Author Archives: 川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】

【寄稿】
  • 2025年 4月1日 『Wellness Daily News』(株式会社ウェルネスニュースグループ)「食品表示基準の一部改正、課題征服へ 【解説】どこがどう変わったのか?今後の対策は?」
  • 2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
  • 2021年10月『Wellness Monthly Report』(株式会社ウェルネスニュースグループ)40号「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」

>> 寄稿の詳細はこちら

■最近の講演・セミナー実績
  • 2026年3月4日 食品表示基準改正の最新情報等
    兵庫県指定観光名産品協会様主催。
  • 2026年1月17日 海外向けの食品表示における実務上のポイント
    食品技術士センター様主催。
  • 2025年12月24日 学習資料(輸出食品の表示作成の基礎)の紹介
    一般財団法人食品産業センター様主催。
  • 2025年3月13日 輸出食品における各国基準 調査と実務上のポイント最新動向
    一般財団法人日本能率協会様主催。
  • 2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
    一般財団法人食品産業センター様主催。

>> 講演・セミナーの詳細はこちら

栄養成分表示者について~食品表示基準Q&A 第6次改正より~

 2019年3月1日に食品表示基準Q&Aの第6次改正がありました。今回は新しい表示例として、「栄養成分表示者」の追加がありましたので、こちらにとりあげてみたいと思います。

追加されたQ&A本文


 まずは追加されたQ&Aの内容を確認してみましょう。

(加工-172)小規模の事業者(注)が消費者に販売する食品は、栄養表示をしようとする場合を除き、栄養成分の量及び熱量の表示を省略することができますが、小規模の事業者が製造し、小規模でない事業者が販売する場合も、栄養成分の量及び熱量の表示を省略することができますか。

(注)小規模の事業者とは以下のいずれかに該当する者です。

  • 消費税法(昭和63年法律第108号)第9条第1項において消費税を納める義務が免除される事業者
  • 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第5項に規定する小規模企業者

(答)
小規模の事業者が製造した食品を小規模でない事業者が販売する場合は、栄養成分の量及び熱量の表示を省略することはできません。この場合、製造者(小規模の事業者)が必ず栄養成分の量及び熱量の表示を行う必要はなく、販売する者(小規模でない事業者)が表示しても差し支えありません。

(加工-173)小規模の事業者が製造し、小規模でない事業者が販売する際、小規模でない事業者が栄養成分の量及び熱量の表示を追記した場合、栄養成分の量及び熱量の表示を追記した者の氏名又は名称及び住所を表示する必要がありますか。

(答)
小規模でない事業者が栄養成分の量及び熱量の表示を追記した場合、追記した者が追記した表示内容(栄養成分の量及び熱量の表示)の責任を負うことになります。この場合、追記した者の氏名又は名称及び住所を別記様式2又は別記様式3の表示に近接した箇所に表示することが望ましいです。

【表示例】

栄養成分表示

食品単位当たり

熱量
たんぱく質
脂質
炭水化物
食塩相当量

kcal
g
g
g
g

栄養成分表示者:○○○○株式会社
東京都千代田区霞が関○-○-○

食品表示基準において栄養成分表示が省略できる場合


 ここでおさらいですが、食品表示基準においては以下の場合に栄養成分表示を省略することが可能となっています。
(出典:食品表示基準 第3条3項)

以下に掲げるもの(栄養表示(栄養成分若しくは熱量に関する表示及び栄養成分の総称、その構成成分、前駆体その他これらを示唆する表現が含まれる表示をいう。以下同じ。)をしようとする場合、特定保健用食品及び機能性表示食品を除く。)

  1. 容器包装の表示可能面積がおおむね三十平方センチメートル以下であるもの
  2. 酒類
  3. 栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの※
  4. 極めて短い期間で原材料(その配合割合を含む。)が変更されるもの
  5. 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第九条第一項において消費税を納める義務が免除される事業者が販売するもの

※熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの全てについて、0と表示することができる基準を満たしている場合、または、1日に摂取する当該食品由来の栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウム)の量及び熱量が、社会通念上微量である場合(コーヒー豆やその抽出物、ハーブやその抽出物、茶葉やその抽出物、スパイス等)(「食品表示基準について」、「食品表示基準Q&A」より)

 追加されたQ&A内でいう「小規模の事業者」とは、上記の5(消費税法第九条第一項において消費税を納める義務が免除される事業者が販売するもの)を指しています。「~の事業者が販売するもの」であり、製造するものではない、という点でQ&Aによる補足が必要になったものと思われます。

小規模事業者と栄養成分表示


 製造者に代わって、販売者が栄養成分表示を作成する、というケースを想定してのQ&A追加ということになります。実態としては、各地域にある地場農水産加工品の販売所への納入時などを想定しているものと思われます。そして2015年4月に施行され、栄養成分表示義務化への経過措置期間である2020年3月末まであと1年という時期に食品表示基準Q&Aに追加されたということは、それだけ多くの小規模事業者が栄養成分表示の新規作成を困難と感じているものと思われます。

 このQ&A追加により、小規模事業者が販売者より栄養成分表示を求められた場合は、販売者に栄養成分表示を作成してもらうことが容易になるでしょう(もちろん、取引の関係によります)。そして、地場の農水産加工品の品ぞろえを増やしたい販売者にとっては、小規模事業者である製造者に代わって栄養成分表示作成をしなければならないケースが増えることも考えられます。

