Author Archives: 川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】

【寄稿】
  • 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
  • 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
  • 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」

>> 寄稿の詳細はこちら

■最近の講演・セミナー実績
  • 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
    兵庫県指定観光名産品協会様主催。
  • 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
    食品技術士センター様主催。
  • 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
    一般財団法人食品産業センター様主催。
  • 2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
    一般財団法人日本能率協会様主催。
  • 2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
    一般財団法人食品産業センター様主催。

>> 講演・セミナーの詳細はこちら

日本版「包装前面栄養表示」の検討が始まりました


 2023年10月26日、消費者庁は日本版「包装前面栄養表示」の基本的な方向性を検討すると公表しました。今回は、11月2日に開催された「第1回分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」(以下「検討会」)で公表された資料等をもとに、現在検討されている「包装前面栄養表示」について整理してみたいと思います。

検討の背景


 諸外国では各国の健康・栄養政策を踏まえ、消費者が食品の栄養価や食品の選択に対する理解を高めるため、義務的表示に加え、包装の前面に栄養表示に関して分かりやすく消費者に訴求する「包装前面栄養表示」を導入しています。また令和3年11月のコーデックス委員会においても、包装前面栄養表示のガイドラインが採択されています。こうした状況を受け、国際整合性の観点から、国際機関が公表するガイドラインの内容を踏まえつつ、日本版の包装前面栄養表示の在り方について、検討が開始されています。なお検討にあたり、「表示の見にくさや分かりづらさを補足する取組み」という観点が方向性として示されています。

包装前面栄養表示とは


 諸外国の「容器包装前面栄養表示(Front of Pack Nutrition Labeling:FOPNL)」については、検討会資料「【資料2】栄養成分表示制度をめぐる事情について」に事例が掲載されています。図はオーストラリア連邦、フランス共和国、英国の例(任意表示)です。

オーストラリア連邦 フランス共和国 英国

 なおカナダでは2022年7月に、飽和脂肪酸、ナトリウム、糖類の全て、もしくはいずれかを一定の閾値以上含む全ての食品にFOPNLが義務化され、話題となりました。(『義務化された容器包装前面表示の重要なポイント(カナダ)』

WHOおよびコーデックス委員会のガイドライン


 同検討会資料(資料2)にガイドラインの主な内容が整理されています。例えば「FOPNLの効果を高めるように、単一の取組を開発すべきである。(WHO)」、「各国で政府が推奨するFOPNLは1つだけであるべきである。(コーデックス委員会)」、「FOPNLの一部として、モニタリングや評価する仕組みについても開発すべきである。(WHO)」といった内容です。なおコーデックス委員会のガイドラインについては、検討会資料「【参考資料】コーデックス委員会における包装前面栄養表示ガイドライン」より詳細を確認することができます。
 

今後の予定について


 検討会では「資料4分かりやすい栄養成分表示の取組の推進に向けた検討の方向性及び主な論点(案)」において、主な論点を以下のとおりとしています。

  • 我が国の健康・栄養政策との整合を踏まえた上で、包装前面栄養表示として取り組むべき栄養課題
  • 消費者が普段の食生活において栄養成分表示が利活用しやすくするために効果的な方策
  • 消費者のための取組であることを優先しつつも、「健康的で持続可能な食環境づくり」の推進の観点から食品関連事業者の実行可能性が担保される方策

 

 今後検討会において、今年度中に基本的な方向が示される予定です。すべての食品に関わる改正になると思いますので、公表された資料に一度目を通しておかれるとよいと思います。



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「予防的アレルゲン表示(PAL)」について


 2023年9月4日、英国食品基準庁(FSA)は「アレルゲン表示に関する情報技術ガイダンス」の最新情報を公表しました。ガイダンスでは食品企業に対し、とりわけ「予防的アレルゲン表示(Precautionary Allergen Label (PAL))」の使用の見直しを推奨しています。
(※PALとは、「May Contain Nuts(ナッツが含まれる可能性がある)」といった表示のことを指します)

  • PALは、分離や洗浄では十分に制御できないアレルゲンの相互汚染のリスクが避けられない場合にのみ使用すること。
  • 「ナッツが含まれる可能性がある」ではなく、「ピーナッツが含まれる可能性がある」など、PAL が 14 種類の主要アレルゲンのうちどれを指すのかを明示すること。
  • 「ビーガン」表示がありながら、アレルゲンとの相互汚染のリスクが特定されている場合は、PALを組み合わせて使用すること。
    「不使用」といった安全情報に関する表示と「ビーガン」表示は、それぞれ異なる消費者に異なる情報を伝えているため。

 同ガイダンスは、企業の適切なアレルゲン表示の実効性をサポートする一方で、アレルゲンをもつ消費者の食品選択を不必要に制限しないことを目的に作成されています。今回の最新版では、「不使用」といった安全情報に関する表示とPALを併用しないことや、「グルテン含有成分不使用(No Gluten Containing Ingredient(NGCI))」表示に関する注意事項などもあわせて情報提供がなされています。

