Author Archives: 大柴 はる奈

About 大柴 はる奈

食品製造の品質管理に在籍した経験を活かし、主に海外から国内に輸入される原材料や添加物の調査業務のほか、食品規格、添加物、食品表示に関するコンサルティング業務に従事しています。
趣味は鉱物収集。

令和7年度 第1回栄養機能食品に関する検討会について ~「下限値・上限値」および「栄養成分の機能」の見直し~

 2025年10月8日、「令和7年度 第1回栄養機能食品に関する検討会」が開催されました。令和7年度検討会では、「下限値・上限値」、「栄養成分の機能」の2つの規定について議論される予定です。今回は栄養機能食品制度見直しの背景と、2つの検討課題の内容についてまとめたいと思います。

栄養機能食品制度見直しの背景

 栄養機能食品制度は2001年(平成13年)の制度創設以降、栄養成分の追加や下限値・上限値の見直しが行われてきた一方で、栄養成分の機能や摂取をする上での注意事項の文言については見直しが行われておらず、特に栄養成分の機能の文言は、現行の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」とかい離が生じていることが「令和元年度栄養素等表示基準値の改定に関する調査事業報告書」において指摘されました。こうした状況から、栄養機能食品制度の見直しについて、検討が行われることとなりました。

「下限値・上限値」、「栄養成分の機能」の検討内容

①下限値・上限値

 「令和7年度の栄養機能⾷品の下限値・上限値の改正における算出⽅法(案)」が提示されており、この妥当性について検討される方針です。

 下限値については、これまでの「栄養素等表⽰基準値の30%」という設定根拠は変更せず、2025年版栄養素等表示基準値に基づいた値の確認が行われる予定です。なお2025年版基準値改正に伴い、特にビタミンB12とビタミンDの下限値は大幅に増える見込みです。

 一方、上限値については、平成26年に検討された追加成分における栄養機能⾷品の上限値の算出⽅法をもとに、各栄養成分の設定根拠の妥当性について検討が行われます。具体的には、マグネシウムについては今回の見直しから栄養素等表示基準値を上限値として採用すること、亜鉛・銅については算出方法の変更はせずに、改正された耐容上限量(UL)によって算出した上限値を採用することなどが提案されています。

②栄養成分の機能

 栄養機能⾷品の機能の⽂⾔は、制度創設時に「第六次改定⽇本⼈の栄養所要量 -⾷事摂取基準-」等に基づいて設定され、その後、令和3年度「栄養成分の機能表⽰等に関する調査・検討事業」、令和5年度「栄養機能⾷品における栄養成分の機能表⽰の⾒直しに係る調査事業」の実施により、⾒直し⽅針の整理および⾒直し原案の作成が行われています。 今回の検討会では、見直し原案に基づいた「栄養機能⾷品における栄養成分の機能表⽰の⽂⾔の⾒直し案」が提示されました。この中では、現行文言の表現変更に加え、例えばビタミンCについて、「ビタミンCは、腸管での鉄の吸収を助ける栄養素です。」など、新たな機能の文言の追加も提案されています。

栄養機能⾷品制度改正の⾒通し

 令和7年度中には先に述べた2つの規定について、3回程度の検討が予定されています。また、令和8年度には「摂取をする上での注意事項」について検討が行われ、その後に食品表示基準の一部改正が行われる見込みとなっております。関連企業の皆様におかれましては、今後の動向を注視されることをおすすめします。



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令和6年度 第2回日本版包装前面栄養表示に関する検討会について


 2024年8月27日、「令和6年度 第2回日本版包装前面栄養表示に関する検討会」(以下、「検討会」とします。)が開催されました。今回は、第2回検討会で協議された主な議題内容について、整理していきたいと思います。主な議題内容としては、「摂取時の状態の表示の許容」と「表示様式」の2つのテーマがありました。

摂取時の量とのかい離が生じる食品の取扱いについて


 栄養成分表示については、販売される状態における可食部分の栄養成分等の量を表示するものとしています。その一方で、日本版包装前面栄養表示については、販売時と摂取時の栄養成分等の量にかい離が⽣じる⾷品(「水で抽出する食品」、「水で塩抜きする食品」、「湯切りする食品」、「一般的に牛乳を加える食品」、「調理方法を表示する調味料」)については、栄養成分表示には販売時の状態を表示した上で、標準的な調理方法を併記し、合理的な根拠に基づいたその表示値の根拠となる資料を保管することで、摂取時の状態の表⽰を許容することについての検討が必要とされています。
 これについて第2回検討会では、第1回検討会での意見に加え、海外の事例も一部紹介された上で、摂取時の状態の表示の許容について意見交換がなされました。協議の中では、「「水で抽出する食品」、「水で塩抜きする食品」、「湯切りする食品」のみにした方がよい」、「1種類の食品のみを加える場合、複雑性がないような場合は前面表示がよいのではないか」、「レシピを担保した上でさらに多様性のある食べ方を考慮すると、このほかの料理に入るようなものも許容していった方がよいのではないか」という3種類の意見が挙がり、第3回検討会で更に検討を進めるとしています。
参考:資料2 摂取時の量とのかい離が生じる食品の取扱い(2)

日本版包装前面栄養表示の様式について


 日本版包装前面栄養表示の様式については、「我が国における包装前面栄養表示の検討の方向性」のうち、以下のポイントを中心に検討が必要とされています。

  • 対象となる栄養成分等は、義務表⽰に位置付けられている熱量、たんぱく質、脂質、炭⽔化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)とすること。
  • 対象となる栄養成分等の量に加え、栄養素等表⽰基準値に占める当該量の割合を表⽰すること。
  • 食品単位を当該食品の1食分であることを原則とし、当該1食分の量を合わせて表示すること。
  • 任意表⽰の取組と位置付けた上で、⼀定のルールが必要であること。

 第2回検討会では、令和5年度分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会において一般消費者、管理栄養士、食品関連事業者などを対象として行われたインタビュー調査の結果を参考に、⽇本版包装前⾯栄養表⽰の様式案の要件(案)が示され、その内容などについて議論が行われました。議論の中では、「栄養素等表示基準値については、文言自体は表示に必ずしも含める必要はないが、パーセント表示にどのような意味があるかを明示する必要はある。」、「食品単位については、ロゴのパッケージの中には含めなくてよいが、近接する部分に明示する。ただし、推定値についてはなくてもよい。」などの意見が挙がりました。また、デザインは5成分(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)を主とし、補完的な栄養素等(ビタミンC、カルシウム、食物繊維など)を表示する場合については、第3回で引き続き検討が必要であるとされています。
 
 令和6年度日本版包装前面栄養表示に関する検討会は、全5回の実施が予定されており、2025年(令和7年)2月以降にガイドラインが提示され、食品表示基準における位置付けが明確化すると考えられます。多くの食品関連事業者の皆さまに関わる事柄と考えられますので、今後の動向に注視し、公開される資料に目を通されることをおすすめいたします。



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