第4回「令和5年度食品表示懇談会」、第3回「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」が開催されました

By | 2024年4月3日

第4回「令和5年度食品表示懇談会」が開催されました


 2024年3月7日、第4回「令和5年度食品表示懇談会」が開催されました。公表資料“令和5年度食品表示懇談会とりまとめ(案)”にて、今回議論された内容と今後の方向性が分かりやすく取りまとめられていますので、整理してみたいと思います。

議論の概要と今後の食品表示が目指すべき大枠の方向性について

①諸外国との表示制度の整合性について
 消費者にとっての分かりやすさや事業者の実行可能性の重要性、日本と諸外国の食品表示に関する考え方の違いを踏まえて様々な観点から議論の必要があると結論付けられています。今後は日本の状況を踏まえつつ合わせられるところは諸外国と合わせる予定です。食品添加物に関する諸外国との制度の差異については、表示制度の差異のみならず各種規格基準の差異もその要因として大きいことから、食品衛生基準行政の移管も踏まえて、コーデックス委員会等への働きかけも含めて検討していくべきと考えられています。

②個別品目ごとの表示ルールについて
 JAS法において個別品目ごとに定められていたルールについては、食品表示の一元化の際に、そのまま食品表示基準に移行している等、十分に議論されていない状況もあり、横断的なルールに寄せていく方向で見直す必要があるとされています。しかし一方で、個別品目ごとのルールを比較するだけでなく、ルールの違いが生まれた背景、経緯や、ルールの定期的な見直しの要否についても考慮し、業界団体等の意見を聞いたうえで議論を進める必要があるという意見もありました。今後見直しにあたっては、JAS規格、公正競争規約、食品表示基準の基本的な性質の違いについて整理するとともに、消費者にとっての分かりやすさや、事業者の負担の軽減も踏まえて議論される予定です。

③食品表示へのデジタルツールの活用について
 容器包装上の表示の一部を代替する手段であるデジタルツールの活用について、世界的な情勢や技術の発展、食品表示の見やすさの観点や消費者への情報提供の拡充という面から検討していくべきとされています。また表示可能面積や見やすさによる課題、現行の表示情報の利用実態を踏まえ、容器包装に表示すべき事項と、デジタルツールによる情報提供での代替を許容すべき事項について、コーデックス委員会におけるデジタルツールの活用の議論も踏まえ検討する必要があるとされています。しかし事業者の負担コストの大きさや、商品情報の管理方法や提供手段の技術的な課題もあるため、それらの点も考慮しつつ引き続き議論が進められる予定です。

改正内容の施行時期について

 「食品表示懇談会の今後の進め方のタイムスケジュール(案)」に今後の予定が記載されています。時期について詳細には決定していませんが、表示の改版に伴う事業者の負担に配慮し、各改正事項について十分な経過措置期間を設けるとともに、経過措置終了時期を極力揃えるとされています。これにより食品表示の改正に関する予見可能性を高めつつ、何度も改版しなくてよいようにされるとのことです。

第3回「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」が開催されました


 2024年3月12日に第3回「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」が開催され、その際に日本版包装前面栄養表示(FOPNL)の基本的な方向性として、以下のような中間取りまとめがなされています。

  • 日本版FOPNLについては、任意表⽰の取組と位置付けた上で、⼀定のルールを設ける
  • 対象となる栄養成分等の量については、義務表⽰に位置付けられているものとする(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)
  • 様式については、対象となる栄養成分等の量について、栄養素等表⽰基準値に占める割合を表⽰する
    (⽇本⼈の⾷事摂取基準(2025年版)の策定を踏まえ、2024年度を⽬途に栄養素等表⽰基準値を⾒直す)
  • ⾷品単位を当該⾷品の1⾷分であることを原則とし、当該1⾷分の量を合わせて表⽰する

今後について


 令和5年度食品表示懇談会について、来年度からは個別品目ルールとデジタルツールについて分科会形式で議論が行われる予定です。また包装前面栄養表示(FOPNL)に関する議論については、栄養に関する専門的な内容も含むため、本懇談会とは別に検討の場(「分かりやすい栄養成分表示の取組検討会」)を設けて進められます。事業者の皆様は一度目を通し、今後の動向についてご確認されることをおすすめします。


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吉川 美波

吉川 美波

栄養学を専門とし、主に国内で流通される食品の原材料や表示案の調査業務に従事しています。
趣味は旅行と外食と筋トレ。