 PALについては、その他の国でも運用に注意がなされているケースがあります。例えばシンガポール食品庁(SFA)では「PALの使用」について、「相互汚染に関する徹底的なリスク評価を伴うこと」「消費者の食品選択が制限されるため、必要な場合にのみ行うこと」としています。また同庁は、アレルゲンの相互汚染のリスク評価に関する支援だけでなく、相互汚染のレベルに応じた適切な予防的アレルゲン表示が示唆するものとして、オーストラリア・ニュージーランドのアレルゲン局が提供するVITAL(Voluntary Incidental Trace Allergen Labelling)プログラムの参照を推奨しています。

 そして国際的なガイダンスの策定ですが、現在、コーデックス食品表示部会でも予防的アレルゲン表示についての議題が取り上げられています。「第105回コーデックス連絡協議会」(農林水産省)の「資料5-(2) 第 47 回 食品表示部会(CCFL)主な検討議題」(2023年5月開催)より、「第45回部会において(中略)予防的アレルゲン又は注意表示(PAL)に係るガイダンスを策定することで合意した」「PAL 使用に係るガイダンス原案については、FAO/WHO 合同専門家会議による議論の結果を待って策定作業を進める必要があるとされた」といった経緯を確認することができます。(その他、通常のアレルゲン表示の議題では木の実類の範囲について個別品目が明記されています)

 なお、日本では「May Contain ○○」にあたるアレルゲンの可能性表示は禁止されており、コンタミネーション防止対策の徹底を図ってもなおコンタミネーションの可能性が排除できない場合は、注意喚起表記(例:「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています。」)が推奨されているところです(「食品表示基準について」 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示 第1-3-(5),(6))。

 海外のこうした動向を見ると、品目毎の公定検査法と10㎍/gの閾値の設定、そして「判断樹」の運用など、日本のアレルゲン表示制度は世界的に見ても厳格であると、改めて気づくことができます。食品の海外輸出の実務においては、日本の制度を踏まえたうえで対象国との違いを確認することが求められるといえますので、国際的な動向を調査する際には、国内の制度についてあらためて確認できる機会にもしていただくとよいのでは思います。



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「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」が一部改正されました


 2023年9月29日、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の一部改正が消費者庁より公表されました(【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について)。概要は「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の一部改正案について(概要)」にも整理されているとおりですが、システマティックレビューの「PRISMA声明(2020年)」への準拠と、その施行期日が示されたことが大きな改正点といえます。

主な改正内容


(赤文字下線部分は「新旧対照表1」「新旧対照表2」を参照)

(1)システマティックレビューの「PRISMA声明(2020年)」への準拠

  • PRISMA 声明チェックリスト(2020年)の改正(各チェックリスト項目の変更)
  • PRISMA 声明抄録チェックリスト(2020年)の追加

(2)届出内容の責任の所在の明確化

  • 「機能性表示食品の届出資料作成に当たってのチェックリスト」に、“届出内容について、届出者(法人にあってはその代表者)による確認を行っている。”の追加。

(3)その他の技術的事項

  • 研究計画の事前登録については、「特定保健用食品の表示許可等について」の別添2「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」第2の3(2)イ(ア)a に準拠することとする。
  • 最終製品を用いた臨床試験(ヒト試験)の結果を機能性表示食品の機能性に係る科学的根拠とする場合、登録した公開データベースの登録コードを記載すること。
  • 「totality of evidence」の観点から確実性(又は信頼性)の評価も踏まえて表示しようとする機能性について総合的に肯定されるとの判断をするに至った合理的な理由を届出資料に具体的に記載すること。

 

 また「機能性表示食品に関する質疑応答集」も改正され、『研究計画の事前登録について』、『内容を更新した場合、そのことが分かるように標題を記載すること』、『研究レビューを初めて作成する場合と、更新する場合でのフロー』の質問が追加されています。なお、「事業者団体等の確認を受けた届出について 30 日を超えない期間に公表又は差戻しを行うことを目標とする運用」は、本改正により廃止されました。

施行期日と経過措置について


 (1)システマティックレビューの「PRISMA声明(2020年)」への準拠については、①新規届出は令和7年4月1日以降、②既存の届出は「随時」とされています。(2)届出内容の責任の所在の明確化と(3)その他の技術的事項についての経過期間は設けられていません。既存の届出の経過措置については、パブリックコメントの「御意見の概要及び御意見に対する考え方」にもあらためて「随時」とされています。
 今後は多くの製品(既存の届出も含む)において、システマティックレビューの見直しが進むと思われますので、改正内容についてまずは慎重に確認されるとよいでしょう。



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【オーストラリア・ニュージーランド食品基準局】アルコール飲料への糖質、糖類の強調表示に関する 基準改正案を公表


