことを公表しました。

 機能性表示食品においては、一部を除いて機能性関与成分以外の成分を強調する用語の表示が表示禁止事項とされています。改正案(第9条、第23条)では、強調する用語のうち「成分を添加していないこと」、「成分を含まないこと」等についての表示が可能となるよう、見直しがなされています。なお、届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を除く)を「含むこと」を強調する用語については、引き続き表示禁止事項のままとされています。

改正前第七条の規定に基づく栄養成分の補給ができる旨の表示及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示をする場合を除き、消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第九の第一欄に掲げる栄養成分を含む)を強調する用語
改正後消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第九の第一欄に掲げる栄養成分を除く)を含むことを強調する用語

 改正により、機能性表示食品においてもその他の一般的な食品と同様に、適切な摂取ができる旨の基準の定めのない成分の強調表示も可能になるものと思われます。意見募集期間は7月14日までです。

 また2025年6月25日、消費者庁は「第1回令和7年度食品表示懇談会」の資料として、「旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルールの見直しについて(別表第19、20関係)」を公開しました。 旧食品衛生法に由来する表示ルールとして、主に「食品、添加物等の規格基準」等の内容を表示させるものが別表第19と20に定められており、これらの表示ルールについて、「個別品目ごとの表示ルールの見直し分科会」において旧JAS法に由来する個別の表示ルールに加えて見直しの検討がなされる予定です。

別表第19の例(一部抜粋)

食品表示事項表示の方法
食肉製品水素イオン指数及び水分活性「pH」等水素イオン指数を示す文字を付してその値を表示、水分活性を示す文字を付してその値を表示
冷凍食品凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別凍結させる直前に加熱されたものであるかどうかの別を表示(例:「凍結前加熱」)

 見直しの対象は食肉製品、乳、乳製品、乳又は乳製品を主要原料とする食品のほか、冷凍食品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、缶詰の食品など多数ありますので、詳細は資料を参照してください。なお、生鮮食品は見直しの対象外とされています。

 改正案検討後は、旧JAS法由来の個別ルールと同時の施行を目指す予定とされています。日本版FOPNL(容器包装前面栄養成分表示)ガイドラインも含めたスケジュールが「今後の進め方」に掲載されていますので、あわせて確認しておかれるといと思います。



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各国の食品表示に関する制度の改正動向について

 2025年に入り、シンガポールと中国で大きな食品表示基準改正がありましたが、今回は少し広めに各国の改正動向について整理してみたいと思います。

米国

 2025年4月7日、米国アルコール・たばこ税貿易局(TTB)は、アルコール飲料に対する表示基準改正案の意見募集期間を延長することを公表しました。改正案は、アルコール飲料への「アルコール情報(1杯あたり含有量、熱量、栄養成分量)」表示とアレルゲン表示の義務化に関するものです。4月18日、米国食品安全検査局(FSIS)は、米国食品医薬局(FDA)のアレルゲン表示ガイダンス第5版(2025年1月)に対応し、アレルゲン関連のプログラムと文書を更新することを公表しました。アレルゲン表示対象の「木の実」からココナッツが削除されます。また5月8日、米国食品医薬局(FDA)は、容器包装前面(FOP)栄養成分表示制度に関する意見募集期間を延長することを公表しました。

韓国

 2025年4月21日、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は「食品等の表示基準の一部改正」を告示しました。消費者に直接販売しない場合などに限り、外国語で表示された輸出食品*にハングル表示事項をステッカー貼付等による表示を許可すること、栄養成分表示の義務対象拡大などの改正がなされています。また1月から2月にかけて、「食品等の表示・広告に関する法律施行規則一部改正令(案)」に対する意見募集がなされました。改正案は、主にデジタル表示(原材料名、品目報告番号等)に関する内容です。

*2025年6月24日修正

タイ

 2025年3月7日、タイ食品医薬局(FDA)より、「栄養成分表示制度に関する草案」に対する意見募集がなされました。栄養成分表示の一部表示要件の改正と、GDA(1日摂取目安量)形式による熱量、糖類、脂質、ナトリウム量の表示基準の改正です。主に「色(文字色、背景色等)」に対する厳しい要件を見直す改正案となっています。 また5月6日、タイFDAにより2件(保健省告示第456号、第457号)の告示があり、玄米粉、ゼリーなどの7つ個別の表示基準の廃止と、製造、輸入および流通が禁止される食品の指定(こんにゃくミニカップゼリーとそれに類するもの)についての改正がなされました。

