「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」について2~論点の整理と、表示義務対象範囲について議論がされました~

By | 2017年11月2日
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 2017年9月27日、第5回目の「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(消費者庁)が開催されました。遺伝子組換え表示制度の在り方の検討に当たっての論点についてと、遺伝子組換え表示の表示義務対象範囲の考え方について、議論がされています。

制度の在り方の検討に当たっての論点


 これまでの検討会においての消費者団体等ヒアリング、事業者等ヒアリングを経て、遺伝子組換え表示制度の在り方の検討に当たっての論点について、以下のように整理されています。
(出典:遺伝子組換え表示制度の在り方の検討に当たっての論点(案)(消費者庁))

1.表示義務対象範囲

  • 論点1 表示義務対象品目の検討
  • 論点2 表示義務対象原材料の範囲の検討

2.表示方法

  • 論点3 消費者にとって分かりやすい「遺伝子組換え」及び「遺伝子組換え不分別」表示の検討
  • 論点4 「遺伝子組換えでない」表示をするための要件の検討

<論点1>

(現状)
遺伝子組換え食品としての安全性が確認された農産物(8品目)及びこれを原材料とする加工食品(33品目)を表示義務対象品目としている。
なお、加工食品については、表示の信頼性及び実行可能性の確保の観点から、加工工程後も組み換えられたDNA又はこれによって生じたたんぱく質(以下「組換えDNA等」という。)が検出可能なものに限定している

(意見)
消費者が誤解することのないよう全ての加工食品を表示義務対象品目にすべき
表示の信頼性、実行可能性等の観点から組換えDNA等が検出できるものを義務表示対象品目にすべき

<論点2>

(現状)
加工食品の表示義務対象原材料を、原材料の重量に占める割合が高い上位3品目までのもので、かつ、原材料及び添加物の重量に占める割合が5%以上である原材料に限定している

(意見)

  • 表示義務対象原材料の範囲を拡大すべき
  • 事業者の実行可能性を踏まえた検討をすべき

<論点3>

(現状)
分別生産流通管理が行われたことを確認した遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品に「遺伝子組換え」である旨の表示を義務付けている。また、遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物が分別されていない農産物並びにこれを原材料とする加工食品に「遺伝子組換え不分別」である旨の表示を義務付けている

(意見)

  • 「遺伝子組換え不分別」表示の意味が分かりにくい。
  • 遺伝子組換え食品に関する問合せのうち、「遺伝子組換え不分別」表示の意味に関する問合せが多くを占めている。

<論点4>

(現状)
分別生産流通管理が行われたことを確認することを条件に非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品に「遺伝子組換えでない」旨を表示することができる。
なお、分別生産流通管理が適切に行われた場合でも、大豆及びとうもろこしは遺伝子組換え農産物の一定の混入の可能性があることから、分別生産流通管理が適切に行なわれていれば、このような一定の「意図せざる」混入がある場合でも、「遺伝子組換えでない」旨の表示をすることができることとされている(「5%以下」と規定)。

(意見)

  • 1.遺伝子組換え農産物が最大5%混入しているにもかかわらず「遺伝子組換えでない」表示を可能としていることは誤認を招くことから改善が必要、2.意図せざる混入の基準を引き下げるべき。
  • 意図せざる混入の基準を引き下げることは安定供給及びコストの観点から困難である。

 検討会において、まずは各論での議論を進め、その後に全体として捉えたときの検討もされるという流れになる見込みです。論点については、上記の4点に整理されることに決まりました。

表示義務対象範囲の考え方について


 つぎに、論点1の「表示義務対象品目の検討」についての議論がされました。具体的な論点は以下の通りです。(出典:遺伝子組換え表示の表示義務対象範囲の考え方(案)(消費者庁))

【問題点】

  • 遺伝子組換えの原材料を使用したものと遺伝子組換えでない原材料を使用したものとの間に、実証可能な差異がなく、科学的検証ができない。
  • 科学的検証ができない加工食品について、偽装表示の監視をする場合は、個々の事業者への立入検査等による社会的検証(根拠書類の確認)のみがその手法となる。
  • 原材料から製造される加工食品であれば、当該原材料を検査することで根拠書類の真正性の確認が可能であるが、加工食品の状態で輸入される製品の場合、根拠書類の真正性を十分確認することができず、結果として表示の信頼性を損うおそれがある。
  • また、多くの原材料を輸入に頼るなか、国際的なトレーサビリティ制度もなく、国内事業者が書類等の真正性の確認ができないため、国際的な取引に影響を及ぼすおそれがある。

 論点1については科学的な検証を中心に議論を進め、科学的に検証ができないものに表示義務を課す場合のデメリットにも触れるなどし、基本的には現在の制度を維持するといったまとめになりました。

 ついで、論点2の「表示義務対象原材料の範囲の検討」についての議論がされました。具体的な論点は以下の通りです。(出典:遺伝子組換え表示の表示義務対象範囲の考え方(案)(消費者庁))

【問題点】

  • 遺伝子組換え表示制度導入時(平成11年)よりも、義務表示事項は増加している(平成29年9月1日から、新たな加工食品の原料原産地表示制度がスタート)。
  • 個食化が進み、容器包装が小さくなっている傾向がある。

 現状の「上位3品目かつ重量割合5%以上」に限る必要はないとした意見もありましたが、やはり遺伝子組換え表示は安全性に関する表示ではなく、商品選択のための表示という理解のもと、表示量の多さの問題などから大体の意見としては現状の制度を維持するとしたまとめになりました。

今後のスケジュール


 検討会は本年度内(2018年3月)までを目途に、報告書をとりまとめる予定になっています。次回検討会の日程は未定ですが、今後も節目ごとにコラムで取り上げたいと思います。食品表示の実務面で今後すぐに必要となる情報ではありませんが、検討会の資料を読むことによって、各国の事情や、日本の食糧自給率など、食品の事業を取り巻く社会環境についても知ることができますので、一度目を通しておかれるとよいと思います。

参照:
遺伝子組換え表示制度に関する検討会(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/genetically_modified_food.html
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