目的成分について

By | 2019年10月8日


 弊社では、既に表示を作成されているお客様から配合表や原料規格書をお預かりし、その表示案を確認後「食品表示調査レポート」としてご提出する業務を行っております。一括表示内で「原材料名」、「添加物」に記載されている内容が重量順になっているかどうかは配合表、原料規格書を突き合わせながらの確認となりますが、作成されている方も、確認する私たちも時間がかかる事項の1つです。
 添加物の重量順は、「目的成分」の重量の割合の高いものから表示します。この「目的成分」とは何か?が筆者個人も当初はなかなか理解できませんでしたが、食品表示基準では以下に記載があります。

食品表示基準Q&A P124(加工-91)
添加物製剤を使用している加工食品について、添加物製剤を構成する添加物をどのような順序で表示すればよいですか。
(答)
目的成分の重量の割合の高いものから順に表示してください。

 例えば、洋菓子の配合表の一部分です。添加物製剤の前に「複合原材料」である「りんごシロップ漬け」の例をご覧ください。

 「りんごシロップ漬け」という製品を製造するのに添加物として「酸味料」、「酸化防止剤(V.C)」、「乳酸カルシウム」がそれぞれの「目的」で使用されていることが分かりますのでわかりやすいと思います。

 では、添加物製剤だとどうでしょうか?

 こちらは、「乳化剤製剤」です。「レシチン」、「ポリリン酸ナトリウム」、「リン酸三カルシウム」が乳化剤としての「目的成分」になりますので、製品中配合割合「5.0%」、「0.5%」、「0.05%」を足して、乳化剤は「5.55%」で計算します。

 もう1つ、添加物製剤の例をみてみましょう。

 この例では「香料・着色料製剤」となっています。「目的」は商品に「香り(香料)」を付けること、「色を付けること(着色料)」となりますので、目的成分は「香料成分」と「クチナシ黄色素」です。
 重量順を決定するときは「目的成分」の重量の割合が高いものから、ですので、「香料・着色料製剤」の一次配合率である「10%」で計算するのではなく、製品中配合割合の「0.15%」、「0.1%」でそれぞれ計算することになります。

 「りんごシロップ漬け」、「チーズ用乳化剤製剤」、「香料・着色料製剤」のみで添加物の重量順を決定してみますと添加物欄は以下のようになります。

添加物:乳化剤(5.55%)、酸味料(0.3%)、酸化防止剤(V.C)(0.15%)、香料(0.15%)、クチナシ黄色素(0.1%)、乳酸Ca(0.05%)

 「原料規格書」の添加物の部分が「社外秘」で配合率が分からないという場合もあると思いますが、その際は、『「食品表示基準」において「目的成分」での計算が必要ですので、「目的成分」の配合率だけでも教えてください。』と仕入先様にお問い合わせをしていただくと良いかもしれません。
 このコラムが作成の際のヒントになると幸いです。


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調査チーム

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上級食品表示診断士。原材料、添加物の調査から食品表示の作成、チェックまで幅広い実務に従事しています。食品業界に長く在籍した経験を活かし、お客様からの食品表示に関する様々なご質問について、より分かりやすく回答できるよう取り組んでいます。