オーストラリア

 2025年4月7日、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、以下の3点の改正案を承認する通知を公表しました(①ウズラ培養肉の新規食品指定、②アルコール飲料への炭水化物、糖類の表示、③アルコール飲料への熱量の表示)。

 また、シンガポールのFood Regulations(4月2日記事)ではグルテンフリーの要件が追加されていますが、その他にも原材料名の表示に関する規則(第5条第4項)でも改正がなされています。中国のGB7718-2025およびGB 28050-2025(5月7日記事)については、アレルゲン表示の義務化、栄養成分表示の義務対象成分の追加、無添加・不使用表示の禁止など多くの改正がなされています。

 日本の食品表示基準改正(4月2日記事2月6日記事)の動向とあわせて、これら各国の改正動向についても目を通しておかれるとよいと思います。



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中国の「包装済み食品の表示に関する一般規則」が改正されました

 2025年3月27日、中国国家衛生健康委員会(NHC)と国家市場監督管理総局(SAMR)は共同で、「包装済み食品の表示に関する一般規則」(GB 7718-2025)を公表しました。また同日に「包装済み食品の栄養表示規則」(GB 28050-2025)も公表されており、どちらも発効は2027年3月16日となっています。中国における包括的な規則であり、大きな改正がされていますので、こちらに整理したいと思います。

主な改正点

<GB 7718-2025>

  • 「製造日および賞味期間」を「製造日および賞味期限(表示順序は「年月日」)」に変更。
    また製造日の記載を不要とする賞味期限を、1年から6ヶ月に変更。
  • アレルゲン情報を推奨表示から義務表示へ変更。
    一括表記または個別表記で表示し、個別の場合は該当原材料名を太字または下線で表示する。
  • 添加物の機能分類名称とあわせてINS番号を表示する場合の要件の変更。
    容器包装の最大表面積が60㎠以下の場合、一般名称の代わりに表示できる。
  • デジタルラベルの表示要件を追加。
    包装済み食品に表示すべき事項をデジタルラベルで表示し、関連法規に従い包装ラベル情報を簡素化できる。
  • 1つ以上の原材料や成分について含む、多い、含まない、少ないなど強調する場合は、定量表示をする。
    定量表示には、具体的な数値や割合をもって、「≥」、「以上」、または「≤」、「以下」を使用する。
  • 「无」(なし)または「不含」(含まない)等の用語を使用する場合は、含有量は「0」である必要がある。
    「不添加」「不使用」およびその同義語(「零添加」「没用」「未用」等)は使用してはならない。 等

<GB 28050-2025>

  • 栄養成分の義務表示の対象に、糖類と飽和脂肪酸を追加。
  • 栄養成分表示の下に「子供および青少年は塩分、脂質、糖分の過剰摂取を避けるべき」の記載の義務化。
  • その他、栄養成分表示の対象成分の追加と、栄養素等表示基準値(NRV)を改定。

 その他、菌株等の表示要件などに関する基準も追加されるなどの改正がなされています。なお、GB 7718-2025から文字の大きさ、期限表示の方法、製造者情報など、いくつかの表示基準が削除されていますが、こうした表示方法に関する基準は同じく3月に改正された「食品表示監督管理弁法」に移行されています。この食品表示監督管理弁法では「未成年者向け」といった表示を禁止するなどの改正がなされており、発効は同じく2027年3月16日となっています。
 GB 7718-2025、GB 28050-2025の中国語版と、従前のGB7718-2011、GB 28050-2011の日本語仮訳版は、農林水産省の「中国向け輸出食品の製造等企業登録に係る農林水産省における登録申請受付等について」のうち「新規定ガイダンス(仮訳)」のページより確認することができますので、比較することで詳細を確認できます。
 大幅な改正といえますので、中国向けに食品を輸出される方は、改正版と従前版を比較のうえ、詳細について確認しておかれるとよいと思います。

「食品标识监督管理办法」



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食品表示基準が改正されました

 2025年3月28日、「食品表示基準の一部を改正する内閣府令」が公布され、同日に施行されました。改正内容および経過措置については、1月の意見募集時の改正案から変更はありません。改正の概要は以下のとおりです。

  1. 栄養強化目的で使用した食品添加物に係る表示免除規定の削除
    (改正対象:第3条第1項、別表第4、24)
  2. 栄養素等表示基準値等の改正
    (改正対象:別表第9、10、12)
  3. 個別品目ごとの表示ルールの見直し
    (改正対象:※別表第3、4、5、19、20、22)※ただし調理冷凍食品は2026年4月1日施行