 なお、食品表示基準Q&A第6次改正では、その他にもいくつか改正点(栄養成分表示における食品単位当たりの表示について、「1個の重量にばらつきがありますが、表示値は△gの場合の値です。」「1個の重量は、〇~〇gです。」といった枠外への補足事項の表示を可能とするもの等)があります。
 食品表示基準Q&Aはたびたび改正されており、2018年9月の第5次改正時には「香料や着色料といった五感に訴えるような添加物は、調味料や甘味料同様にキャリーオーバーとみなされず表示が必要」の追加がされたなどの改正がありますので、この機会に、過去の改正情報についてもあわせて確認されてみるとよいと思います。



メールマガジン配信登録

こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。

関連サービス

食品表示コンサルティング:原材料及び添加物の適合性検証、容器包装への食品表示案の適合性検証
配合表等の規格書をもとに、原材料及び添加物の国内または海外各国における使用基準との適合性を検証します。また原材料名やアレルゲン、栄養成分等の表示案と表示基準との適合性を検証します。

遺伝子組換え表示制度 一部改正の審議について(1)

 2019年2月現在、内閣府消費者委員会食品表示部会において、「食品表示基準の一部改正(遺伝子組換え表示)に係る審議」が開催されています。新たな原料原産地表示への対応など、今後の食品表示計画を検討されている方も多いと思いますので、今回のコラムに取り上げてみたいと思います。

これまでの経緯


 2017年4月から2018年3月にかけて「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」が消費者庁において開催され、「遺伝子組換え表示制度に関する検討会 報告書」が公表されました。その後2018年10月にパブリックコメントの募集が開始され、同月より内閣府消費者委員会食品表示部会において、「食品表示基準の一部改正(遺伝子組換え表示)に係る審議」が始まりました。そしてパブリックコメントのとりまとめ結果をもとに2018年12月、2019年1月、2月と審議を重ねている状況です。

主な審議内容(公定検査について)


 おさらいになりますが、「遺伝子組換え表示制度に関する検討会 報告書」における、現行制度との主な変更点は、以下の2点でした。

  • 「遺伝子組換え不分別」の表現に代わる表示案を検討しQ&A等に示す。
  • 「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件を現行制度の「(大豆及びとうもろこしについて、意図せざる混入率)5%以下」から「不検出」に引き下げる。5%以下の場合、分別生産流通管理が適切に行われている旨の表示を任意で行うことができるようにする。

 このため、制度の実効性を確保する観点から、主に「監視、公定検査法」について議論がなされています。とりわけ、「遺伝子組換えでない」や「分別生産流通管理が適切に行われている」と表示された商品に対し、それが事実であるかを原料農産物にまで遡って検証するという内容です。

 消費者庁案として提示された 「科学的検証と社会的検証を用いた遺伝子組換え表示の監視の考え方」には、以下のような検証方法が示されています。

【遺伝子組換え表示の監視】

(中略)「遺伝子組換えでない」旨の表示(任意表示)については、その原料の分別生産流通管理がなされている旨の書類、遺伝子組換え農産物が混入していないことの根拠の確認等の社会的検証に加え、科学的検証の手法で原材料の大豆やとうもろこしにおいて遺伝子組換え農産物を含まないことを確認します。

【監視対象となる表示例】

(1)遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理されたことを確認した対象農産物である旨の表示(対象農産物名のみを記載している場合も含む)

表示例

名  称 納豆
原材料名 大豆(カナダ・分別生産流通管理済み)、△△、〇〇〇、…
名  称 コーングリッツ
原材料名 とうもろこし(米国)

(2)遺伝子組換え農産物の混入がない非遺伝子組換え農産物である旨の表示

表示例

名  称 豆腐
原材料名 大豆(国産・遺伝子組換えでない

【市販品買上げ調査等】
(目的)遺伝子組換え農産物が含まれている可能性がある対象商品の絞り込み
(手法)科学的検証:加工食品の定性検査

「陽性」である場合の想定される原因

  • 遺伝子組換え農産物の使用(混入)
  • 製造ラインにおける他商品の遺伝子組換え混入原材料からの混入
  • 適切に分別生産流通管理された農産物への遺伝子組換え農産物の意図せざる混入
  • その他

【事業者への立入検査等(市販品買上げ調査等の結果が「陽性」の場合)】
(目的)違反事実の確認及び特定
(手法)社会的検証:分別生産流通管理に関する書類、その他関連書類、
          製造現場の確認、聞取り調査等
    科学的検証:原料農産物の定量検査(注1)・定性検査(注2)、加工食品の定性検査

(注1)IP管理された旨の表示及びGM表示がないものが対象 (注2)「遺伝子組換えでない」旨の表示が対象

そして、「検査の精度」と、こうした検証に対する労力が課題とされており、この議論を重ねているところです。

表示方法と今後について


 その他、表示方法に関する議論もされていますが、「遺伝子組換え表示制度に関する検討会 報告書」と関連性があると考えられている意見(「遺伝子組換え表示制度改正案にかかる委員意見」において報告書の論点番号が付記されているもの)を抜粋すると以下のようになります。

