WG FS提案:13種類の物質の使用制限または禁止について
欧州食品安全機関本部(HoA)は最近、サプリメントに関する作業部会(WG FS)からの重要な報告書を発表しました。この報告書では、サプリメントによく使用される13種類の物質の使用制限または禁止を提案しています。この取り組みは、消費者保護を強化し、欧州連合(EU)全体で調和のとれた規制アプローチを確保することを目的としています。
WG FSは合計117種類の物質をレビューし、サプリメントとして摂取された場合の潜在的な健康リスクを評価しました。このレビューに基づいて、13種類の物質が潜在的な健康リスクのために優先的に特定されました。これらの13種類の物質については、すでに所轄官庁 食品評価(CAFAB)の新規食品作業部会が連絡を取り、「新規でない※1」または「NFSでない※2」と確認されています。
13種類の物質の概要
- 植物製剤に含まれるクマリン
- ウコン(Curcuma spp.)製剤に含まれるクルクミン
- セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)
- メラルーカ(Melaleuca spp.)精油
- メラトニン
- ピペリン
- ミカン属(Citrus spp.)製剤に含まれるp-シネフリン
- トリプトファン
- ブラックコホシュ(Actaea racemose)
- マカ(Lepidium meyenii)
- カミメボウキ(Ocimum tenuiflorum)
- ハマビシ(Tribulus terrestris)
- アシュワガンダ(Withania somnifera)
※1 新規でない(Not Novel):’新規でない’ と分類された物質は、1997年5月15日以前にEUでの消費の歴史があるため、新規食品規則(EU)2015/2283に基づく事前市場承認を必要としません。
※2 NFSでない(Not NFS: Not for Supplement Use): ‘NFSでない’ と見なされる物質は、科学的証拠に基づいて、サプリメントでの使用が健康リスクを引き起こす可能性があると示唆されているものです。
※2 NFSでない(Not NFS: Not for Supplement Use): ‘NFSでない’ と見なされる物質は、科学的証拠に基づいて、サプリメントでの使用が健康リスクを引き起こす可能性があると示唆されているものです。
今後の予定:欧州委員会とEFSAの協議による決定
次のステップは、欧州委員会(EU COM)がこれらの勧告について欧州食品安全機関(EFSA)と協議して決定することです。潜在的な健康リスクがあると判断された物質は、規則(EC)No 1925/2006に基づく「第8条手続き」の対象となります。この手続きにより、これらの物質はEU内で禁止、制限、または監視の対象となる附属書IIIに含まれることになります。
日本の現状
日本でも、紅麹(Monascus)事件に端を発する機能性食品表示制度の大幅な見直しが進行中です。この事件は、コレステロール低下効果で知られる紅麹製品の一般的な成分である「ベニコウジカビ」(Monascus purpureus)の安全性に関する懸念を含んでいました。報告によると、原因はプベルル酸などの化合物の生成によるものとされています(参考資料1、参考資料2)。
機能性食品表示制度の主な変更点は、健康被害の報告義務化と適正製造規範(GMP)要件の導入です。
結論
欧州委員会とEFSAがこれらの勧告を進める中で、食品事業に関係する人々においては規制の変更に備え、情報を常に最新に保つことが重要です。同様に、日本の機能性表示食品制度の改訂は、サプリメントの規制強化に向けた世界的な動きを強調しています。両地域の取り組みは、消費者を保護しながら、食品サプリメント業界の健全性を維持することに対するコミットメントを示しています。
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イクラム
海外調査担当 : 株式会社ラベルバンク
チュニジア出身。生物学を専門とし、海外の原材料、添加物、表示基準の調査業務に従事しています。また海外のお客様とのコミュニケーションを円滑にするサポート業務にも取り組んでいます。
趣味は料理。
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【寄稿】
・2023年12月『食品と開発』(健康メディア.com)「海外の栄養プロファイリングシステムと栄養表示制度」
【最近の講演・セミナー実績】
・2024年9月3日「日本の食品・飲料市場について: 食品基準、添加物、表示基準」Kansai Food & Beverage Forum 2024:CCI France Japon様主催。
・2024年4月12日「日本の菓子市場について:食品基準、添加物、表示基準」 ISM Japan 国際菓子専門見本市様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら(英語サイト)
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