「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン第2版」が公表されました

By | 2018年6月4日

 2018年5月11日、消費者庁より「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン第2版」が公表されました。新しい食品表示基準と同時に公表された同第1版と比べ、大幅に構成が変わっていますので、こちらで取り上げたいと思います。

主な変更点


 第1版は表示値の計算方法や分析方法についてなど「栄養成分表示の設定方法」から説明が始まっている、やや専門的な内容のガイドラインでした。しかし第2版の目次を見ると、「表示しようとする食品はどのような食品か?」など、表現方法から大きく変わっています。

 主な変更は、以下のとおりです。

  • 手順別(対象食品→強調の有無→表示方法→表示根拠)に規則を掲載
  • 成分別(別表第九※、その他)、分類別(加工、生鮮、添加物、一般、業務用)に規則を掲載
  • 含まれる旨や栄養機能食品の基準値など、「食品表示基準」の別表を掲載
  • 詰め合わせ食品や表示可能面積など、「食品表示基準Q&A」の内容を掲載
  • 最小表示の位や有効数字など、通知「食品表示基準について」の内容を掲載
  • ※食品表示基準別表第九に定められている36の成分と熱量

 このように、食品表示基準内の栄養成分に関する記載と別表、そして「食品表示基準Q&A」、通知「食品表示基準について」に記載されている主な規則も盛り込まれており、栄養成分表示の作成やチェックに困ったときの、包括的なガイドラインに変更されたと言えるでしょう。

ガイドラインの構成


 修正されたガイドラインは、以下のような構成になっています。

第1 表示しようとする食品はどのような食品か?

  1. 食品表示基準の対象
    食品表示基準の対象となるものについて
  2. 表示が必要な栄養成分
    (1)食品表示基準に規定される栄養成分
    (2)加工食品、生鮮食品、添加物における栄養成分表示の規定
      
    1. 一般用加工食品
    2. 一般用生鮮食品
    3. 一般用の添加物
    4. 業務用加工食品、業務用生鮮食品、業務用の添加物

第2 栄養強調表示をするか?栄養機能食品として販売するか?

  1. 栄養強調表示
    (1)栄養強調表示の規定

    1. 栄養成分の補給ができる旨及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨
    2. 糖類を添加していない旨又はナトリウム塩を添加していない旨
    3. 栄養強調表示の規定における留意事項

    (2)栄養強調表示をする場合の表示値

    1. 栄養成分の補給ができる旨及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示値
    2. 糖類を添加していない旨又はナトリウム塩を添加していない旨の表示値

    (3)栄養強調表示の表現例

    1. 栄養成分の補給ができる旨及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表現例
    2. 糖類を添加していない旨又はナトリウム塩を添加していない旨の表現例
    3. 栄養強調表示の表現における留意事項

    (4)原材料やセットを構成する食品について栄養強調表示をする場合

    1. 原材料について栄養強調表示をする場合
    2. セットを構成する食品について個々のものに栄養強調表示をする場合

    (5)栄養強調表示の基準がない場合

    1. 栄養強調表示の基準がない成分
    2. 業務用食品に栄養強調表示をする場合
  2. 栄養機能食品
    (1)栄養機能食品の規定
    (2)栄養機能食品における義務表示事項
    (3)栄養機能食品における表示値
    (4)栄養機能食品における留意事項
    (5)栄養機能食品の表示が望ましくない食品

第3 適切な方法で表示されているか?

  • 栄養成分表示の方法等
    (1)栄養成分表示の様式(食品表示基準別記様式2又は3)
    (2)表示に用いる名称及び表示の単位
    (3)表示値の桁数

    1. 最小表示の位
    2. 最小表示の位に満たない場合であって、「0と表示することができる量」以上ある場合

    (4)表示の方式等における留意事項

    1. 栄養成分の量及び熱量の表示
    2. ナトリウムの量の表示
    3. 複数の食品が同じ容器包装に入っている場合の表示方法

第4 表示される値は適切か?

  1. 表示値の種類
    (1)表示値の種類

    1. 一定の値による表示
    2. 下限値及び上限値による表示
    3. 上記ア及びイを併用する場合

    (2)「範囲内にある値」の考え方
    (3)許容差の範囲

    1. 許容差の範囲の規定
    2. 栄養強調表示の基準値と許容差の範囲

    (4)合理的な推定により得られた一定の値

  2. 分析により表示値を求める場合
    (1)基本的な考え方
    (2)分析により表示値を求める際の留意事項
    (3)値の変動要因の例

    1. 自然要因
    2. 人為的な要因
  3. 分析以外の方法により表示値を求める場合
    (1)基本的な考え方

    1. データベース等の値を用いる方法
    2. データベース等から得られた個々の原材料の値から計算して表示値を求める方法

    (2)参照するのに適したデータベース等の例
    (3)データベース等の値を参照するのに適切ではない事例

 このように、第1版とは大きく異なる内容となっています。栄養成分表示の義務化に対応しようと、前回のガイドラインを見たものの難しいと感じた方にも、分かりやすくなっていると思いますので、一度確認されてみてはいかがでしょうか。 

【注】2018年5月18日に一部修正がありました。

第4 表示される値は適切か?

  1. 表示値の種類
    (3)許容差の範囲

    1. 許容差の範囲の規定
       『「許容差の範囲内にある一定の値」を表示する場合、販売されている期間中、どの商品を取っても、食品表示基準別表第9第3欄に掲げる方法により得られた値が表示値の許容差の範囲内にある必要があります。』

メールマガジン配信登録

こちらのブログに毎月投稿している食品表示に関するニュースやセミナー情報を、ご登録されたメールアドレス宛に送付させていただきます。

関連サービス

食品表示コンサルティング:原材料及び添加物の適合性検証、容器包装への食品表示案の適合性検証
配合表等の規格書をもとに、原材料及び添加物の国内または海外各国における使用基準との適合性を検証します。また原材料名やアレルゲン、栄養成分等の表示案と表示基準との適合性を検証します。

The following two tabs change content below.
井上 慎也

井上 慎也

上級食品表示診断士。生物化学を専門とし、主に原材料、添加物、表示基準の調査業務に従事しています。FOODS CHANNELにて食品表示コラムを連載(2012年)、各地の産業振興財団イベントにおいて食品表示相談員としても活躍しています。
趣味は自転車。