コーデックス委員会、予防的アレルゲン表示(PAL)ガイドラインを採択

By | 2026年8月3日

 2026年7月10日、コーデックス委員会は第49回会合で「予防的アレルゲン表示(precautionary allergen labelling:以下「PAL」)」と呼ばれる表示に関するガイドラインを正式に採択することを発表しました。同ガイドラインは「包装済み一般食品の表示に関する一般規格(CXS 1-1985)」に組み込まれる予定(暫定版はこちら)です。

 PALとは、「“may contain nuts”(ナッツ類が含まれている可能性があります)」などの表示を指します。意図せずアレルゲンが混入するリスクがあることを示すために記載される警告表示ですが、この表示が過剰に使用されたり誤用されたりする傾向があるとして、ガイドラインの策定に至った経緯があります。  ガイドラインでは、アレルゲンの管理を「食品事業者向けアレルゲン管理実施規範(CXC 80-2020)」により実施し、そのうえでアレルゲンの意図しない混入を防止または管理できない場合には、科学的根拠に基づいたリスク評価の判定基準を利用することを定めています。

アレルゲン品目(IgE介在型) 参照用量
(総たんぱく質量mg)
アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミアナッツ、松の実、くるみ、ペカンナッツ、セロリ、マスタード 1.0
ピーナッツ、卵、乳、ごま 2.0
ヘーゼルナッツ 3.0
小麦、魚 5.0
そば、ルピナス、大豆 10.0
甲殻類 200.0
アレルゲン品目(セリアック病) 参照用量
(総グルテン質量mg)
グルテンを含む穀類(小麦、ライ麦、大麦) 4.0

(※グルテンを含む穀類についてPALを使用する場合、「グルテンフリー」という用語を使用してはならない。)

 リスク評価の判定はアレルゲン品目別の参照用量(表)に基づき、意図しない混入量がアクションレベル(摂取食品重量に換算したときの濃度)を超えている場合にはPALを使用します。一方でアクションレベル以下である場合にはPALは使用できないため、PALは厳密に必要な場合にのみ使用されることになります。

 今回の採択により、各国や地域における検討も広がるものと思われます。例えば米国では「may contain」等による警告表示を「Allergen Advisory Statements (AAS)」と呼んでおり、2026年2月にFDA(米国食品医薬品局)により実施されたアレルゲン閾値の設定に関する意見交換会でも取り上げています。
 また英国はコーデックスのガイドライン策定に積極的に参加しており、PALの表示基準(閾値の設定を含む)について、FSA(食品基準庁)による見解が公表されています。EUでは公式のパブリックコンサルテーションサイトにおいて、EU全体でのPALの使用の統一に関する法案の検討予定(2027年第4四半期)が公表されています。

 なお、日本では「May Contain ○○」にあたるアレルゲンの可能性表示は禁止されており、コンタミネーション防止対策の徹底を図ってもなおコンタミネーションの可能性が排除できない場合は注意喚起表記(例:「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています。」)が推奨されています(「食品表示基準について」 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示 第1-3-(5),(6))。
 食品の輸出入にあたっては、こうした制度の違いと動向を踏まえておくことが求められます。まずは今回採択されたガイドラインを含む一般規格(CXS 1-1985)の統合版が公表され次第、目を通しておかれるとよいでしょう。



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川合 裕之

代表取締役株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

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