製造所に関する問い合わせ先の表示について

By | 2016年3月1日
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今回のテーマは製造所固有記号の続きです。
筆者はときどき講演をするのですが、聴講者の関心がもっとも高いテーマの1つと感じています。本当は添加物やアレルギーなどについて書きたいのですが(原材料規格書の計算や翻訳といった仕事が中心ですので・・・)、それはまた次回以降にしようと思います。

さて、新しい食品表示基準(新基準)のもとでは、「原則として同一製品を二以上の製造所で製造している場合」にのみ、製造所固有記号が使えることになりました。その場合、製造者と製造所所在地についての問い合わせに対しても応答する必要がありますので、今回はそれをまとめてみます。

旧基準との比較


旧基準においても、製造所固有記号を使う場合は、消費者からの問い合わせに対し製造者と製造所所在地について対応する必要性はありました。

消費者等から製造者及び製造所所在地についての問い合わせがあった場合には、すぐに回答できるよう、既に届け出ている製造所固有記号を一覧にまとめ、問い合わせ窓口に備えておくなどの対応が必要です。

参照:製造所固有記号に関する手引きQ&A(消費者庁)

ただ、消費者からすれば「どこに問い合わせればよいのか」がいまひとつ分かりにくく、そのため事業者も備えが十分でない実情があったと思います。
これに対して、新基準ではその問い合わせ先を「表示」することになりました。
今回の改正のなかでは、消費者から見ると分かりやすいメリットといえると思います。新基準に記載された規則は、以下のとおりです。

次に掲げるいずれかの事項を表示しなければならない。

1. 製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称の情報の提供を求められたときに回答する者の連絡先

2.製造所固有記号が表す製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称を表示したウェブサイトのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。)

3.当該製品を製造している全ての製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称及び製造所固有記号

参照:食品表示基準(P20)

消費者からみる製造所固有記号


つまり消費者は、パッケージの食品表示に記載された製造所固有記号(例:+ABC)について、その付近に表示されている電話番号等から製造者と製造所所在地をすぐに知ることができるようになります。

(固有記号-12)製造所の所在地等が製造所固有記号で表示されている場合、消費者は、どのようにして製造所の所在地等を把握すればよいですか。

? 表示
・食品にお客様ダイヤル等の電話番号が表示されていれば、その連絡先に問合せを行うこと
・食品にウェブサイトアドレスが表示されていれば、当該ウェブサイト等にアクセスして確認すること
・食品のパッケージに製造所の所在地等一覧が表示されていれば、パッケージに表示された製造所固有記号と照合すること

? 消費者庁の製造所固有記号制度届出データベースで検索する

参照:食品表示基準Q&A(固有記号 – 12)

応答義務について


右記のように、製造所固有記号を使う事業者の立場としては「表示されている電話番号に製造者や製造所所在地に関する問い合わせがあれば、回答しなければならない」といった変化が生じることになります。これまで表示されていたお客様相談室等での回答ではなく、別部署からの回答をしていた場合は、FAQリストを更新する必要性などが想定できるでしょう。
 また「何をどこまで回答するか」についても、食品表示基準Q&Aに記載されています。

製造所固有記号を使用しない場合に表示される内容である製造所の所在地や製造者の氏名若しくは名称を回答してください

参照:食品表示基準Q&A(固有記号 – 14)

具体的な表示方法


ではどのように表示すればよいのか、その具体例も食品表示基準Q&Aに記載されていますので、代表的な例をこちらにあげてみます。

名称
原材料名
添加物
内容量
賞味期限
保存方法
製造者  ●●株式会社+Aa
東京都千代田区霞が関■?■?■
お客様ダイヤル0120(○○)○○○○
当社ウェブサイトアドレス
http://www.・・・・・

参照:食品表示基準Q&A(固有記号?17)

その他二次元コード(QRコード)や、固有記号別に製造者と製造所所在地を列挙する方法なども具体的に事例が記載されていますので、一度確認をしておかれるとよいと思います。

製造者と製造所所在地を簡単に確認ができるようになることを、特に事業者側は気にかけていることも多いでしょう。ただそれは、「消費者が何に不安を感じて、製造者と製造所所在地を確認したいと考えるのか」、今一度考える機会でもあるのではと思います。

参照:製造所固有記号に関する手引きQ&A(消費者庁)http://www.caa.go.jp/foods/qa/seizousho_qa.html
食品表示基準 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150320_kijyun.pdf
食品表示基準Q&Ahttp://www.caa.go.jp/foods/pdf/151224_qa-togo.pdf
食品表示基準について(施行通知)


食品表示コンサルティング:
配合表等の規格書をもとに、原材料及び添加物の国内または海外各国における使用基準との適合性を検証します。また原材料名やアレルゲン、栄養成分等の表示案と表示基準との適合性を検証します。
食品表示コンサルティングはこちら

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川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2019)

【寄稿】
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~

【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近のウェビナー実績
・2022年4月26日 添加物不使用表示ガイドラインについて(3)各類型(公表版)の再確認と海外の動向について
・2022年4月7日 プラントベース(植物由来)食品の表示について~国内および海外表示制度の動向~
・2022年3月24日 添加物不使用表示ガイドラインについて(2)
・2022年3月17日 遺伝子組換え”からしな”の追加と「遺伝子組換えでない」表示の経過措置期間について
・2022年2月24日 添加物不使用表示ガイドラインについて(1)

■最近の講演実績
・2021年12月10日 食品表示関連規則の改正状況と今後の「食品表示」実務上のポイント
 株式会社ウェルネスニュースグループ様主催。
・2021年9月16日 新たな原料原産地表示のポイント~経過措置期間終了(令和4年3月末日)に向けて~
 株式会社インフォマート様主催。
・2021年5月24日 諸外国における食品安全法規制の違いにどう対処するか
 NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)様主催。
・2020年9月17日 表示ミスを防ぐための食品表示実務のポイント~消費者の健康と安全・安心を守ろう~
 越谷市 保健医療部 保健所 生活衛生課様主催。


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