
2026年8月5日、厚生労働省医薬局より「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」の一部改正の通知が公表されました。主な改正内容ともに、通知の基本的な情報についてもこの機会に整理してみたいと思います。
「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」は、個別の原材料が医薬品に該当するかを判断するために例示としてまとめられたリストです(人が経口的に服用する物が医薬品に該当するかどうかは「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」により判断されます)。そしてリストには、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(以下「専ら医リスト」)と「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(以下「非医リスト」)の2種類があります。
今回(2026年8月)改正があったのは、主に以下の3点です。
①専ら医リストの植物由来物等の表に学名欄を追加(その他名称欄等の整備)
②専ら医リストの動物由来等の表のうちセンソの他名と部位、レイヨウカクの他名
③非医リストの植物由来等の表のうちイザヨイバラの部位、クラミドモナス・ラインハルチーの学名と他名、ショクヨウホオズキの備考、バラ属の部位と備考
専ら医リストは、「医薬品と判断される原材料はないか」を確認する際に参照します。例えばリストの最初の行より、アオワニの学名(Aloe ferox Mill.)、他名(アロエ/ケープアロエ)、部位等(葉の液汁)、備考(根・葉肉は「非医」、キダチアロエの葉は「非医」)の規定が確認できます。そして非医リストは、「医薬品と判断されない原材料であるか」を確認する際に参照します。例えばアオワニの欄では、「部位等(根・葉肉)、備考(葉の液汁(アロエ)は「医」)」の規定が確認できます。
ここでリストを確認しようとWEB上で検索する際には、改正前の過去のリストを参照しないよう注意が必要となります。過去の主な改正としては、2020年に「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別添から「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」に独立する制度改正があったこと、そして2021年から2023年にかけて数回の一部改正(新規成分の追加、一部成分の非医から専ら医への移行等)があったことに注意するとよいと思います。
以上のように、専ら医リストは「医薬品原材料の例示」、非医リストは「非医薬品(食品)原材料の例示」として考えておくと、使用する原材料の確認時に参考になると思います。なお海外にもこれに近いリストもあり、例えば台湾には、「可同時提供食品使用之中薬材」(食品に使用できる漢方薬のリスト)と「可供食品使用原料彙整一覽表」(食品への使用が認められている原材料リスト)があります。そして中国では「按照传统既是食品又是中药材的物质(2025年版)」(食品と漢方薬の両方で使用される原材料リスト)を、また韓国では「食品原材料リスト」をそれぞれ確認することができます。
これらは日本の制度とは異なるものではありますが、医薬品(または認可が必要な「新規食品」)に該当する原材料は何か、食品として使用できる原材料は何かを確認するうえでは参考になると思います。特に健康食品に使用される原材料を含む製品においては、添加物などの原材料の確認業務と合わせて、同様の制度について確認をされるとよいと思います。
メールマガジン配信登録
こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。
関連サービス
【国産食品(国内流通)】食品表示調査:配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。各方面からの原材料詳細や表示内容の確認などの対応業務をサポートします。新商品や改版の確認業務、膨大な規格書情報の確認業務にご利用いただいております。
【輸入食品】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。様々な国から輸入される場合の確認業務効率化などにご利用いただいております。
川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
- 『基礎からわかる 輸出時の食品表示の実務ガイドブック』(第一法規株式会社, 2026)
- 『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』(第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
- 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
- 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
- 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
>> 寄稿の詳細はこちら
■最近の講演・セミナー実績
- 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
兵庫県指定観光名産品協会様主催。 - 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
食品技術士センター様主催。 - 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
一般財団法人食品産業センター様主催。 - 2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
一般財団法人日本能率協会様主催。 - 2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
一般財団法人食品産業センター様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら
最新記事 by 川合 裕之 (全て見る)
- 食薬区分の例示の一部改正と原材料確認について - 2026年9月3日
- コーデックス委員会、予防的アレルゲン表示(PAL)ガイドラインを採択 - 2026年8月3日
- 各国の期限表示制度と実務上の注意点について - 2026年7月6日