 また通知(食品表示基準について、食品表示基準Q&Aについて)および「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(食品表示基準Q&Aの別添として位置づけに変更)についても同日に改正されていますので、以下に主な改正内容を一部抜粋します。

食品表示基準について」第38次改正より

令和7年4月1日改正後の栄養素等表示基準値に関する表示をする場合、従前の基準と区別するために、「栄養素等表示基準値(2025)」等、日本人の食事摂取基準(2025 年版)を基にしていることが分かるような表示とすることが望ましい。

 その他、「食物繊維」「ビタミンB群」に関連する測定方法等の改正がなされています。

食品表示基準Q&Aについて」第20次改正より

(加工-75-2)栄養強化の目的で添加物を使用した食品の表示については、添加物の使用だけではなく、当該栄養成分の量も消費者が自主的かつ合理的に食品を選択するために重要であることから、容器包装に当該栄養成分名を表示しない場合であっても、その量を表示することが望ましい。(中略)

(加工-64)1 香辛料及び香辛料エキスについては、食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の規定により、既存添加物名簿(平成8年厚生省告示第 120 号)に掲げる添加物に該当するものを除き、その香辛料又は香辛料エキスの合算した重量が原材料全体に占める重量の割合の2%以下になる場合に限り、「香辛料」又は「混合香辛料」とのみ表示することができます。
 なお、合算した重量が2%を超える場合は、それぞれ原材料に占める割合の高いものから順にその最も一般的な名称をもって表示するか、「香辛料」の次に括弧を付して、原材料に占める割合の高いものから順にその最も一般的な名称をもって表示することになります。ただし、「香辛料」でまとめて表示する場合にあっては、原材料に占める割合の低いものから順に合算して、原材料全体に占める重量の割合が2%以下までの原材料については、「その他香辛料」と表示することができます。(中略)

 香辛料のQ&Aについては、個別品目の表示ルール見直しに伴う運用変更の必要性により改正されています。その他、「ノンカフェイン」及び「ノンアルコール」は、食品表示基準第3条第3項に規定する栄養表示に該当しないこと、中間加工原材料を使用した場合の原材料名の表示方法について、最終製品を製造する「事業者の判断で使用した原材料を最も一般的な名称で表示する」こと、などの改正がなされています。
 また「食品期限表示の設定のためのガイドライン」改正(「食品の特性等に応じた安全係数の設定」等)にあわせて、まだ食べることができる食品が廃棄されないように配慮するなど、関連するQ&Aも変更がなされました。表示方法の例として「賞味期限 25-9」 「賞味期限 25 / 9」※(※全角「/」の前後に半角スペース)も追加されています。

 各改正事項別の概要、経過措置については、「食品表示基準改正案およびカシューナッツ、ピスタチオについて」(2月6日)のうち、「食品表示基準改正案」の箇所を参照してください。今回の改正はやや複雑といえますので、十分に確認しておかれるとよいでしょう。



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各国のプラントベース食品表示基準の動向について

 2025年1月、米国FDAはプラントベース食品(動物由来代替品)の表示に関する事業者向けガイダンス案を発表しました。この機会に、各国プラントベース食品表示に関する動向についてのニュースをまとめてみたいと思います。

米国

 冒頭のとおり動物由来代替品のガイダンスが今年1月に発表されました。このガイダンスの範囲は、卵、魚介類、鶏肉、肉、乳製品(植物由来の乳代替品を除く)のプラントベース食品が含まれます。そして乳代替品の表示に関する事業者向けガイダンス案については、2023年2月に発表されたものを参照します。
 主な内容としては、個別食品規格のない食品とすること、由来植物名を明記すること(例:soy, lentil, walnut等)、「meat-free」や「dairy-free」のみの表示は適切ではないとする、などの規定により主に名称に関する誤認を防止する内容となっています。そして乳代替品のガイダンスには、「乳と異なる栄養価である(別表との比較)と判断できるよう表示する」「乳よりも含有量が少ない栄養成分の表示を推奨する」など、栄養成分に関する指針が示されています。(乳代替品の栄養成分に関する注意喚起表示の例としては、オーストラリア・ニュージーランドの表示基準(2018年)をあげることができます)

カナダ

 2024年10月、卵代替プラントベース食品の表示方法に関するガイダンスが公表されました。文字サイズや用語のほか、写真(農場等)に関する誤認防止規定があります。「鶏卵より30% 脂肪含有量が少ない」等の表示は、栄養比較強調表示の要件を満たすこと、また「卵不使用」などの表示を行う場合はアレルゲン表示の規定への注意を促しています。 