【表示内容、表現方法】

  • 「不分別」といった表現や、不検出から5%の間を示す表現については分かりやすくすべき。
  • 主観的な表現の使用は避け、極力Q&Aなどで例示すべき。
  • 「不検出」という表現に消費者は過度な期待を抱きがちになり、留意が必要。
  • 簡素な手段を用いて、充実した表示がなされる方向で検討されるべき。
  • 「遺伝子組換えでない」と表示していないことの意味が2種類あり、その点は消費者の誤認が払拭できないのではないか。
  • IPハンドリング実施の事実を、マークなどを用いて表示してはどうか。また、「IPハンドリング」という用語自体も積極的に普及を図ってはどうか。

 このほか、先の検討会において議論された内容が再度議論されているのは、パブリックコメントの結果によるものと思われます。パブリックコメントは773件の意見が集まりましたが、そのとりまとめ結果の資料(「遺伝子組換え表示制度に係る食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)に関する意見募集の結果について(概要)」)を見ると、現行の遺伝子組換え表示制度や、「遺伝子組換え表示制度に関する検討会 報告書」における改正案に対し、理解が十分でないことが分かります。

 この後、最終的な答申案について審議がされる予定です。食品表示の実務に関して言えば、こうした審議の経過までは知らなくても業務上の問題はないものの、やはり制度の成り立ちの背景を知っておくことは、分かりやすい表示を考えるうえで役に立つと思いますので、一度目を通しておかれることをおすすめしたいと思います。



メールマガジン配信登録

こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。

関連サービス

食品表示コンサルティング:原材料及び添加物の適合性検証、容器包装への食品表示案の適合性検証
配合表等の規格書をもとに、原材料及び添加物の国内または海外各国における使用基準との適合性を検証します。また原材料名やアレルゲン、栄養成分等の表示案と表示基準との適合性を検証します。

2018年の主な食品表示ニュースと今後の予定

 あけましておめでとうございます。おかげさまでラベルバンク新聞も11年目となりました。本年もどうぞ、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
 一昨年(2017年)ほどではないものの、昨年(2018年)も食品表示に関するニュースがいくつかありました。食品表示実務に携わる方は、新基準への対応等で忙しくされているところかと思いますので、こちらでまとめた内容が、今後の業務計画を立てる際の参考になりましたら幸いです。

昨年の主な出来事


 食品表示に関する出来事のうち、昨年起きた主な改正等を整理してみました。

2018年 3月 遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書の発表(「遺伝子組換えでない」表示の条件の変更)
「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」改正(「糖質、糖類」「植物エキス及び分泌物」の追加)
5月 「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン第2版」公表
6月 「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」公表
「食品衛生法等の一部を改正する法律」の公布
8月 「特別用途食品の表示許可等について」一部改正(「乳児用液体ミルク」の追加)
9月 「食品表示基準」改正※
「食品表示基準について」第13次改正※
「食品表示Q&A」第5次改正※
12月 「食品表示法の一部を改正する法律」の公布

※食品表示基準 新旧対照表(2018年9月21日)、(2018年9月1日
食品表示基準について 新旧対照表
食品表示基準Q&A 新旧対照表

今後予定されていること


 今後の予定は、以下のとおりです。主には新しく始まった制度経過措置期間が対象ですので、今後の作業計画の再確認として参考にしていただければと思います。

2020年 3月末 「食品表示基準」の経過措置期間(加工食品、添加物)(製造所固有記号)終了
2022年 3月末 新たな加工食品の原料原産地表示制度 経過措置期間終了

 今年もいろいろなことがあると思いますが、1つ1つの業務をきっちりと進めることで、全体としてよりよい仕事ができるようにしたいと思います。それでは、今年もよろしくお願いいたします。

食品表示法の一部改正について~自主回収の届出が義務化されます~

 2018年12月14日、食品表示法の一部を改正する法律(平成30年法律第97号)が公布されました。この改正により、食品の自主回収をした際に行政機関への届出が義務化されることになります。その経緯と詳細について、まとめてみたいと思います。

主な改正内容


  • 食品関連事業者等が「食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示がされていない食品の自主回収」を行う場合、行政機関への届出を義務付けされます。(※届出対象となる食品表示基準違反:アレルゲン、消費期限などの欠落や誤表示)
  • 当該届出に係る食品リコール情報については、行政機関において消費者に情報提供(公表)されます。
  • 届出をしない又は虚偽の届出をした者は罰金となります。

食品表示法に係る自主回収届出情報の例:

名称 ○○○
賞味期限 ○年○月○日
製造者 (株)○○○○
自主回収の理由 「かに」のアレルゲン表示の欠落
健康への影響 「かに」にアレルギーを有する人が、じんましん、呼吸困難等のアレルギー症状を発症することがある
画像 表示枠内の写真等
・・・・ ・・・・・・・

参照:食品表示法の一部を改正する法律の概要(平成30年法律第97号)(消費者庁)

改正の背景について


 2018年6月13日に公布された「食品衛生法等の一部を改正する法律」により、食品リコール情報の届出を制度として位置づけることになりました。食品衛生法の改正では、食品衛生法に違反する食品、食品衛生法違反のおそれがある食品の自主回収を行う場合、同様に行政機関への届出が義務付けされることになります。(※食品衛生法違反の原因となった原材料を使用した他の製品や、製造ラインの硬質部品が破損して製品に混入した場合等)

食品衛生法に係る自主回収届出情報の例:

名称 ○○○
賞味期限 ○年○月○日
製造者 (株)○○○○
自主回収の理由 腸管出血性大腸菌O157の検出
健康への影響 下痢、嘔吐等の他、過去に重症化し死亡事例がある
画像
・・・・ ・・・・・・・

