米国の標準化食品における代替塩使用の方向性について

By | 2026年11月6日

 2026年10月13日、米国食品医薬品局(FDA)は食品に添加されるナトリウムの含有量を低減するため、標準化食品における代替塩の使用を認める最終規則を公表しました。今回の最終規則は2026年12月14日より施行されることになります。

代替塩の使用

 代替塩とは、21 CFR 130.30(c)(1)により食品中のナトリウムを減少させるために、食品に添加される塩(塩化ナトリウム)の一部または全部を置き換えるために使用され、かつ食品において塩の機能を果たす安全かつ適切な成分(または成分の組み合わせ)と定義されます。

 今回の改正は、代替塩が食品において食塩の機能を果たすことが定められているため、カリウム系成分に限定しておらず、酵母エキス、MSG、アミノ酸、乳エキスなど科学文献で議論されている代替塩として機能できる21 CFR 130.30(c)(1)の定義を満たす物質での置き換えも可能です。また、代替塩の使用量の下限や代替塩を含む標準化食品におけるナトリウム含有量の基準値に関する規定も設けておりません。

対象となる食品

 標準化食品はFDAによる食品の定義に関する規格基準である「識別規格(Standards of Identity)」に満たしている食品のことを指しています。種類によって原材料の配合や使用、形状の基準が定義されているため、それに従った名称を用いなければなりません。食品中のナトリウムを低減させる目的で他の成分を置き換えることで、製品を本来の名称そのまま表示できなくなる可能性がありますが、この改正によって「標準化食品における原材料の柔軟性(Ingredient flexibility in standardized foods)」と題する21 CFR 130.30が新設され、既存識別規格の相互参照により間接的に適用される59種類と併せて計139種類の食品に代替塩の使用を認めるようになります。

 識別規格に改正の旨が明記される80種類の対象食品は、乳および乳製品、チーズおよびチーズ製品、バター、マーガリン、パン類、小麦粉、マカロニや麺類製品、野菜類、果物や水産製品の缶詰め製品、チョコレート類製品、シロップ製品、サラダドレッシングなどがあります。

代替塩の表示

 代替塩を使用した食品には新たな表示要件を設ける、もしくは既存の表示要件を変更するものではありません。代替塩を含む原材料は21 CFR 101.4(b)で規定されている条件を除き、原材料リストには「代替塩」という総称ではなく、その一般名または通常名で表示することが義務付けられています。アレルゲンを含む場合はFD&C法第403条(w)の規定に従い表示しなければなりません。

 なお、21 CFR 101.9(c)(8)(ii)および(iii)により、カリウムを主要原材料として食品に添加し、1食あたりのカリウム含有量が1日の推奨摂取量の2%以上となる食品も引き続き栄養成分表示にはカリウムを記載する必要があります。容器包装前面(FOP)栄養成分表示制度に関する改正案は最終規則となる場合、ナトリウムも主要表示面での表示が義務付けられる対象となる栄養成分として取り上げられています。

 諸外国の実際の食塩摂取量の推移傾向はlow-salt-low-sugar表示 (参照:弊社過去コラム)などの減塩政策をある程度反映していると思われます。消費者の健康志向が高まる中、FDAもこうした国際トレンドに合わせて今回の基準改正を行ったと思われます。製品の輸出に向けてナトリウムの代替原材料を検討する際により柔軟に進めるように参考にしていただけると幸いです。



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王 惠嫻

台湾出身。栄養学を専門とし、主に国内から海外に輸出される原材料や添加物の調査業務のほか、各国の栄養成分や表示基準などの法令検索システム向けデータベース管理業務に従事しています。
趣味はカメラ。