加工食品の原料原産地表示の拡大について9 ~「新たな原料原産地表示制度」のQ&Aが更新されました~

By | 2017年10月3日

 2017年9月1日に食品表示基準が改正され、「新たな原料原産地表示制度」が始まりました。その際に食品表示基準Q&Aも第3次改正が行われ、「新たな原料原産地表示制度」のページが追加されています。
 2017年3月27日にパブリックコメントの受付が始まった際、Q&A形式の資料である「新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)」が公表されていましたが、今回の食品表示基準Q&Aの第3次改正において「新たな原料原産地表示制度」ページの追加によって更新された内容がありますので、こちらで整理したいと思います。

目次からみる更新内容


 以前に公表された「新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)」の目次と、食品表示基準Q&A第3次改正で追加された「新たな原料原産地表示制度」の目次の質問項目から比較しました。

2017年3月27日 新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000156620

2017年9月1日 食品表示基準Q&A 別添 新たな原料原産地表示制度
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_18_170901_0014.pdf

 追加された質問項目は34項目ありますので、以下に列挙したいと思います。

追加された質問項目


Ⅰ 表示対象

(原原-3)酒類も原料原産地表示の対象になりますか。対象である場合、原料原産地表示の対象となる原材料とはどのようなものですか。
(原原-4)いわゆる「冠表示」の原材料も原料原産地表示の対象になりますか。
(原原-5)水も原料原産地表示の対象になりますか。
(原原-7)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の1の三の規定に基づき、複合原材料(2種類以上の原材料からなる原材料)を、単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がないことから、原材料名欄で分割して表示している場合、どの原材料の原産地を表示すればよいですか。
(原原-8)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の1の三の規定に基づき、複合原材料(2種類以上の原材料からなる原材料)を、単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がないことから、原材料名欄で分割した後、製品中に含まれる複数の同一原材料を合算して表示している場合、原材料の原産地はどのように考えればよいですか。
(原原-9)食品表示基準第3条第1項の表の原材料の項の2の一の規定に基づき、同種の原材料をまとめ書きしている場合(「野菜(○○、△△)」等)、どの原材料に原産地を表示する必要がありますか。
(原原-10)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の2の一の規定に基づき、同種の原材料をまとめ書きしている場合、野菜が全て国産である場合は、どのような書き方ができますか。
(原原-11)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の2の二の規定に基づき、複数の加工食品A、Bが個別に包装されるなど、区分けされ、それを組み合わせて1つの製品となる食品であって、その構成要素となる加工食品A、Bに区分けして原材料表示をしている場合、どの原材料に原産地の表示義務がありますか。
(原原-12)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の3の規定に基づき、原材料を「植物油」、「でん粉」等と括って表示している場合、原材料の原産地はどのように考えればよいですか。
(原原-13)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の3の規定に基づき、原材料を「魚肉」等と括って表示している場合、原材料の原産地はどのようにするのですか。
(原原-14)重量割合上位1位の原材料が2つ以上ある場合、どの原材料に原料原産地表示を行う必要がありますか。

Ⅱ 表示方法

(原原-15)原料原産地表示は、どこに表示すればよいですか。
(原原-17)複数の原産地の原材料を混合している場合の表示の方法について教えてください。
(原原-18)原材料名欄には、アレルギー表示や遺伝子組換え表示を行うこともありますが、原料原産地表示、アレルギー表示、遺伝子組換え表示の順番について、優先順位はありますか。
(原原-19)原料原産地表示について、原料原産地を国名以外で表示することはできますか。
(原原-20)原料原産地名の表示について、国名を「略称」等で表示することはできますか。また、米国をUSAやUSと表示することはできますか。
(原原-21)原料原産地表示について、原産地を表す記号を活用して、表示することはできますか。
(原原-22)原材料に占める重量割合が最も高い原材料(重量割合上位1位の原材料)について、食品表示基準第7条の規定に基づき、特定の原産地名とその使用割合を強調して表示していますが、別途、一括表示内に原料原産地の表示が必要ですか。
(原原-23)一括表示内に原料原産地を表示する際、食品表示基準第7条の規定による使用割合の併記は必要ですか。
(原原-24)原料原産地表示対象の重量割合上位1位の原材料に加え、任意で上位5位の原材料にも原料原産地名を表示したい場合、上位2位、3位、4位の原材料には原料原産地名を表示しなくてもよいですか。
(原原-25)原材料が1種類で原材料名の表示を省略している場合、どのように表示すればよいですか。

Ⅲ 「又は表示」(※以前の項目名は「可能性表示」)

(原原-28)「又は表示」は、都道府県名による原産地表示でも使用できますか。
(原原-30)複数の原産地の原材料をタンクに継ぎ足して製造するような場合は、一度使用した原産地は計算上0になることはないが、どのように表示すればよいですか。

Ⅳ 「大括り表示」

(原原-33)大括り表示において、「EU産」や「南米産」など、「輸入」よりも小さな区分の表示は認められますか。

Ⅴ 「大括り表示」+「又は表示」

質問項目の追加なし(回答内容の構成のみ変更)。

Ⅵ 使用実績等

(原原-40)「又は表示」、「大括り表示」等を使用する際に過去の一定期間における産地別使用実績又は今後の一定期間における産地別使用計画は、どのような単位で計上することができますか。

Ⅶ 「中間加工原材料の製造地表示」

(原原-41)原料原産地表示の対象の原材料が中間加工原材料の場合の表示方法について教えてください。
(原原-42)中間加工原材料の製造地の決め方を教えてください。
(原原-44)何段階かの製造工程を経て製造された中間加工原材料については、どの段階の製造地を表示するのですか。
(原原-45)原料原産地表示の対象である中間加工原材料が複合原材料であって、「中間加工原材料の製造地表示」ではなく、生鮮原材料の原産地まで遡って表示する場合、複合原材料の中のどの原材料に原産地を表示する必要がありますか。
(原原-46)国内の自社の工場で製造した中間加工原材料について、どの段階の原産地を表示すればよいですか。

Ⅷ 業務用

質問項目の追加なし(回答内容の構成のみ変更)。

Ⅸ その他

(原原-56)別表第15の1~5に掲げる加工食品(いわゆる「22食品群+4品目」)については、「又は表示」や「大括り表示」、「中間加工原材料の製造地表示」はできますか。
(原原-57)いわゆる22食品群(別表第15の1に掲げる加工食品)の中で、原材料及び添加物に占める重量の割合が50%以上の生鮮食品がないものについては、どのように表示すればよいですか。
(原原-61)自然災害や不作等による原材料の調達の急な変更の対応は、どのようにしたらよいですか。
(原原-63)施行の際に製造所又は加工所で製造過程にあって、経過措置期間後に製造を完了する製品も対象になりますか。

 9月1日に公表された新しいQ&Aを見たけど、どこを見れば新しい情報があるのか分からないという方は、上記の項目について目を通しておかれるのがよいかと思います。

参照:
新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000156620
食品表示基準Q&A 別添 新たな原料原産地表示制度
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_18_170901_0014.pdf

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川合 裕之

川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2023年12月『食品と開発』(健康メディア.com)「海外の栄養プロファイリングシステムと栄養表示制度」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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