 2023年7月24日、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、「アルコール飲料の糖質と糖類に関する強調表示」の要件を明確にするための改正案について意見募集を行いました。現状のFSANZコードの基準 1.2.7では、アルコール飲料における糖質の含有量についての自主的な表示を認めています。しかし同コードでは、糖類の含有量に関する強調表示の基準は明確にされていません。そのためFSANZは、1.15%を超えるアルコールを含む食品に対する糖質と糖類の表示の許容範囲を明確にするために基準を改正することを提案しています。

 意見募集の提案書(2023年9月4日まで)によると、過去10年間で糖質や糖類の栄養成分を強調表示するアルコール飲料が増加していることが背景とされています。FSANZは2020年に市場調査を行い、実際の製品の表示例(Table 2)として、糖質では「Low carb, Lower carb, X% less carbs, No carbs」、糖類では「Low sugar, Lower sugar, X% less sugar, No sugar, Zero sugar」などを挙げています。
 その後2022年に消費者行動に関する研究レビューを実施し、その結果、消費者はアルコール飲料の栄養特性について一般知識に基づいた十分な理解ができていないと結論づけました。また、これらの強調表示が消費者にアルコール飲料のアルコールやエネルギーについて不正確な推測を引き起こす可能性があるとしています。
 改正案(Attachment A)では、1.15%を超えるアルコールを含む食品に対する糖質と糖類の表示の許容範囲が明確化されており、例えば特定の糖類の名称(果糖等)および糖質・糖類以外の炭水化物成分 (食物繊維等) に関する強調表示は禁止されることになります。

sugar means, unless otherwise expressly stated, any of the following: (a) white sugar; (b) caster sugar; (c) icing sugar; (d) loaf sugar; (e) coffee sugar; (f) raw sugar.


(1) A nutrition content claim or health claim must not be made about:
(a) kava; or (b) an infant formula product; or (c) a food that contains more than 1.15% alcohol by volume, other than a nutrition content claim about: (i) salt or sodium content of a food that is not a beverage; (ii) carbohydrate content; (iii) energy content; (iv) gluten content; (v) sugar content; or (vi) sugars content.

(2) A nutrition content claim about sugars content of a food that contains more than 1.15% alcohol by volume must not name or refer to any specific sugars. Example A nutrition content claim that refers to fructose is not permitted.

(3) A nutrition content claim about carbohydrate content of a food that contains more than 1.15% alcohol by volume must not name or refer to a component of carbohydrate other than sugar or sugars.

(Sugarsの定義は基準1.1.2の「sugars:」に記載されています。)

 なお、提案書にはEU、米国、カナダなど海外の関連基準の状況についても整理されています。日本から該当製品の輸出を検討される際には、自国の基準を再確認したうえで、慎重に比較と確認をされるとよいでしょう。

※食品表示基準第7条「栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨」(および「別表第十三」)(無糖、低糖、糖類〇%オフ等)、同第7条「糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る)を添加していない旨」(糖類無添加、砂糖不使用等)



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機能性表示食品に係る届出資料の再検証に関する通知が発表されました


 2023年7月3日、消費者庁は機能性表示食品に関する関係団体に対し、すでに届出・公表をされている科学的根拠の再検証を随時行うよう文書で要請をしました(「機能性表示食品に係る届出資料の再検証等について(依頼)」)。また重要なお知らせとして、7月7日に「<機能性表示食品に対する景品表示法に基づく措置命令を踏まえた食品表示法における対応について>」を同庁WEBサイト上に公表しました。

通知の概要


 2023年6月30日、機能性表示食品として消費者庁に届出・公表された食品について、その機能性に係る科学的根拠に関する資料も含め、その表示に対応する合理的な根拠として認められないと判断がなされ、景品表示法に基づく措置命令が公表されました。この事案を踏まえ、関係団体に以下の周知を依頼しています。

  1. 届出した食品の安全性や機能性に関する科学的根拠を改めて再検証すること。
  2. 届出資料の作成・提出においては、最新の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」及び「機能性表示食品に関する質疑応答集」並びに「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」等に基づき、適切に行うこと。

背景


 通知で触れられた措置命令によると、「機能性に関する表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を求めたところ、提出された資料はいずれも表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった」とされています。対象とされた「機能性に関する表示」には届出されたものも含まれることから、科学的根拠の内容を不十分としたものであり、2015年の制度開始以来で初めてのケースといえます。そして今後は、消費者庁に届出された機能性表示食品であっても、その科学的根拠が適切なものであるかを再検証する必要がある、という経緯になっています。
 また同日に、措置命令の対象となった商品と同一成分であって科学的根拠が同一であるという他の商品88件(DHA・EPA、モノグルコシルヘスペリジン、オリーブ由来ヒドロキシチロソール)に対し、科学的根拠に疑義がある点を指摘し、届出者に回答するよう求めました。その後7月27日に、15件の撤回の申し出があった旨と、撤回の申し出がなかった73件の商品の届出情報とその問い合わせ先等の一覧が同サイトに公表されています。

