Author Archives: 谷本 浩之

About 谷本 浩之

食品製造の業界に長く在籍した経験を活かし、主に国内と海外から国内に輸入される原材料や添加物の調査業務のほか、食品規格、添加物、食品表示に関するコンサルティング業務に従事しています。
趣味は野球観戦。

「食品期限表示の設定のためのガイドライン」の改正について

 本年3月、消費者庁より「食品期限表示の設定のためのガイドライン」が改正されました。「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」(令和5年12月)において、旧ガイドライン(平成17年2月)を期限表示の設定根拠安全係数の設定等の実態を調査し、食品ロス削減の観点から見直すことが示されたことが経緯です。

(1)消費期限又は賞味期限の設定

 実態調査において、消費期限と賞味期限の定義を考慮せず、「5日*」で区別する事例が認められたことから、定義に従い食品の特性等を十分に考慮した上でどちらかを表示する必要がある、としています。定義を考慮すると、消費期限は微生物試験等の安全性に係る試験・検査の結果を優先して設定する期限、賞味期限は理化学試験や官能検査等の品質の試験・検査の結果を優先して設定する期限となります。

*期限表示導入時(平成7年)に「5日」で区別する考え方が通知も平成20年に解消済み。

(2)食品の特性等に応じた客観的な項目(指標)及び基準の設定

 表示責任者は、安全性や品質等に関してその食品を最も理解し、食品の特性や保存状態等を勘案して期限を設定するための客観的な項目(指標)及び基準を科学的・合理的に自ら決定する必要がある、としています。実態調査では、食品の特性にかかわらず一般的な衛生指標である「一般生菌数」、「大腸菌群数」、「大腸菌数」等の項目を用いて評価し、必要以上に短い期限設定をしている例が報告されました。HACCPにより特定された危害要因を踏まえ、低温菌、嫌気性菌などその食品に適切な項目(指標)を決定する必要があります。

(3)食品の特性等に応じた「安全係数」の設定

 旧ガイドラインでは、食品の特性に応じ、1未満の安全係数をかけて、客観的な項目(指標)において得られた期限よりも短い期間を設定することが基本とされ、旧食品表示基準Q&A(加工-22)では、安全係数は「品質のばらつき等が少ないものは0.8以上を目安に設定する」とされていました。しかし、実態調査では0.8未満に設定している品目が約4割も存在し、安全性が十分に担保されている食品にもその特性に応じることなく安全係数を設定している事例が認められています。 新ガイドラインでは安全係数が1未満であることは同様も、食品の特性等によるが、安全係数は1に近づけること、レトルトパウチ食品や缶詰等については安全係数を考慮する必要はないとされています。(新食品表示基準Q&A(期限(事)-9))

(4)その他

 表示責任者は、消費者等から求められた際には、定められた方法に保存した場合にまだ食べることができる期限の目安について、できる限り情報提供するよう努める、としています。

 本ガイドラインを期限表示の設定、食品ロスの削減等にお役立てください。



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機能性表示食品制度見直しに伴う食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)の概要について


 消費者庁は機能性表示食品制度見直しに伴う「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」についての意見募集を行いました(6/27~7/26)。
 改正案のポイントは、機能性表示食品の定義(第2条)を改正しその要件を明確化することにあります。機能性表示食品の届出事項および届出後の遵守事項が食品表示基準別表第26および27で規定され、機能性表示食品の要件とされています。本要件が遵守されていない食品は、食品表示基準第9条に違反するとして食品表示法による措置が可能になります。
 
 新しい機能性表示食品の要件の主なものは以下です。

  • 「科学的知見の充実によって機能性の表示をすることが適切でないと消費者庁長官が認める食品ではないこと」、つまり、機能性について十分な科学的根拠がないものについて、消費者庁が表示禁止の措置をすることが可能になります。
  • 届出後の遵守事項として、①新たな科学的知見(機能性、安全性)が得られた場合の消費者庁長官への報告、②品質管理(「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」はGMP基準への適合)、③健康被害情報の報告(医師が診断したものに限る。当該食品との因果関係が不明でも速やかに報告)、④これら遵守事項の自己チェック結果の年1回の報告、の4点が新設されています。なお、GMP基準(案)についても現在意見募集中(7/12~8/16)であり、次のコラム「機能性表示食品制度見直しに伴うGMP義務化の告示案のパブリックコメント募集が開始されました」で紹介しています。
  • 届出事項は、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に規定されていた内容を基準(内閣府令)により明確化したものですが、「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」のGMP基準適合が新設されました。
  • パッケージ上の届出情報の表示方法も見直しされました。医薬品との誤認防止、トクホとの差別化、消費者への安全性や機能性の情報提供等の観点で表示方法が改正されています。

 パッケージにおける表示方法の見直し(第3条、別表第22)の主なものは以下です。

  • 「機能性表示食品」の表示は主要面上部に枠で囲って表示する。
  • 届出番号を「機能性表示食品」の表示の近接した位置に表示する。
  • 機能性表示(「科学的根拠を有する機能関与成分及び当該成分を含有する食品が有する機能性」)について、基準案(略)を見るだけでは「機能性表示」と冠す以外はどう変わるのかの理解が難しいですが、第74回食品表示部会(7/12)の【参考資料4】表示の例(7/23に差し替え)から、機能性表示を一部切り出して表示することは出来なくなること、機能性関与成分の研究レビューで届出するものについては、「報告がされている旨」を表示することが分かります。

 以下に第74回食品表示部会の【参考資料4】表示の例の機能性関与成分の研究レビューによる届出の食品の改正後の表示案を示しました(生鮮食品の例ですが、改正部分については共通で、赤字が変更点です)。


 最後に施行期日等ですが、上記部会の【参考資料3】機能性表示食品制度の見直し内容と施行期日等にまとまっています(一部9/1施行)。 
改正内容は、今後パブリックコメントを受けて微修正があるかもしれません。機能性表示食品を届出されている事業者の皆様、今後予定されている事業者の皆様は注視が必要です。



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