参照:食品衛生法改正(食品リコール情報の報告制度)について(厚生労働省)

 その際、アレルゲン等の安全性に関わる食品衛生法違反による食品リコールについて、早急に検討することと決められたことが、食品表示法においても同様の仕組みを必要とした背景となっています。
 またこれまで食品表示法においては、食品関連事業者等が食品の自主回収(リコール)を行う際、食品リコール情報を行政機関に届け出る仕組みがなかったことが課題としてあげられています。ただ各自治体においては、すでに自主回収の報告制度が規定されている場合が多くありますので、過去に自主回収を経験された事業者の方にとってはイメージしやすいと思います。(自主報告制度を条例で規定している、もしくは条例以外の要綱等で規定している自治体は全体の80%弱です。※出典:食品衛生法改正(食品リコール情報の報告制度)について(厚生労働省))

自治体による自主報告制度について


 過去に自主回収をされたことのない事業者の方にとっては馴染みが薄いと思われますので、現状の自主報告制度について一度見ておかれることは大切だと思います。例として東京都の「自主回収報告制度」などが参考になると思いますので、下記にURLを掲載させていただきます。(※食品表示法のものと混同されないようご注意ください。)

「安全性に関する食品表示基準に従った表示」について


 最後に、「食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示がされていない食品の自主回収」のうちの「食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示」について整理したいと思います。例として「アレルゲン、消費期限など」としておりますが、具体的には「アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別、その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるもの」とされています。

 こちらは「食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項」の一部です。全部で15項目あります。

(1)名称
(2)保存の方法
(3)消費期限又は賞味期限
(4)添加物
(5)アレルゲン
(6)L‐フェニルアラニン化合物を含む旨
(7)特定保健用食品を摂取をする上での注意事項
(8)機能性表示食品を摂取をする上での注意事項
 ・・・中略・・・
(15)食品表示基準第40条に規定する生食用牛肉の注意喚起表示に関する事項

引用:食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項(消費者庁)

 施行の時期は未定ですが、万一の場合に備えて、こうした情報については一度目を通しておかれるとよいのではと思います。



メールマガジン配信登録

こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。

関連サービス

食品表示コンサルティング:原材料及び添加物の適合性検証、容器包装への食品表示案の適合性検証
配合表等の規格書をもとに、原材料及び添加物の国内または海外各国における使用基準との適合性を検証します。また原材料名やアレルゲン、栄養成分等の表示案と表示基準との適合性を検証します。

輸出入と原材料使用基準、表示基準


 日本と海外各国では、食品の制度は大きく異なります。例えばアレルゲンの表示対象品目も異なってきますので、十分な事前調査が必要です。また、こうした規則の違いによる対応の難易度にも大きな差があります。例えばアレルゲンの表示基準の違いがあることについては、その違いを知ってしまえば、対応自体はそれほど難しくありません。表示を変更すればよい、ということになるためです。その一方で、規則の違いを把握できたとしても、実際に対応することはかなり難しいということもあります。
 そこで今回のミニコラムでは、実務対応上の課題からみた「使用基準」と「表示基準」について簡単にまとめてみたいと思います。まずは以下の表をみてください。

    基準の判断のしやすさ 基準への対応のしやすさ
使用基準 原材料 Hard Hard(食品分類による)
添加物 Easy Hard(食品分類による)
表示基準 義務表示 Hard Easy
任意表示 Hard Easy

使用基準については「原材料」と「添加物」の区分で、表示基準については「義務表示」と「任意表示」で分けて考えてみました。Easyは「対応が簡単」、そしてHardは「対応が難しい」という意味です。

【原材料使用基準】
原材料使用基準については、とりわけ添加物については規則をみつけること自体は難しくありません。ただし、必要であることから使用されているものであるため、同じような機能をもつ代替の添加物を探す必要があります。その際、製造性での課題や、栄養成分訴求等の品質保証の課題について検証が必要な場合は、時間がかかることになります。

添加物以外の原材料(食品素材)については、使用基準そのものをみつけることが困難な場合があります。とくにノベルフード(食経験が長くないもので例としては成分を抽出し濃縮したエキス等があります)に該当するものを主要原材料としている場合は、代替原材料の選定は難しくなります。

【表示基準】
表示事項、表示方法、禁止表示といった表示基準は、規則が分かってしまえば対応は難しくありません。ただし、原材料使用基準の規則と違い、現地の規則は長文で記載されており、現地の担当者でも理解が難しい場合があります。つまり規則の把握自体が簡単ではないとも言えます。とりわけ強調表示など特定の条件下で表示の必要性が生じる規則などについては、規則自体の把握はかなり難しい場合があります。

そして共通する課題が、「食品分類の特定」でしょう。原材料使用基準も表示基準も、日本と同様に「食品分類」によってそれぞれ異なります。輸出入の際、どこに時間がかかりそうかを考えるうえで参考になればと思います。



メールマガジン配信登録

こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。

関連サービス

【海外輸出】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。輸出対象国の基準情報整理と確認業務の構築などにご利用いただいております。

【輸入食品】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。様々な国から輸入される場合の確認業務効率化などにご利用いただいております。