フランス、チェコ

 2025年1月、フランス国務院は植物由来の製品に「ステーキ」などの表示を禁止するとした政令を廃止することを発表しました。政令は2022年6月、2024年2月に定められましたが、その後2024年10月にEU司法裁判所により同政令の制定に反対する判決が下されたためです。この発表を受けて、「大豆ステーキ」や「野菜ソーセージ」といった表示は今後も可能となります。また同じく2025年1月、チェコ農業省は食肉、水産物、卵およびその製品に関する要件(植物由来製品への「肉」の表示規制、2024年)について、この改正を行わない旨を発表しています。(なお、EUでは乳製品(whey, cream, butter, 等)に関する表示については要件が定められている点に注意)

タイ

 2024年7月、タイFDAは植物由来たんぱく質市場への積極的な参入準備を行うと発表しました。同年5月に植物由来の代替たんぱく質製品の表示要件等を定めた草案について意見募集されており、今後検討ののちに関連する基準が公表されるものと思われます。

なお日本では、2021年に「プラントベース食品等の表示に関するQ&A」が公表されており、商品名とは別に「大豆を使用したものです」など誤認を防止する表示が必要とされています。その後2022年に制定された「大豆ミート食品類」の日本農林規格により、「肉を使用していません」等の表示要件が定められています。

 プラントベース食品表示は、各国の食品表示基準の動向としてFOP(包装前面表示)とHFSS(high in fat, sugar or salt)規制、PAL(予防的アレルゲン表示)と同じく関心の高いテーマといえますので、今後大きな改正等があればこちらで取り上げたいと思います。



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食品表示基準改正案およびカシューナッツ、ピスタチオについて

 2025年4月施行予定の食品表示基準改正案が公表され、1月28日までに意見募集がなされました。また2025年1月21日の「第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議」において、カシューナッツの義務品目移行とピスタチオの推奨品目追加の方針の提案がなされました。


 食品表示基準改正案の概要は以下のとおりです。

(1) 栄養強化目的で使用した食品添加物に係る表示免除規定の削除
(2)栄養素等表示基準値等の改正
 <1>栄養素等表示基準値の改正
 <2>食物繊維の許容差の範囲の見直しと0と表示ができる量の規定の追加
 <3>ビタミンB群の測定及び算出の方法の改正
(3) 個別品目ごとの表示ルールの見直し

 (1)の改正により、原則全ての加工食品(これまで表示免除とされていたものを含む)に、栄養強化目的で使用した食品添加物の表示が必要となります。(2)<1>の改正では、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を踏まえた基準値に見直し(および食塩相当量の追加)がなされ、これに伴い栄養強調表示の基準値(含む旨、高い旨、強化された旨)も改正されます(とりわけビタミンB12、ビタミンDは基準値が大幅に増えています)。
 そして(3)の改正では、個別品目ごとの「食品の定義」、「個別の表示ルール(名称、原材料名、添加物、内容量)」、「名称の規制」、「追加的な表示事項」、「表示の様式」及び「表示禁止事項」について見直しがされています。個別品目ごとの表示ルールの一部廃止および一部改正があったのはみそ、レトルトパウチ食品等の12品目、一部廃止されたのはマーガリン類の1品目、すべて廃止されたのは調理冷凍食品、即席めん等の7品目です。しょうゆ、ハム等の22品目については今年の見直しが予定されています。


 今後のスケジュール(施行と経過措置)は以下のとおりです。

施行予定 経過措置
(1) 第3条第1項、別表第4、24 2025年4月1日 5年間
(2) <1>別表第10、12 2025年4月1日 3年間
<2><3>別表第9 2025年4月1日
(3) 別表第3、4、5、19、20、22 2025年4月1日 5年間
上記のうち「調理冷凍食品」の改正 2026年4月1日 5年間

 パブリックコメントを受けた食品表示基準改正の修正案は、近く公表される見込みです。なお冒頭でお伝えしたアレルゲン表示の改正案ですが、2025年度内の実施が検討されています。ナッツ類の症例数が急増している背景など、会議資料の調査結果に目を通しておかれるとよいと思います。



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食品表示に関する制度改正状況のまとめ(2)~栄養素等表示基準値の改正と個別品目の表示ルール見直し経過報告について~

