「みそ」の日本農林規格が制定されました

By | 2022年5月13日
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 2022年3月31日、農林水産省から「みそ」の日本農林規格(JAS規格)が新規に制定されました。そこで、その内容についてご紹介させていただければと思います。

 意外かもしれませんが、みそについてはこれまでJAS規格はありませんでした。その理由としては、国内の各地には様々な種類のみそがあり、その多様性に対し品質の標準化を図ることが困難だったことが挙げられます。(今回のJAS規格は成分規格は設けられず、みその生産方法について規定した規格となっています。)
 また海外市場に目を向けた際、和食文化の広がり等を受け、みその輸出は増加基調にあり、重点品目と目されていますが、一方でみそを模した海外製品が日本のみそと並べられて販売されている状況や、中国の豆板醤、韓国のテンジャンの製品に「みそ」や「Miso」など、日本のみそと混同を受ける表示がされている実態から、海外においてはみそとはどのようなものかというのが十分認識されていない現状があります。こうした現状の中、日本のみその海外市場における競争力を強化するために、伝統的な生産方法を規定したみその規格の制定を図ったことが今回のJAS規格制定の背景になります。

定義について


 従前より食品表示基準において、下記の定義を満たすことで名称に「みそ」の名前を関して販売することができます。

次に掲げるものであって、半固体状のものをいう。
一 大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米、麦等の穀類を蒸煮してこうじ菌を培養したものを加えたもの又は大豆を蒸煮してこうじ菌を培養したもの若しくはこれに米、麦等の穀類を蒸煮したものを加えたものに食塩を混合し、これを発酵させ、及び熟成させたもの
二 一に砂糖類(砂糖、糖蜜及び糖類をいう。)、風味原料(かつおぶし、煮干魚類、こんぶ等の粉末又は抽出濃縮物、魚醤油、たんぱく加水分解物、酵母エキスその他これらに類する食品をいう。以下別表第四のみその項において同じ。)等を加えたもの
※ 以降に「米みそ」「麦みそ」「豆みそ」「調合みそ」が続く

 JAS規格におけるみその定義は記載されている内容は注釈として「半固体状」について「皿に出したときに流れて崩れない程度のもの」と補足などが加えられていますが、食品表示基準と一致しています。そのため、食品表示基準の定義に従いみそとして販売している場合は後述の要求事項を満たすことで、JAS規格の認定を検討できるものと考えられます。
 一方、みそそのものの定義の他、「米、麦等の穀類を蒸煮してこうじ菌を培養したものを加えたもの又は大豆を蒸煮してこうじ菌を培養したもの」いわゆる「こうじ」については日本の伝統的なみその製造工程の根幹となるため、より詳細な定義が設けられ、これが後述の要求事項に関係していきます。

種こうじ
米等にこうじ菌を接種・培養し、生成した胞子(分生子)を付着した米等とともに乾燥させたもの、又は、これをふるいにかけて胞子のみを分離したものであって、こうじを製造する際にこうじ菌を供給する目的で加えるもの

※1 一般的に、前者を“粒状種こうじ”、後者を“粉状種こうじ”という。
※2 種こうじにはでん粉等の賦形剤が混合されることがある。

こうじ
米、麦等の穀類、大豆又はこれらの副産物[ふすま(麬)、ぬか(糠)等]に微生物を繁殖させたもの
ばらこうじ
こうじのうち、米、麦等の穀類を蒸煮したものに種こうじを加え、こうじ菌を培養したものであって、粒状の原形を留めているもの
米こうじ
ばらこうじのうち、米を蒸煮したものに種こうじを加え、こうじ菌を培養したもの
麦こうじ
ばらこうじのうち、大麦又ははだか麦を蒸煮したものに種こうじを加え、こうじ菌を培養したもの
豆こうじ
こうじのうち、大豆を蒸煮したものに種こうじを加え、こうじ菌を培養したもの

※ 粒状の原形を留めているもの(大豆ばらこうじ)と、潰して玉状の塊にしたもの(みそ玉こうじ)がある。

規格表示に求められる要求事項


 みそのJAS規格において、求められている要求事項は以下のとおりです。

使用するこうじ菌
みその生産に用いられるこうじ菌は、Aspergillus oryzaeでなければならない。

こうじ
みその生産に用いられるこうじは、ばらこうじ又は豆こうじでなければならない。

種こうじ及び生産行程中のみその管理
1 種こうじの管理
種こうじは、受け入れた種こうじの管理が開始された時点からみその生産に使用されるまでの間、Aspergillus oryzae以外のこうじ菌を培養したものと混合しないように管理されなければならない。
2 生産行程中のみその管理
生産行程中のみそは、Aspergillus oryzae以外のこうじ菌を培養したもの又はそれを用いて発酵させたものと混合しないように管理されなければならない。

生産の方法
みその定義に適合するように生産されなければならない。

 みそにはAspergillus oryzaeやAspergillus sojae、Aspergillus tamariiなどのこうじ菌が製造に関わりますが、JAS規格ではそのうちの1種のみを指定し、他のこうじ菌が混合しないように管理されることが求められます。

 以上、みそのJAS規格について見てまいりましたが、背景として、海外市場での競争力強化が挙げられていますので、みその輸出などを検討されている場合は、規格申請を検討されてみてはいかがでしょうか。今回の情報がお役に立ちましたら幸いです。

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井上 慎也
上級食品表示診断士。生物化学を専門とし、主に原材料、添加物、表示基準の調査業務に従事しています。FOODS CHANNELにて食品表示コラムを連載(2012年)、各地の産業振興財団イベントにおいて食品表示相談員としても活躍しています。
趣味は自転車。