海外とアレルゲン表示


 先日、海外に輸出される予定の国産食品に「アレルゲンフリー」と表示されているものを見る機会がありました。メーカーさんに話を聞くと「原材料として使用していない」から表示しているとのことで、いくつか注意が必要と感じましたので、今月のコラムは「海外とアレルゲン表示」について書いてみたいと思います。

対象品目の違い


 日本と海外とでは、アレルゲン表示の対象品目に違いがあります。まずは日本のアレルゲン表示の対象品目は、以下の27品目(義務表示は7品目)となります。

義務(7品目):えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生
推奨(20品目):あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

 これに対して、海外の対象品目はやや異なります。例えば香港では、以下の8品目が表示義務の対象となります。

(i) グルテンを含有する穀物
(ii) 甲殻類および甲殻類製品
(iii) 卵および卵製品
(iv) 魚および魚加工品
(v) ピーナッツ、大豆およびこれらの製品
(vi) 乳および乳製品(乳糖を含む)
(vii) ナッツおよびナッツ製品

引用:各国の食品・添加物等の規格基準(農林水産省)より

 また日本(2013年に「ごま」「カシューナッツ」を表示推奨品目に追加)と同じように、規則も改正されていきます。例えば2018年では台湾のアレルゲン表示の規則に改定(2018年8月21日改定、2020年7月1日施行)があり、従来の6品目から11品目へと拡大されています。

  1. 甲殻類およびその製品
  2. マンゴーおよびその製品
  3. ピーナッツおよびその製品
  4. ゴマ、ヒマワリ種子、およびそれらの製品
  5. 牛乳、山羊乳、およびそれらの製品(牛乳および山羊乳由来のラクチトールを除く)
  6. 卵およびその製品
  7. ナッツおよびその製品(アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ、カシューナッツ、ピーカン、ブラジルナッツ、ピスタチオナッツ、マカダミアナッツ、松の実、栗など)
  8. 小麦、大麦、ライ麦、オート麦などのグルテンおよびその製品を含む穀類
  9. 大豆およびその製品(高純化または精製された大豆油脂、トコフェロールおよびその分解物、フィトステロールおよびフィトステロールエステルを除く)
  10. 最終成果物として算出されるべきすべてのSO2換算で10mg/kg 以上の濃度となる亜硫酸塩および二酸化硫黄などの使用
  11. サーモン、サバ、オオクチ(Yuan xue)、カラスガレイ(Bian xue)およびそれらの製品

引用:各国の食品・添加物等の規格基準(農林水産省)より

 日本から海外へと輸出される食品については、とりわけ「小麦」は含まれないが「グルテン」を含むもの、またキャリーオーバーの添加物に「亜硫酸塩」を含むものなどが注意点としてあげられます(輸入時は、反対に「グルテン」は含まれないが「小麦」を含むものに注意が必要です)。海外に食品を輸出されようとされる方は、対象国のアレルゲン表示の規則について、調べておく必要があります。農林水産省作成の「各国の食品・添加物等の規格基準」は日本語で参照できますので、一度見ておかれるとよいと思います。

フリーと不使用の違い


 次に、「アレルゲンフリー」の持つ意味についても確認が必要です。日本の食品表示基準には、以下の規則があります。

「使用していない」旨の表示は、必ずしも「含んでいない」ことを意味するものではありません。(中略)例えば、一般に「ケーキ」には「小麦粉(特定原材料)」を使用していますが、「小麦粉」を使用しないで「ケーキ」を製造した場合であって、それが製造記録などにより適切に確認された場合に、「本品は小麦(粉)を使っていません」と表示することができます。しかし、このような場合であっても、同一の調理施設で小麦粉を使ったケーキを製造していた場合、コンタミネーションしている場合がありますので、この表示をもって、小麦が製品に含まれる可能性を否定するものではありません。
(食品表示基準Q&Aより)

 日本には「アレルゲンフリー(含んでいない)」表示についての数値基準は明確には定められていませんが、こうした表示に対する基準が定められている国もあります。例えばアメリカやEUでは、「グルテンフリー」と表示できる基準値として「20ppm(mg/kg)」が設定されています。「gluten-free」だけでなく「no gluten」なども対象になるなど、表示方法についても規則がある場合がありますので、こうした表示をされたい方は事前に確認をされておくとよいでしょう。
 また関連する表示としては、「低グルテン」の規則がある国もあります。例としてオーストラリアとニュージーランドの規則は次のようなものとなります。

グルテン

  • (グルテン)フリー
    食品には以下のものを含有してはならない
    (a) 検出可能なグルテン、もしくは
    (b) オーツまたは関連商品、もしくは
    (c) モルト化したグルテンを含有する雑穀または関連商品
  • 低(グルテン)
    100g あたり20mg 未満のグルテンを含有する食品

参考:Federal Register of Legislation. Standard 1.2.7 Nutrition, health and related claims

 その他、アレルゲンフリーの表示をする際には届出が必要な国もありますので、表示方法などの規則だけでなく制度についても調べておく必要があると言えます。

最後に


 こうした制度や規則の違いの背景の1つに、食文化の違いがあると思います。海外に輸出される予定の日本の食品ラベルを見る機会も増えていますが、アレルゲンフリーや○○産原材料使用などの「強調表示」がされているケースも増えていると感じます。日本も同じですが、強調表示をするにはそれなりの根拠の用意が必要となります。
 規則が異なるために、日本では可能だった強調表示ができなくなる場合も多々あります。その際には、無理に他に可能な強調表示を探すのもよいですが、空いた表示スペースには「食品自体の説明文章」にあてると、食文化の異なる消費者にも分かりやすくなるのでは思いますので、海外へ販売するときの参考までにしていただければと思います。