ガイドライン等の再確認を


 通知では、最新の「ガイドライン」「質疑応答集」に加え、「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」に基づいて適切に検証することとされています。この指針では、機能性表示食品の科学的根拠に関する基本的な考え方として「機能性表示食品は、表示される機能性について国が審査を行った上で消費者庁長官が個別に評価をしたものではない。したがって、表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠くと認められる場合には、その表示は事後チェックにおいて問題となるおそれがある。」と説明したうえで、科学的根拠として適切とは考えられない例などを掲載しています。
 なおガイドラインについては、7月24日より一部改正案の意見募集が始まっています。上記の届出関連資料に基づいて科学的根拠を再検証する際には、ガイドラインの一部改正案の内容(「システマティックレビューのPRISMA声明(2020年)への準拠」「届出内容の責任の所在の明確化」など)もあわせて確認されるとよいでしょう。



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添加物および食品表示などの輸出食品における各国基準調査と実務上のポイント

 
 今回のニュースレターでは、輸出食品における、主に添加物および食品表示等の各国基準調査と実務上のポイントについてお伝えします。(食品安全シンポジウム(2023年3月9日開催)講演内容をもとに一部編集したものです)

各国の基準調査の手順


 調査の際は、まずは体系的な概要から把握します。自力で探す、ツールを使う、外部に依頼する、等の方法がありますが、初めての方には日本語で整理されている「各国の食品・添加物等の規格基準(農水省)」が分かりやすいでしょう。
 以下、シンガポールを例に参照リンクを用意してみます。まずは「法的枠組」を確認しましょう。基準の概要は、主に以下の視点で確認します。なお、規則は1つに集約されているとは限らないので、関連する規則はないかを確認します。

a. 食品規格(定義や要件)を定めている規則は何か (PartⅣ
b. 添加物の使用基準を定めている規則は何か (PartⅢ 15~28
c. 表示基準を定めている規則は何か (PartⅢ 5~14

  各規則の詳細を探していくと、法令、基準、通知等の様々な種類の文書が見つかります。まず「事業者向けガイド」を探し、その参照情報から、根拠となる規則を確認するとよいでしょう。なお英語圏以外の国の場合、英語版はあくまで概要である場合が多いため、その後に必ず現地語版を確認することが大切といえます。(PR:英語版の調査に慣れてきたら、gComply(各国基準検索システム)などのツール活用が便利です。)

周辺基準との関連性を把握する


 添加物使用基準の調査では、「日本では添加物に該当するが対象国では添加物に該当しない」もしくは「日本では添加物に該当しないが対象国では添加物に該当する」(例:韓国EUにおけるMaltitol、Erythritol等)といった事例も多々あります。また、加工助剤などの定義自体は同様であっても、使用できる添加物に制限がある場合(例:台湾)もあります。その他、添加物使用基準に記載されているものであっても、用途により別の基準が適用される場合(例:中国の添加物栄養強化剤)もあります。
 特に「食品分類」によって添加物使用基準、表示基準は変わることから、これらの関連に注意しながら確認します。例えば使用できる添加物の用途や量などの規制は、「添加物使用基準」という規則にすべて掲載されていればよいのですが、対象国によっては食品規格や表示基準など周辺の規則にも記載されている場合(例:カナダの強化小麦粉、米国カリフォリニア州のProp65)もあるためです。
 基準調査にあたっては、特に表形式になっている文書(添加物使用基準等)を発見した場合、その他の基準の存在にも注意を払うことが大切といえます。なお、表示に関する規則にも届出・許可制度や広告規制などの調査が必要な場合もありますし、表示以外では安全性規制や容器包装(食品接触材料)など多岐にわたる確認が必要です。

実務上の課題


 さらに、これら確認すべき規則や文書を特定したあとであっても、 「添加物に該当しない原材料は情報が少なく判断が難しい」「用語の基準がないものは、翻訳が適切であるかを確認しにくい」のほか、「使用基準の確認に必要な情報が揃わない場合がある」「表示に必要な情報を事前に定義するのが難しい」など実務においては様々な課題があります。
 対象国数と食品数が増えると、必要な情報を事前に定義することが難しくなります。すべての情報を収集するか、必要な情報に絞り込んで収集するか等、自社の状況に適した「ちょうどよいバランス」の模索が課題といえるでしょう。



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「食品表示基準」「食品表示基準について」「食品表示基準Q&A」が改正されました~くるみのアレルゲン表示義務化、その他~


 2023年3月9日、消費者庁は「食品表示基準」「食品表示基準について」「食品表示基準Q&A」の改正を発表しました。主な改正内容としては、くるみのアレルゲン表示義務化、特定遺伝子組換え農産物の対象EPA・DHA産生なたねの追加、が挙げられます。今回は、くるみのアレルゲン表示義務化について、詳細を以下に整理してみたいと思います。
(※特定遺伝子組換え農産物の対象EPA・DHA産生なたねの追加については、過去のコラムを参照ください。)

