食品添加物の不使用表示に関するガイドラインについて

By | 2021年5月12日


 2021年3月4日に第1回食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会が開催されました。2019年度実施の「食品添加物表示制度に関する検討会」における意見等を踏まえ、食品添加物の不使用表示の実態を把握し、類型化するとともに、実際の表示を例として、以下について検討していくものです。

検討内容について


(1)ガイドラインの内容

  1. ガイドラインの対象
  2. 不使用表示の類型:誤認につながるおそれのあるものとそうでないもの
  3. 誤認につながらない表示方法
  4. ガイドラインの猶予期間(経過措置期間)

(2)その他 ・食品表示基準Q&A(加工-90)等の改正の検討 等

現行の課題


 現行の食品表示基準における食品添加物不使用表示に係る解釈は、上記(2)の食品表示基準Q&A(加工-90)に記載があります。

(加工-90)
「添加物は一切使用していません」、「無添加」などと表示をすることはできますか。

(答)

  1. 通常同種の製品が一般的に添加物が使用されているものであって、当該製品について添加物を使用していない場合に、添加物を使用していない旨の表示をしても差し支えないと考えます。
    なお、加工助剤やキャリーオーバー等で表示が不要であっても添加物を使用している場合には、添加物を使用していない旨の表示をすることはできません。
    また、「無添加」とだけ表示することは、何を加えていないかが不明確なので、具体的に表示することが望ましいと考えます。
  2. さらに、同種の製品が一般的に添加物が使用されることがないものである場合、添加物を使用していない旨の表示をすることは適切ではありません。

 加工助剤やキャリーオーバーに該当する添加物は表示が不要であるため、使用していたとしても表示はされないことから、消費者には表示では見えないものとなり、「添加物不使用」の表示は、本当に「添加物不使用」であると消費者が誤認してしまう可能性は否定できないものと考えます。

 また、現在の禁止事項、食品表示基準第9条では以下に記載があります。(一部抜粋)

一  実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語
二  第3条及び第4条の規定により表示すべき事項の内容と矛盾する用語
十三 その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示

 この禁止事項より添加物を使用した加工食品に「(添加物)無添加」と表示することは禁止事項に該当するもの(食品表示基準Q&A(加工-282))となりますが、優良(有利)誤認にあたるか否かは、商品の性質、一般消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容などを基に、ケースバイケースで全体として判断されています。

今後の予定


 ケースバイケースで判断されているものを類型化してガイドライン上に整理するのは難しいものです。今後のスケジュールについては、以下の(案)が公開されております。

2021年3月



第1回
• 食品添加物の不使用表示に関する議論の振り返り
• 検討の進め方について
第2回
• 関係者ヒアリング(消費者、事業者等)
第3回以降
• ヒアリング
• 調査結果を踏まえた検討
• ガイドライン取りまとめに向けた検討
• パブリックコメントの実施及びガイドライン案への反映
2022年3月 ガイドラインの作成・公表、関連するQ&Aの改定

 なお、ガイドラインは食品表示基準の規定につき、容器包装上の表示を対象としています。ただしガイドライン策定により「既存の公正競争規約の改正、新規策定」「広告等の指導」に加え、ガイドラインを参考として景品表示法の適用により、消費者の誤認につながる不使用表示を縮減するなどの効果が期待されています。

 今後、猶予期間(経過措置期間)も検討されることとなりますが、現在の商品の表示に「保存料無添加」「添加物不使用」等の表示を容器包装にしている事業者様、また広告等に表示をされている事業者様におかれましては、商品の配合や原料規格書を改めて見直す1年とされてみてはいかがでしょうか。


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調査チーム

調査チーム

上級食品表示診断士。原材料、添加物の調査から食品表示の作成、チェックまで幅広い実務に従事しています。食品業界に長く在籍した経験を活かし、お客様からの食品表示に関する様々なご質問について、より分かりやすく回答できるよう取り組んでいます。