食品添加物の不使用表示に関するガイドラインの意見募集後修正案が公表されました

By | 2022年3月7日

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意見募集の結果を受けて修正されたガイドライン案の資料等(2022年3月1日公表分)をもとに、確認しておくべきポイントなどを整理してお伝えします。

 2022年3月1日、食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会において、消費者庁は意見募集(パブリックコメント)後修正の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(案)」を公表しました。意見募集時の案より変更されている点もありますので、こちらに整理してみたいと思います。

意見募集の結果について


 パブリックコメントは2021年12月22日に開始され、2022年1月21日に締め切られました。寄せられた意見総数は758件です。意見の内訳も資料(「パブリックコメントにおける御意見」)として公表されています。
 「ガイドライン全体」、「ガイドラインの適用範囲」、「類型」、「普及・啓発」、「表示の見直し期間」、「その他」の分類のうち最も意見の多かったものは「類型(376件)」、次に「ガイドライン全体(208件)」です。また「類型」のうち意見の多かったものは「類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示(68件)」、次に「類型10:過度に強調された表示(50件)」、そして「類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示(47件)」、「類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示(46件)」と続きます。

意見募集後修正案の主な変更点について


 同検討会では、「ガイドライン見え消し修正版」として、意見募集時のガイドライン案からの修正点が分かりやすい資料が公表されています。以下に、実務に影響のあると思われる変更点を抜粋します。
(赤文字のうち、下線は追加、取り消し線は削除された箇所)

  意見募集後修正
背景及び趣旨 本ガイドラインは、食品関連事業者等が、食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に当たるか否か自己点検を行う際に用いることができるものである。
類型1 単なる「無添加」の表示 ・例:無添加となる対象が不明確な、単に「無添加」とだけ記載した表示
類型2 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示 ・例:「人工甘味料不使用」等、無添加あるいは不使用と共に、人工、合成、化学調味料、天然等の用語を使用した表示
類型3 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示 - (軽微な修正のみ)
類型4 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示 ・不使用表示の食品添加物と、それと同一機能、類似機能を有する食品添加物の違いが表示において分からない場合
・例2:既存添加物の着色料を使用した食品に、「合成着色料不使用」○○着色料が不使用である旨を表示(○○着色料とは、指定添加物の着色料をいう。)
類型5 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示 ・例1:原材料として、アミノ酸を含有する抽出物を使用した食品に、化学調味料添加物としての調味料を使用していない旨を表示
類型6 健康、安全と関連付ける表示 - (軽微な修正のみ)
類型7 健康、安全以外と関連付ける表示 ・例2:「開封後」に言及せずに 「保存料不使用なのでお早めにお召し上がりください」と表示
類型8 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示 ・例1:同種の製品で一般的に着色料が使用されておらず、かつ、食品元来の色を呈している食品に 「着色料不使用」と表示
類型9 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示 - (軽微な修正のみ)
類型10 過度に強調された表示 ・例1:商品の多くの箇所に、過剰に目立つ色で、〇〇を使用していない旨を記載する
ガイドラインに基づく表示の見直し ・2年程度(令和6年3月末)の間に、必要に応じて適宜、表示の見直しを行うことが求められる
なお、この期間に製造・販売等された加工食品が見直し前の表示で流通することはやむを得ないと考えるが、2年に満たない間においても、可能な限り速やかに見直しを行うことが望ましい。

 なお、パブリックコメントとして寄せられた意見の多かった類型4および5と、これらに影響のある類型10の「御意見に対する考え方」では、以下の回答が多く使用されています。○○の場合は類型に該当するか、といった具体例を列挙するのは難しいとされていることから、自己点検は各事業者の判断に委ねられることになると思われます。

・消費者の商品選択において表示の正確性は重要なことであると考えられることから、本ガイドラインは、食品添加物の不使用表示に関して、誤認又は矛盾させる表示に基づく商品選択が行われることがないよう、食品表示基準第9条に規定する表示禁止事項の解釈を示したものです。

・食品表示基準第9条においては、どのような表示が消費者に対する正確な情報提供となる表示なのか、また、どのような表示が消費者に誤認を与える表示なのか等は、詳細に規定していないこと、実際の商品における食品添加物の不使用表示の種類は多岐に渡っていることから、あらゆる例示を列挙することは困難です。

・本ガイドラインは、食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に当たるか否かのメルクマールとして新たに策定されたものです。

・なお、食品添加物の不使用表示が食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に該当するか否かは、各類型のうち、表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる場合に当てはまることだけではなく、商品の性質、一般消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容などを基に、ケースバイケースで全体として判断するものです。

今後の予定


 2022年3月末までに正式なガイドラインとして公表される見通しです。その後、2024年3月末までに表示の見直しを行うといった予定になる見込みです。該当する表示をされている商品を取り扱いの方は、ガイドライン案はじめ検討会の資料について、事前に目を通しておかれるとよいと思います。

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川合 裕之

川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2023年12月『食品と開発』(健康メディア.com)「海外の栄養プロファイリングシステムと栄養表示制度」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

>> 寄稿の詳細はこちら

【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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