 ※この記事は「食品表示に関する制度改正状況のまとめ(1)」(2024年12月6日)の続きです。

 ※【追記】現在、改正案の意見募集(2025年1月28日まで)が始まっています。

 2024年12月13日、「令和6年度食品表示懇談会」において栄養素等表示基準値の改正案の検討および、個別品目ごとの表示ルール見直し分科会の経過(第1回~第7回)報告がなされました。

栄養素等表示基準値の改正

 2024年10月11日に公表された「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)を踏まえ、栄養素等表示基準値等が改正されます。改正の詳細は「栄養成分表示に関する改正内容(案)について」を参照してください(カルシウムやビタミンD等、基準値が増えるものもあります)。
 なお同基準値の改正に伴い、「栄養強調表示の補給ができる旨の表示(含む旨、高い旨、強化された旨)」の基準もあわせて改正される見込みですので、強調表示をされている方は確認が必要となります。

個別品目ごとの表示ルールの見直し

 横断的な基準に合わせる方向で見直しの検討がされてきましたが、これまでの議論で「完全に廃止された品目があった(ヒアリング対象22品目のうち7品目)」ほか、「定義・名称は維持したい」「個別的義務表示事項を残したい」等の要望もあったことが報告されました。
 詳細は「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会について」を参照してください。残りの22品目については引き続き分科会において検討し、来年度、懇談会に報告予定とされています。

改正の対象と今後について

 同懇談会資料「食品表示基準改正について」の中で、「想定される食品表示基準改正の事項(案)」として改正の対象となる条項および別表が整理されていますので、こちらに引用します。

1.栄養強化目的の添加物の表示義務化

第3条第1項
別表第4 「個別の表示ルール(名称、原材料名、添加物、内容量)」
別表第24 「一般用生鮮食品の個別的表示事項」

2.栄養素等表示基準値等の改正

別表第9 「栄養成分及び熱量の表示単位、測定法、許容差の範囲及びゼロと表示できる場合の含有量」
別表第10 「栄養素等表示基準値」
別表第12 「栄養成分の補給ができる旨の表示の基準値」

3.個別品目ごとの表示ルールの見直し

別表第3 「食品の定義」、 別表第4 「個別の表示ルール(名称、原材料名、添加物、内容量)」
別表第5 「名称の規制」、 別表第19 「追加的な表示事項」
別表第20 「表示の様式」、 別表第22 「表示禁止事項」

 今後、本年度内に食品表示基準改正案についてパブリックコメントの実施が予定されています。改正の時期は未定(※)ですが、アレルゲン表示(カシューナッツの義務品目への移行)についても改正が検討されている状況ですので、まずは想定できる対応から整理しておかれるとよいと思います。

 ※【追記】改正は2025年4月1日予定となりました。現在、改正案の意見募集(2025年1月28日まで)が始まっています。



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食品表示に関する制度改正状況のまとめ(1)

 12月に入り、2024年も残すところわずかとなりました。今年も食品表示制度に関する様々な改正がありましたが、国内の状況についてあらためて整理してみたいと思います。

2024年の改正状況について

 今年公表された主な改正としては、アレルゲン表示の推奨品目への「マカダミアナッツ」の追加(と「まつたけ」の削除)をあげることができます。この改正に経過措置期間はありませんが、2023年3月に義務品目に追加された「くるみ」については経過措置期間があり、2025年3月31日までで終了します。そして現在、カシューナッツの表示義務品目への追加が検討されている状況です。「令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」において、カシューナッツのショック症例が大幅に増加しており、5番目に多い原因食物となったことが背景にあります。

2023年3月アレルゲン表示の義務品目に「くるみ」を追加
2023年3月「遺伝子組換えでない」表示基準改正の経過措置期間終了(2019年4月改正)
2024年3月食品添加物の不使用表示に関するガイドライン経過措置期間終了(2022年3月公表)
2024年3月アレルゲン表示の推奨品目に「マカダミアナッツ」追加、「まつたけ」削除(経過措置期間なし)
2025年3月「くるみ」のアレルゲン表示義務化の経過措置期間終了
2025年~(検討中)アレルゲン表示の義務品目に「カシューナッツ」を追加

 その他の大きな変更としては、これまで厚生労働省が所管していた食品衛生基準行政(食品添加物の指定や、規格基準の策定など)が、2024年4月より消費者庁に移管されています。

