2024年5月27日、消費者庁より「機能性表示食品を巡る検討会報告書」が公表されました。その後5月31日に、「紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合」の資料として「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」が公表されています。
<機能性表示食品制度等に関する今後の対応の概要>
- 健康被害の情報提供の義務化(食品表示法、食品衛生法に基づく行政措置を可能とする)
- 機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置(GMPの要件化等)
- 情報提供のDX化、消費者教育の強化
- 国と地方の役割分担
このうち実務に関する改正については「機能性表示食品を巡る検討会報告書」の提言の内容が分かりやすいので、こちらに一部を抜粋します。
健康被害情報の収集、行政機関への情報提供の義務等
提供義務の対象となる食品群については、現行の届出ガイドラインにおいてサプリメント形状の加工食品以外の加工食品や生鮮食品を含む全ての機能性表示食品を対象としていることから、サプリメント形状の加工食品に限定することなく、全ての機能性表示食品を対象とすることが適当である。
製造管理及び品質管理等
今回の事案を受け、サプリメント形状の機能性表示食品の製造工程管理における品質確保を徹底し、機能性表示食品の信頼性を高めるため、サプリメント形状の機能性表示食品については、法令で規定されたGMPに基づく製造及び品質管理を行うことを、届出時や届出後の販売期間中における法的義務とすることが適当である。(中略)特に機能性関与成分を含む原材料については、サプリメント形状の製品(最終製品)を製造する者がGMPに基づき当該原材料の受入れ段階で当該原材料の成分全体の同等性や同質性の考えを基本として対応することを表示責任者である届出者の責任において実施させるべきである。
機能性表示食品に関する情報伝達の在り方
- 「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない旨」の表示では、「医薬品ではないこと」を、「機能性表示食品である旨」と同一面に明記すること。
- 機能性表示食品である旨と届出番号を近接して表示し、識別性を高めること。
- 安全性や機能性について、国の評価を受けた食品でないことを端的に表示する方法に改善すること。
一方、機能性表示食品は 「その他のいわゆる「健康食品」」とは異なり、機能性及び安全性の科学的根拠等の届出情報を消費者庁のウェブサイトにおいて確認できることを明確にすること。
また更なる検討課題として、特定保健用食品についても健康被害情報提供の義務化とGMPの要件化の検討を進めるとされています。今後、食品表示法および食品衛生法の改正と、機能性表示食品の届出ガイドラインの改正が進められると思われます。なお報告書の別紙には検討会で出された意見が整理されていますので、機能性表示食品だけでなく健康にかかわる表示をされている食品を取り扱いの方は、一度目を通しておかれるとよいでしょう。
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川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
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