「食品表示基準」の主な改正点


 別表第十四にくるみが追加され、特定原材料が7品目から8品目へと変更されました。

改正前(旧) 改正後(新)
えび
かに
小麦
そば


落花生
えび
かに
くるみ
小麦
そば


落花生

「食品表示基準について」の主な改正点


 “特定原材料に準ずるもの“からくるみが削除され、21品目から20品目へと変更されました。

改正前(旧) 改正後(新)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

別表1(特定原材料等の範囲)は、変更はありません。ただしQ&A(後述)に「範囲」が追加されています。

特定原材料等 分類番号(1) 分類番号(2) 大分類 中分類 小分類
くるみ 69 8591 殻果類 その他の殻果類 くるみ

別表2(特定原材料等由来の添加物についての表示例)への、表示例の追加はありません(改正前と同じ)。

特定原材料の名称 区分 添加物名 特定原材料の表示 備考
くるみ

別表3(特定原材料等の代替表記等方法リスト)への、表記例の追加はありません(改正前と同じ)。

特定原材料(食品表示基準で定められた品目) 代替表記 拡大表記(表記例)
表記方法や言葉が違うが、特定原材料と同一であるということが理解できる表記 特定原材料名又は代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記例
くるみ クルミ くるみパン くるみケーキ

 なお「2.2定性検査法」に、リアルタイムPCR法とPCR-核酸クロマト法に関する追加がなされています。

改正前(旧) 改正後(新)
定性検査法には、ウエスタンブロット法やPCR法がある。一般に、卵、乳については、ウエスタンブロット法が用いられる。一方、小麦、そば、えび、かに、落花生については、一般にPCR法が用いられる。
なお、ウエスタンブロット法、PCR法以外の定性検査法を用いることは妨げないが、この場合には、これらの検査法と同等あるいは同等以上の性能を持っていること。
(略)
定性検査法には、ウエスタンブロット法、PCR法、リアルタイムPCR法やPCR-核酸クロマト法がある。一般的に、卵、乳については、ウエスタンブロット法が用いられる。一方、えび、かにについては一般的にPCR法、小麦、そば、落花生については一般的にPCR法又はリアルタイム PCR法、くるみについては一般的にリアルタイムPCR 法又はPCR-核酸クロマト法が用いられる。
なお、ウエスタンブロット法、PCR法、リアルタイムPCR 法、PCR-核酸クロマト法以外の定性検査法を用いることは妨げないが、この場合には、これらの検査法と同等又は同等以上の性能を持っていること。
(略)

 この追加に関連して、「定性検査法」の詳細の追加および「判断樹について」の変更がなされていますので、検査方法について確認をされたい場合は一度目を通しておかれるとよいでしょう。

「食品表示基準Q&A」の主な改正点


 くるみの範囲に関するQ&A(D-3)が追加されました。

(D-3)特定原材料の「くるみ」の範囲を教えてください。
(答)
「くるみ」とは、日本標準商品分類番号 698591 のくるみであり、主に流通している海外産(チャンドラー種やハワード種など)に加えて、国産(オニグルミ、カシグルミやヒメグルミなど)も表示の対象としています。また、くるみオイル、くるみバター等もアレルゲンとなるので、注意が必要です。

 なお本稿には含めておりませんが、「特定遺伝子組換え農産物の対象EPA・DHA産生なたねの追加(別表第十八への追加)」に関連して、Q&Aも一部追加および変更がなされています。またその他の改正点として、「セットで販売され、通常一緒に食される食品」の栄養成分表示の方法について、Q&Aの追加がなされていますので、関連する食品を取り扱いされる方はご確認ください。

経過措置期間と今後について


 以下のとおり、令和7年3月末までとされています。

この府令の施行の日から令和七年三月三十一日までに製造され、加工され、又は輸入される加工食品(業務用加工食品を除く。)及び同日までに販売される業務用加工食品の表示については、この府令による改正後の食品表示基準別表第十四の規定にかかわらず、なお従前の例によることができる。

 くるみのアレルゲン表示義務化は、平成30年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書において、くるみを筆頭に木の実類の即時型アレルギーの健康被害が大幅に増加していると報告されたこと等を受け、改正に至った経緯があります。

 また、その後の令和3年度の調査においてもさらに症例数が増えている実態がありますので、経過措置期間であっても、消費者からの問い合わせには対応できるよう、原材料規格書などの情報管理について改めて確認することが大切だといえるでしょう。

参照:
食品表示法等(法令及び一元化情報)
新旧対照条文 (食品表示基準 令和5年3月9日内閣府令第15号)
新旧対照表 (食品表示基準について 第28次改正)
新旧対照表 (食品表示基準Q&A 第15次改正)