メールマガジン配信登録

こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。

関連サービス

【海外輸出】原材料調査&食品表示調査:配合表、原材料規格書をもとに、原材料及び添加物の使用基準との適合性を検証します。また配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。輸出対象国の基準情報整理と確認業務の構築などにご利用いただいております。

強調表示とは

食品表示基準での強調表示といえば、栄養成分強調表示(高い旨、含む旨等)を思い浮かべる方が多いのではと思いますが、不当表示を防ぐ目的で広義にとらえると様々な強調表示がありますので、ミニコラムとしてまとめてみたいと思います。

以下の図は、強調表示の類型についてまとめたものです。

上下の違いは、強調の目的の違いです。
安全や健康に関して強調をする場合と、商品の品質に関して強調をする場合に分けています。
左右の違いは、強調の内容の違いです。
何かを使用しているか、強化している場合と、何かを使用してないか、軽減している場合に分けています。

これらの強調表示の際には、根拠(エビデンス)となる資料が必要となります。原材料の種類に関する強調の場合であれば、原材料規格書や製造記録などが該当します。栄養成分の量に関する強調の場合であれば、栄養成分の分析成績書などが該当します。

食品の場合、すべての原材料について常に同じ規格のものを安定して使用することは、簡単ではないケースが多いと思います。ですので、毎年定期的に原材料規格書や分析成績書を更新するといった品質保証(表示してあることと実際との整合性を確認する)業務が大切といえます。

強調している表示に対して、保有している根拠資料が適切でなければ、不当表示となる恐れがあります。その点で、強調表示と不当表示は背中合わせのような関係と考えてよいでしょう。何かを強調するには、それにふさわしい根拠が必要です。

保有している根拠資料が強調表示の根拠として適切であるかどうかを、一度見直しをする機会にしていただければと思います。

「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」について

 少し前になりますが、2018年6月に消費者庁より「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」(以下「留意点」)が公表されていますので、今月はこちらを取り上げてみたいと思います。

強調表示と打消し表示


 打消し表示とは、商品の内容などについて強調表示をする際に、なんらか例外などがあるときに表示されるものです。分かりやすい例としては、体験談の表示に添えられる「個人の感想です。効果には個人差があります。」といった表示があげられます。「留意点」によると、強調表示と打消し表示は以下のように定義されています。

【強調表示】:事業者が、自己の販売する商品・サービスを一般消費者に訴求する方法として、断定的表現や目立つ表現などを使って、品質等の内容や価格等の取引条件を強調した表示

【打消し表示】:強調表示からは一般消費者が通常は予期できない事項であって、一般消費者が商品・サービスを選択するに当たって重要な考慮要素となるものに関する表示

打消し表示の方法について


  「留意点」では、紙面広告だけでなく、動画広告やWeb広告(PC及びスマートフォン)についても、それぞれの媒体の特性別に注意すべき表示を整理しています。容器包装への表示については「紙面広告」と読み替えて想定していただくとして、ここではすべての媒体に共通する注意点について取り上げてみたいと思います。

(1)打消し表示の文字の大きさ

打消し表示の文字の大きさは、一般消費者に打消し表示が認識されない大きな理由の1つであると考えられています。事業者が打消し表示を行う際には、一般消費者が手にとって見るような表示物なのか、鉄道の駅構内のポスター等の一般消費者が離れた場所から目にする表示物なのかなど、表示物の媒体ごとの特徴も踏まえた上で、それらの表示物を一般消費者が実際に目にする状況において適切と考えられる文字の大きさで表示する必要があります。

(2)強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス

打消し表示は、強調表示といわば「対」の関係にあることから、強調表示と打消し表示の両方を適切に認識できるように文字の大きさのバランスに配慮する必要があり、打消し表示の文字の大きさが強調表示の文字の大きさに比べて著しく小さい場合、一般消費者は、印象の強い強調表示に注意が向き、打消し表示に気付くことができないときがあると考えられます。

(3)打消し表示の配置箇所

打消し表示は、一般消費者が、それが強調表示に対する打消し表示であると認識できるように表示する必要があるため、打消し表示の配置箇所は、打消し表示であると認識されるようにするための非常に重要な要素です。

(4)打消し表示と背景との区別

打消し表示の文字の色と背景の色が対照的でない場合(例えば、明るい水色、オレンジ色、黄色の背景に、白の文字で打消し表示を行った場合)など、打消し表示の文字と背景との区別がつきにくいような場合には、一般消費者は打消し表示に気付かないおそれがあります。

打消し表示の内容について


 そして、問題となりえる打消し表示の内容について以下の4類型が公表されています。

(1)例外型の打消し表示

商品・サービスの内容や取引条件を強調した表示に対して、何らかの例外がある旨を記載している打消し表示について、一般消費者が打消し表示を読んでもその内容を理解できない場合、一般消費者は例外事項なしに商品・サービスを利用できるという認識を抱くと考えられる。

(2)別条件型の打消し表示

例えば、割引期間や割引料金が強調される一方、割引期間や割引料金が適用されるための別途の条件が打消し表示に記載されており、一般消費者が打消し表示を読んでもその内容を理解できない場合、一般消費者は別途の条件なしに強調された割引期間や割引料金で商品・サービスを利用できるという認識を抱くと考えられる。