検討中のテーマと今後の改正について

 昨年から今年にかけて、いくつかの食品表示制度に関する検討会が開催されています。「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」では、ベーコンやハム、炭酸飲料や果実飲料など個別品目ごとに定められている表示ルール(表示事項、表示方法、表示禁止事項等)について、横断的なルールに寄せる方向で検討がなされています。2025年3月までに改正案へのパブリックコメントが実施される予定です。「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会」では、期限表示の設定に関する見直しのほか、「賞味期限が到来した食品で『まだ食べることができる食品』の取扱」についても検討がなされています。同じく2025年3月までに改正案が公表される予定です。

 その他、「日本版包装前面栄養表示に関する検討会」では、諸外国の包装前面栄養表示制度を参考に、任意表示の方向で検討がなされています。「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」では、こちらも諸外国の取り組みを参考に、具体的な活用方法について検討がなされる予定です。そして今年1月に開催された「第3回令和5年度食品表示懇談会」では、「栄養強化目的で使用した添加物の表示について」も議事に上がりました。こちらは「原則全ての加工食品に表示する方向で検討」とされており、実態調査の実施のうえ改正案が作成される見込みです。


 以上、今後の食品表示制度に関する改正状況について簡単にまとめてみましたが、とりわけ「カシューナッツ」、「個別品目ごとの表示ルール」、そして「栄養強化目的で使用した添加物の表示」については、実務上で大きな影響があるかと思われます。各改正について、いま一度確認をしていただく機会になればと思います。

【2024年12月19日追記】

 令和6年度食品表示懇談会(12月13日開催)により栄養素等表示基準値の改正案(栄養強調表示の基準値も改正予定)が示され、今後パブリックコメントが予定されています。 



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米国カリフォルニア州の食品の期限表示に関する標準化法案と期限表示をとりまく食品廃棄問題の現状について

 2024年9月28日、米国カリフォルニア州は、食品の期限表示に関する標準化法案に署名がなされたことを公表しました。同州ではこれまで期限表示をする場合には、「BEST if Used By」、「Use By」等の推奨する表示方法だけでなく「Sell by」「Best by/before」「Expired by」などの表示も認められていましたが、2026年7月1日から「BEST if Used By」、「Use By」等の標準化された表示が義務付けられます。これまでの多様な期限表示は消費者にとって紛らわしく、不要な食品廃棄につながっているとする課題があったところ、標準化された表示により品質や安全性を混同する可能性を減らすことで、持続可能な未来に役立つとされています。

 なお米国では乳児用調製粉乳を除き、食品の期限表示に関する連邦規制はありません。2023年5月にFood Date Labeling Act(食品期限表示法)の法案提出がなされており、こちらも“BEST If Used By”、“USE By”等への標準化を図ることで消費者の混乱を防ぎ、食品廃棄問題の解決につながることを目指しています。

 期限表示と食品廃棄問題の関係性については各国でも課題としてとりあげられています。EUでは食品廃棄の最大10%が期限表示に対する理解不足に関連している可能性があると推定しており、 消費者への食品情報の提供に関する規則(FIC規則 (EU) 1169/2011)の改正が予定されています。“use by” や“best before”の表示方法について消費者が誤解をすることのないよう、用語、形式、視覚的表現の点での改善が検討されています。

 オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は2024年4月に「2023 CONSUMER INSIGHTS(2023年消費者調査)」を公表し、「ほとんどの人がbest before(賞味期限)とuse-by(消費期限)を正しく理解しているが、最大3分の1が誤った理解をしている」「期限表示を正しく理解している人のうち、最大3分の1が自分の理解と一致しない行動をとる」として、賞味期限を過ぎた食品を廃棄している現状に触れています。

 日本でも2024年5月より「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会」が開催され、期限表示設定の見直しのほか、“賞味期限が到来した食品で「まだ食べることができる食品」の取扱”についても検討がなされています。改正ガイドラインは、2025年3月に公表される予定です。

 以上、簡単に現状をまとめてみました。実務上は、特に米国向けに食品を輸出する際には「賞味期限の表示方法を見直す必要がある」ことになりますが、その背景として期限表示は食品廃棄の問題と関連していることへの理解を深めることで、今後の対応や準備がしやすくなるのではと思います。

 <補足>
 製造時に印字されることの多い期限表示は、輸出入時において「表示順(日本は「年月日」ですが、「日月年」や「月日年」とする国もあります)」の間違いが起こりやすい表示事項といえます。表示のデザイン段階でも賞味期限表示スペースを空欄とせず、「YYYY.MM.DD」「DD.MM.YYYY」「MM.DD.YYYY」等と予め入れておくなど、事前に気づきやすくするとよいと思います。



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