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景品表示法検討会報告書が公表されました


 2023年1月13日、消費者庁は「景品表示法検討会報告書」を公表しました。2022年3月より10回の検討を経て報告書としてとりまとめたものですが、「事業者が是正の計画を申請できる確約手続の導入」「繰り返しの違反行為に対する課徴金の割増」など、今後の検討課題などが整理されています。今回は、これらの検討の背景や課題の概要などについてお伝えしたいと思います。

検討の背景


 2022年3月の検討会開催趣旨は以下のとおりです。

一般消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選択できる環境を確保することを目的とする景品表示法については、平成 26 年に法改正が行われたところ、改正法の施行から一定の期間が経過したこと及びデジタル化の進展等の景品表示法を取り巻く社会環境の変化等を踏まえ、消費者利益の確保を図る観点から必要な措置について検討するため、景品表示法検討会を開催する。

 社会環境の変化としては、「デジタル化の進展により、電子商取引が盛んとなった」「その広告表示もインターネットによるものが主流になった」「国際的な取引も盛んに行われている」などが挙げられています。

 また最近の景品表示法の運用では、「課徴金制度が導入されたことにより事件処理に要する期間が長期化」しており、「端緒件数が増加傾向」にあるが「措置件数を増加させることができていない」状況であるとされています。その一方で「繰り返し違反行為を行う事業者」等の存在を、検討の背景として挙げています。なお、悪質な違反行為の例として以下の事例等が掲載されています。

<事例1:優良誤認>
当該事業者は、サプリメントを一般消費者に販売するに当たり、SNS内のアカウントの投稿において、あたかも、本件サプリメントを摂取することで、一定の効果が得られるかのように示す表示をしていたが、調査をしたところ、当該事業者は当該表示の裏付けとなる根拠を示す資料を全く有していなかった。

検討すべき課題


 報告書では検討すべき課題を早期に対応すべきものと中長期的に対応すべきものとに分け、以下のようにとりまとめています。

1 早期に対応すべき課題
(1) 事業者の自主的な取組の促進(確約手続の導入)
(2) 課徴金制度における返金措置の促進(電子マネー等の活用など)
(3) 違反行為に対する抑止力の強化
(課徴金の割増算定率の適用、課徴金の算定基礎となる売上額の推計等)
(4) 刑事罰の活用
(5) 国際化への対応(海外等に所在する事業者への執行の在り方など)
(6) 買取りサービスに係る考え方の整理
(7) 適格消費者団体との連携
(8) 法執行における他の制度との連携
(9) 都道府県との連携
(10) 不実証広告に関する民事訴訟における立証責任等

2 中長期的に検討すべき課題
(1) 課徴金の対象の拡大
(2) デジタルの表示の保存義務
(3) 供給要件(「自己の供給する商品又は役務」)を満たさない者への規制対象の拡大
(4) ダークパターン

 上記のうち、事業者側が注目すべきポイントとして「事業者が是正の計画を申請できる確約手続の導入」「繰り返しの違反行為に対する課徴金の割増」の2点を取り上げてみたいと思います。報告書でのとりまとめは、以下のとおりです。

(1) 事業者の自主的な取組の促進(確約手続の導入)

“現行景品表示法においては、(中略)意図せずに結果的に不当表示を行った事業者であり、表示の改善等自主的な取組を積極的に行おうとする場合であっても、違反行為が認められれば、措置命令等の対象となる。”

“これまで、不当表示事案に対する法的措置としては、措置命令又は課徴金納付命令によって対処されてきたが、例えば、自主的に十分な内容の取組を確実に実施できると見込まれる事業者については、これらの命令を行うよりも、事業者の自主的な取組を促した方がより早期に是正が図られると考えられる。”

 なお、確約が履行されなかった場合の対応等については、「ガイドライン等で明確化を図るべき」としています。

(3) 違反行為に対する抑止力の強化(課徴金の割増算定率の適用、課徴金の算定基礎となる売上額の推計等)

”景品表示法違反行為を行った事業者の中には、一度措置命令又は課徴金納付命令を受けたにもかかわらず、繰り返し違反行為を行う事業者がいる。このような事業者に対しては現行の制度では十分な抑止力が働いているとはいい難いことから、そのような事案に即した抑止力を強化する必要がある。”

”景品表示法においても、抑止力を高めるため、(中略)繰り返し違反行為を行う事業者に対しては割り増した算定率を適用すべきである。”

 また「違反事業者が公正取引委員会の調査において資料を提出しないなど」による課徴金の算定の課題については、「課徴金対象行為に係る売上額等を合理的な方法により推計できるとする規定を整備すべき」としています。

