
食品表示を取り巻く環境は、デジタル技術の進展を背景に、少しずつですが各国で変化が進んでいます。日本でも消費者庁による「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」で議論が進められており、弊社ミニコラムでその動向を取り上げています。今回は、この日本の現状を起点に、海外の食品表示デジタル化の状況を整理してみたいと思います。
まず中国では、国家市場監督管理総局が所管する食品安全国家標準において、QRコード等を用いた電子的な情報提供を制度設計の段階から想定しています。代表的な規格であるGB 7718-2025と表示規格に係るQ&A(第13項)では、物理ラベル上の義務表示事項を補完するという位置付けではありますが、表示面積が限られる場合には、調理方法や栄養成分などの物理ラベルの情報の一部についてのデジタル表示が認められています。更に事業者所在地など一部項目については物理ラベルの記載事項の簡略化にまで踏み込んでいる公告もあり、デジタル表示も表示制度の枠組みの中で整理されつつあります。
韓国では、食品等の表示基準の一部改正告示が昨年に公開されています。「QRコードなどバーコードを通じて電子的方法で表示事項情報の提供を拡大することによって食品表示の読みやすさを向上させる」ことが改正の主な意図とされており、改正基準(告示第2025-60号)の食品別の表示規定において、「QRコードなどのバーコードで提供可能」とデジタル表示が随所に認められています。ただしアレルゲンなど食品安全に関わる情報や、一部栄養成分(熱量、ナトリウム、糖類、トランス脂肪酸)および原材料名(配合比率上位3位)はパッケージ上に表示することが義務付けられています。これらのことから、韓国ではデジタル表示を補完的に使用することにより、パッケージ上の表示スペースを確保し、より重要な情報を見やすく表示するという方向性で、表示のデジタル化への取り組みが本格的にスタートしていると考えられます。
ニュージーランドでは、現行のFood Act 2014の枠組みを前提として食品表示制度が運用されています。この法体系の下で、英語表記を行っておりCodexと整合した国の基準には適合しているが、ニュージーランドの表示基準に完全には適合していない輸入食品の物理ラベルについて、その不足部分をデジタル表示で補完できるとする試行案が、政府主導で公開協議されてきました。物理表示を代替するものではなく、補完的手段としての有効性を検証する位置づけとされています。
こうした各国の動きは、コーデックス委員会(CCFL47)で整理された「テクノロジーを用いた食品情報提供に関する考え方」とも方向性を同じくしています。コーデックスでは、情報の正確性、アクセス性、誤認防止を確保した上で、各国が自国制度に応じて技術を活用することが示されています。
以上、国によって取り組み方は違いますが、その違いを意識しながら、今後の食品表示のデジタル化の流れにも引き続き目を向けていきましょう。
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亀山 明一
趣味は外国文化に触れることと旅行。
・2020年10月20日 Regulatory Requirements of Food Ingredients/Additives Used in Japan
ChemLinked(REACH24Hコンサルティンググループ)様主催。
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