「フードチェーン情報公表農産物」の日本農林規格が改正されました

By | 2024年5月10日


 2024年3月29日に「豆乳類の日本農林規格の一部を改正する件」及び「フードチェーン情報公表農産物の日本農林規格の一部を改正する件」、同4月10日に「煮干魚類の日本農林規格の一部を改正する件」がそれぞれ告示されております。
 「豆乳類」および「煮干魚類」は、用語等の整理が主な内容となりますが、「フードチェーン情報公表農産物」では、従来の「レタス」、「メロン」、「ぶどう」に加え、新たに「いちご」、「米」が品目に追加されています。

追加された農産物の流通行程管理基準


品目 事項 流通行程管理基準(概要)
いちご 低温管理 流通行程:配送・保管温度の設定・管理※1
衝撃・振動管理 出荷前:輸送箱底面への衝撃緩和効果が証明された緩衝材の適用による管理
(衝撃緩和効果が証明されている緩衝材を適用しない場合は、許容される衝撃の上限及び回数を設定して管理する。)
出荷前:宙づり容器等により果実相互の衝突による影響を緩和するように管理
湿度保持・防カビ管理 流通行程:湿度保持・防カビが行える条件の設定・管理※2
低温・相対湿度管理 流通行程:配送・保管温度及び相対湿度の設定・管理※3
防カビ管理 流通行程:結露によるカビが生じないように管理
(保管倉庫への出入庫等の際に温度及び相対湿度が変化する場合)

※1 荷物の積み降ろし時等の低温管理ができない状況であって、品質に影響を及ぼすことが想定される場合における許容される温度の範囲及び滞留時間の設定・管理を含める
※2 出荷後、小売店まで3日以上の流通行程がかかる場合(輸出時等)
※3 配送時等の低温及び相対湿度管理ができない場合には、流通行程の実態を考慮し、種類ごとに、低温及び相対湿度管理を行わない時間について許容される積算時間の設定・管理を含める

表示について


 上記の基準に従った管理を含む要求事項を満たした上で、下記の表示を行う必要があります。

必要な表示

  • 「フードチェーン情報公表農産物」という用語
  • 識別番号
  • フードチェーン情報の公表の方法(HPアドレス、QRコード等、外部媒体へのアクセス)

 また、下記のような事項を任意で記載することも可能です。

任意表示事項(例)

  • 事項に沿った管理を行った旨、及び流通行程管理基準の概要
  • 出荷月日
  • 生産者、流通行程管理者に係る表示(氏名住所、連絡先等)
  • 米の品質に係る表示(穀粒判別機等による測定データ等)

まとめ


 「フードチェーン情報公表農産物」の日本農林規格の背景には、海外市場も含めた農産物の競争力の増強が目的に含まれており、今後も対象品目の拡大が見込まれます。また、これら農産物を使用した加工食品の表示方法についてどのように扱われるのか、今後も引き続き注視しておきたいと思います。


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井上 慎也

井上 慎也

上級食品表示診断士。生物化学を専門とし、主に原材料、添加物、表示基準の調査業務に従事しています。FOODS CHANNELにて食品表示コラムを連載(2012年)、各地の産業振興財団イベントにおいて食品表示相談員としても活躍しています。
趣味は自転車。