(3)追加料金型の打消し表示

「全て込み」などと追加の料金が発生しないかのように強調している一方、それとは別に追加料金が発生する旨が打消し表示に記載されており、一般消費者が打消し表示を読んでもその内容を理解できない場合、一般消費者は当該価格以外に追加料金が発生しないという認識を抱くと考えられる。

(4)試験条件型の打消し表示

表示を行うに当たっては、表示された効果、性能等(ここで「表示された効果、性能等」とは、文章、写真、試験結果等から引用された数値、イメージ図、消費者の体験談等を含めた表示全体から一般消費者が認識する効果、性能等であることに留意する必要がある。)が、試験・調査等によって客観的に実証された内容と適切に対応している必要がある。

 なお、冒頭の事例である「個人の感想です。効果には個人差があります。」については、体験談により一般消費者の誤認を招かないようにするために、当該商品・サービスの効果、性能等に適切に対応したものを用いることが必要であり、商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における(ⅰ)被験者の数及びその属性、(ⅱ)そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合、(ⅲ)体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示すべき、とされています。

今後について


 消費者庁の発表によれば、「打消し表示」については今後厳しく取り締まる方針となっています。上にあげた4つの表示方法と4つの表示内容については、どのような表示にもあてはめて考えることができる視点となっていると思いますので、パッケージデザインだけでなく、同封のしおり、パンフレットやウェブサイトなどの表示が適切であるかを検証する業務に携わる方は、一度目を通しておかれるとよいと思います。

『平成30年7月豪雨を受けた食品表示の弾力的運用について』

※こちらの運用は年内(平成30年12月31日)で終了となります。
詳細は下記を参照ください。

 2018年7月13日、消費者庁は、災害救助法の適用を受けた被災地において、農林水産省及び厚生労働省と連名で、食品表示基準を弾力的に運用する旨を関係機関に通知しました。各通知は以下のサイトに掲載されています。

『食品表示に関するお知らせ』(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/

2018年7月13日~19日までに発表された通知


平成30年7月豪雨を受けた

  • 食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について
  • 乳児用液体ミルクの取扱いについて
  • 製造所の表示の運用について
  • 製造所固有記号の表示の運用について

各通知の概要(抜粋)


『食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について』

“食品の安全性に係る情報伝達について十分な配慮がなされていると判断されるとともに、消費者の誤認を招くような表示をしていない場合には、平成30年7月豪雨において災害救助法の適用を受けた被災地(※)において、譲渡又は販売される食品については、必ずしも食品表示基準に基づく義務表示事項の全てが表示されていなくとも、当分の間、取締りを行わなくても差し支えない”(※10府県60市37町4村)

“食品表示基準に基づく表示事項が容器包装に記載されていない食品を被災地で譲渡・販売する場合にも、アレルギー表示及び消費期限については、従来どおり個々の容器包装に表示する必要があることから、これまでどおり、取締りの対象となります。”

“賞味期限については、多くの業務用加工食品において、容器包装に表示されている状況もあり、可能な限り個別に表示する”

“消費者の誤認を招くような悪質な違反についての取締りを排除するものではない。悪質な違反については、引き続き、関係機関とも連携した取締りを行う”

『乳児用液体ミルクの取扱いについて』

“母乳代替食品としての用に適する旨を表示した乳児用液体ミルクについて、特別用途食品制度における許可及び承認を受けていない場合も、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととします”

“ただし、アレルギー表示及び消費期限については、被災者の方々の食事による健康被害を防止することが何より重要であるため、従来どおり個々の容器包装に表示する必要があり、これまでどおり、取締りの対象となります。”

“食品衛生上、開封後の飲み残しは保管しない”

『製造所の表示の運用について』

“当分の間、平成30年7月豪雨において災害救助法の適用を受けた被災地の工場(製造所)で製造していた食品について、他の製造者や製造所に委託する場合にあっては、別添届出様式を用いてFAXにより消費者庁食品表示企画課へ届け出ることにより、実際の製造所の所在地及び製造者の氏名と食品に表示された製造所の所在地及び製造者の氏名とが異なることとなっても差し支えないこととします”

“消費者から製造所について問合せがあった場合には、実際に製造された製造所の名称及び所在地を回答する”

別添届出様式はこちら

『製造所固有記号の表示の運用について』

“当分の間、別添届出様式を用いてFAXにより消費者庁食品表示企画課へ届け出ることにより、平成30年7月豪雨において災害救助法の適用を受けた被災地の工場(製造所)で使用していた記号を他の工場(製造所)に例外的に使用できる”

“旧制度及び新制度にかかわらず、消費者から製造所固有記号について問合せがあった場合には、実際に製造された製造所の名称及び所在地を回答する”

別添届出様式はこちら

また、避難所の管理者の方への周知についても掲載されています。

避難所の管理者の皆さま

表示のない食品を提供する場合は、次のことに十分気をつけてください。

  • アレルゲンを含むかどうか不明な場合は、アレルギー疾患を有する被災者の方に渡さないでください。
  • 期限表示が不明な場合は、長期保存をさけ、早めに食べるようにしてください。開封後の食品は、食べ残しを保管せず、適切な喫食方法で、速やかに消費してください。
  • 乳児用液体ミルクについては、必要な情報を適切に提供してください。また、開封後の飲み残しを保管しないでください。