今後について


 報告書の提言を受け、今後は消費者庁が景品表示法の改正案の検討作業を進めることになります。食品表示に関する業務を担当される方のうち、とりわけ健康食品など健康や機能性についての表示のある商品をお取り扱いの方は、報告書の内容を一度読んでおかれるとよいと思います。また広告表示の確認業務まで担当される方は、昨年12月28日に公表された「ステルスマーケティングに関する検討会報告書」もあわせて読んでおかれるとよいでしょう。

参照:
景品表示法検討会(消費者庁)



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くるみ義務化の答申、経過措置期間は令和7年3月31日まで~その他、今後の改正情報と経過措置期間まとめ~


 食品表示基準の一部改正(くるみの義務化等)について諮問されていた改正案に対し、2022年12月13日付で改正案のとおりとする答申がされました。答申書によると、くるみの義務化の経過措置期間は令和7年(2025年)3月31日とされています。一部改正は近く公布、施行される見込みですが、今回の改正を機に、今年を含む数年間の食品表示制度改正と経過措置期間について整理してみたいと思います。

各改正の経過措置期間について


 食品表示制度に関する主な改正と経過措置期間について、前後数年のものをまとめると以下のようになります。既に経過措置期間が終了しているもの、経過措置期間終了までわずかなものもありますので、あらためて確認していただければと思います。

主な改正 経過措置期間
新たな原料原産地表示 2022年3月末に経過措置期間終了(済)
添加物表示(人工・合成の削除) 2022年3月末に経過措置期間終了(済)
“遺伝子組換えでない”表示 2023年3月末に経過措置期間終了
添加物不使用表示ガイドライン 2024年3月末に経過措置期間終了
くるみのアレルゲン表示義務化 2025年3月末に経過措置期間終了

 なお、2022年12月13日付で答申された食品表示基準一部改正には、「特定遺伝子組換え農産物へのEPA・DHA産生なたねの追加」も含まれます。その他、2022年12月に「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項改定」がありました。

“遺伝子組換えでない”表示


 2019年4月に、主に以下の2点について改正されたものです。

  • “遺伝子組換えでない”表示が認められる条件を現行制度の「(大豆及びとうもろこしについて意図せざる混入率)5%以下」から「不検出」に厳格化する。
  • 5%以下の場合、分別生産流通管理が適切に行われている旨の表示を任意で行うことができる。

 最大5%混入しているにもかかわらず、“遺伝子組換えでない“表示を可能としていることは誤認を招く等の意見をもとに、誤認防止等の観点により改正された経緯があります。

 改正による主な注意点は、2023年4月1日以降、「遺伝子組換えでない」旨の表示は、適切に分別流通管理を行った上で、遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる大豆・とうもろこし及びこれらを原材料とする加工食品に限り、表示することができるようになる点です。

 例えばこれまで「大豆(遺伝子組換えでない)」と表示していたところ、遺伝子組換え大豆が混入しないように、適切に分別生産流通管理が行われた大豆を原材料としている場合は、「大豆(分別生産流通管理済み)」や「大豆(遺伝子組換え混入防止管理済)」などの「分別生産流通管理が適切に行われている旨」の表示に変更しているケースがみられます。

添加物不使用表示ガイドライン


 2022年3月に、注意すべき食品添加物の不使用表示として10の類型が公表されたものです。

類型1:単なる「無添加」の表示
類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
類型6:健康、安全と関連付ける表示
類型7:健康、安全以外と関連付ける表示
類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示
類型 10:過度に強調された表示

 現状の曖昧な食品表示基準Q&Aを基に「無添加」等の表示を事業者が任意で行っていることが、消費者意向調査において一部の消費者が「無添加」等の表示を理解していない結果が得られた理由の一つとも考えられる等の意見をもとに、ガイドラインの策定に至った経緯があります。

 ガイドラインによる主な注意点は、各類型の例に当てはまることだけではなく、商品の性質等などを基にケースバイケースで全体として、表示禁止事項に該当すると判断される場合がある点といえます。

 ガイドラインを補足する情報として、2022年6月に消費者庁より「啓発チラシ・ポスター」(途中修正あり)と「10類型イラスト」が公表されていますので、あわせて参考にされるとよいと思います。

くるみのアレルゲン表示義務化


 2022年12月13日付で答申された食品表示基準の一部改正により、別表第十四にくるみが追加されるものです。

別表第十四(改正前) 別表第十四(改正後)
えび
かに
小麦
そば


落花生
えび
かに
くるみ
小麦
そば


落花生

 平成30年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書において、くるみを筆頭に木の実類の即時型アレルギーの健康被害が大幅に増加していると報告されたこと等を受け、改正に至った経緯があります。

 なお、その後の令和3年度の調査においてもさらに症例数が増えている背景があります。

原因食物 区分 平成24年度 平成27年度 平成30年度 令和3年度
くるみ 即時型症例数 40 74 251 463
ショック症例数 4 7 42 58

 以上、現状でいくつかある食品表示制度改正とその経過措置期間について整理をしてみました。とりわけアレルゲンの“くるみ“については、上記のような背景があることから、これまでの義務表示7品目のみを表示している商品のうち、アレルゲンとして“くるみ”を含むものについては、できるだけ早く対応することが必要といえるでしょう。
 また今後、食品表示に関する新しい改正情報などがあれば、こちらで取り上げるようにしたいと思います。