出典:食品表示の弾力的運用を踏まえた周知チラシについて(消費者庁)

被災地の方々が、一日でも早く平穏な生活を取り戻すことができますように。

「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」が改正されました

 2018年3月28日、消費者庁は「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)および「機能性表示食品に関する質疑応答集」を一部改正しました。いくつかの変更点がありますが、対象となる機能性関与成分の拡大として「糖質、糖類(2018年3月28日より)」「植物エキス及び分泌物(届出データベース改修後)」が追加されており、関心が高いと思いますのでこちらでとりあげてみたいと思います。

主な改正事項


 機能性表示食品制度の運用の課題と、対象成分の拡大、そして消費者への情報提供に関する課題に対応するための改正とされています。以下に、主な改正事項別に、課題と改正点をまとめてみます。

(1)届出資料について
 課題:煩雑な届出資料
 改正点:届出資料の簡素化
・届出資料への入力項目数を約30%削減

(2)届出確認について
 課題:届出確認事務の停滞
 改正点:届出確認の迅速化
・事業者団体等の事前確認を経た旨を届出
・公表済みの届出食品と同一性を失わない程度の変更である旨を届出

(3)生鮮食品について
 課題:生鮮食品の届出件数が低調
 改正点:生鮮食品の特徴を踏まえた取扱い
・一日摂取目安量の一部を摂取できる旨の表示の追加
・生鮮食品に係るQ&Aの拡充

(4)対象成分について
 課題:栄養成分及び機能性関与成分が明確でない食品の取扱い
 改正点:対象となる機能性関与成分の拡大
・糖質、糖類の取扱いを明記
・植物エキス及び分泌物の取扱いを明記

(5)第三者による検証について
 課題:第三者による成分分析ができない
 改正点:分析方法を示す資料の開示(必要に応じてマスキング)

(6)消費者への情報提供について
 課題:販売の有無を確認できない
 改正点:事業者による届出後の販売状況の届出

届出データベース改修と運用開始時期について


 今回の改正には、届出データベースの改修が必要なものも含まれており、改正事項によって運用開始時期が異なります。届出データベース改修前と、改修後での運用開始時期の違いは以下のとおりです。

  届出データベース改修前
(改正ガイドラインに基づく運用)
2018年3月28日から運用開始
届出データベース改修後
(改正ガイドライン別添に基づく運用)
運用開始時期については別途通知
届出資料の簡素化 (一部、様式の変更) 改正前より入力項目の約30%削減
届出確認の迅速化
(再届出)
(試験運用) 本格的に運用開始
届出確認の迅速化
(事業者団体等の事前確認)
運用開始
生鮮食品の届出
(一部を摂取できる旨の表示)
運用開始
糖質、糖類の届出 運用開始
植物エキス及び分泌物の届出   運用開始
分析方法の開示 運用開始
販売状況の届出   運用開始

 なお、データベース改修時期については発表されておらず、今年度末(2019年3月末)までかかるのではとの見方がされています。

糖質、糖類について


 すでに(2018年3月28日から)運用開始された内容のうち注目されるのは、糖質と糖類の追加ではないかと思います。改正ガイドラインから、該当箇所を抜粋してみてみました。(下線部分が追加された内容です)

改正ガイドライン「機能性関与成分及びその科学的根拠に関する基本的な考え方」(P3)

(1)機能性関与成分(中略)
② 健康増進法(中略) に摂取基準が策定されている栄養素を含め、食品表示基準別表第9の第1欄に掲げる成分は対象外とする。なお、下表の栄養素の構成成分等については、当該栄養素との作用の違い等に鑑み、対象成分となり得るものとする。糖質、糖類については、主として栄養源(エネルギー源)とされる成分(ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ糖、乳糖、麦芽糖及びでんぷん等)を除いた糖質、糖類を対象成分となり得るものとする。

表 対象成分となり得る構成成分等

食事摂取基準に摂取基準が策定されている栄養素 対象成分となり得る左記の構成成分等(例)
たんぱく質 各種アミノ酸、各種ペプチド
n-6系脂肪酸 γ‐リノレン酸、アラキドン酸
n-3系脂肪酸 α‐リノレン酸、EPA(eicosapentaenoic acid)、DHA(docosahexaenoic acid)
糖質 キシリトール、エリスリトール、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)
糖類 L-アラビノース、パラチノース、ラクチュロース
食物繊維 難消化性デキストリン、グアーガム分解物
ビタミンA プロビタミンA、カロテノイド(β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチン等)

 糖質、糖類については、上記の他に「摂取上の注意事項(P4、40)」「安全性評価(P7)」「分析方法(P22)」にも考え方が追加されていますので、関心のある方は改正ガイドラインを確認してみてください。

今後のスケジュール


 本稿作成時点(2018年4月13日)で、機能性表示食品の届出を受理された商品は1,338件になります。届出資料簡素化や届出確認迅速化などの改正、そしてデータベース改修後(おそらく今年度末頃)に「植物エキス及び分泌物」が対象として運用開始されることで、機能性表示食品はさらに増えていくものと思われます。また分析方法の開示も運用開始されたため、これまでの既存届出商品に何らか変更届出を行う際は、併せて分析方法を示す資料の開示が求められることになりますので、透明性についても高まっていくものと思われます。
 大きな改正ですので、機能性表示食品制度についてあらためて確認をされる機会にしていただければと思います。