参照:
答申書(食品表示基準の一部改正について)



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地理的表示保護制度の運用見直しについて


 2022年11月1日、農林水産省より「地理的表示保護制度の運用見直し」が公表されました。地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度とは、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因・環境の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度です。世界では既に100ヶ国以上で導入されており、日本では2015年から導入されました。

地理的表示とは


 市田柿を例にすると、「産品(生産地、特性)」と表示の関係は以下のようになります。

産品 地理的表示
生産地 特性
・下伊那郡高森町(旧市田村)が発祥の「市田柿」のみを使用
・昼夜の寒暖差が大きいため、高糖度の原料柿ができる
・晩秋から初冬にかけて川霧が発生し干柿の生産に絶好の温度と湿度が整う
・じっくりとした「干し上げ」、しっかりとした揉み込み
・「市田柿」は特別に糖度が高い
・もっちりとした食感
・きれいな飴色
・小ぶりで食べやすい
・表面を覆うキメ細かな白い粉化粧
市田柿

 地理的表示(GI)は、生産者団体が産品について登録を受け、構成員が使用する形式をとります。登録内容は明細書に記載され、構成員が行う生産が適合して行われるよう指導等が実施されます。また登録された地理的表示が不正使用された場合には、行政が取り締るのも特徴の1つです。

 例えばスペインのレストランにおいて、南米産牛肉のメニューに、「TROPICAL KOBE BEEF」と表示している例や、ドイツのスーパーにおいて、NZ産和牛に「Wagyu “Kobe-Style”」と表示している事例等を確認した場合、欧州との相互保護の枠組の下、EU当局等に適切な措置を執るよう要請し、当局からの指導の上、削除されます。

 これまで他産品よりも優位な品質、厳しい生産行程管理を重視する運用と、模倣品排除を通じた産品のブランド強化等に貢献してきた反面、こうした運用が徐々に厳格化していった結果、GI産品は他産品との品質差を証明し易く、地域でまとまり易い小規模・地場の伝統野菜等に偏った経緯があります。

運用見直しの概要について


 そこで2022年11月1日より、GI制度の運用を見直すことになりました。これまでの地域の伝統野菜だけでなく、加工品、海外志向の産品まで、多様な産品の登録につながるよう間口を広げ、輸出促進を更に後押しする狙いがあります。

 運用見直しの概要は以下のとおりです。

1 審査基準の見直し ・差別化された品質がなくとも、地域における自然的・人文的・社会的な要因・環境の中で育まれてきた品質、製法、評判、ものがたり等のその産品独自の多彩な特性を評価する審査を推進
・知名度なども考慮し、生産実績が25年に満たなくとも、登録の可否を弾力的に判断
2 登録前後における手続の見直し ・GI産品と信頼して購入した需要者の利益を毀損しない、GI真正品について、名称の統一が申請への合意形成の支障とならないよう、登録名称を分断する名称の継続使用を可能に(「霞ヶ関りんご」が登録された場合の「霞ヶ関○○りんご」)
・生産者の遵守事項の簡素化を推進。生産行程管理業務も、年1回の実績報告書を廃止し、最終製品ではなく、生産の手順・体制をチェックする方法へ
3 GIの市場における露出の拡大 ・GIマークを、GI産品の加工品に使用する場合のルールを明確化
・GIマークも効果的に活用し、外食、食品、観光などの他業種とのコラボ商品・コラボサービスの開発・提供を推進

 加工品が過半を占め、輸出も多い欧州のGI制度では、他産品との優劣ではなく、地域と結び付いたその産品独自の魅力や強みが評価されます。こうした海外の制度を参考に審査基準を見直しつつ、手続きの簡素化等を推進することにより制度利用の拡大を図る考えです。

食品表示と今後について


 今回の運用見直しは、食品表示実務そのものには大きな影響はありません。日本の登録GI(120産品)と、日本で保護される外国GI(109産品)に注意する点は、これまで同様です。
(※農林水産省「日本における海外のGI保護」→「指定産品一覧」より確認できます。例:Grana Padanoグラナ パダーノ(ナチュラルチーズ))
 一方で、日本から海外へ食品を輸出される方には、まずはGI制度自体について、改めて確認する機会にしていただければと思います。なおEUにおいても「持続可能性」をGI表示の要件とするなどの見直し案が検討されていますので、こうした現在の動向と合わせて確認されておかれるとよいと思います。

参照:
地理的表示保護制度の運用見直し(農林水産省)
指定産品一覧(日本における海外のGI保護)(農林水産省)
Commission strengthens geographical indications to preserve high quality and reinforce protection(EU)



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