加工食品の原料原産地表示の拡大について8 ~改正案が大筋了承されました~

By | 2017年8月2日
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 2017年7月28日、消費者委員会食品表示部会が開催され、改正案について大筋で合意がなされました。一部の修正と前提条件つきの答申ではあるものの、おおむね、パブリックコメント募集時に公開された改正案のとおりに決まることになります。
以下に、あらためて制度改正の概要について整理するとともに、今回の一部修正と前提条件について概要をまとめてみたいと思います。

改正の概要と表示例


1.義務表示の対象

対象となる食品:国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品以外の全ての加工食品)を義務表示の対象とする。
対象となる原材料:製品に占める重量割合上位1位の原材料を義務表示の対象とする。また重量割合上位1位の原材料が50%未満の22食品群も原料原産地表示の対象に含む。

2.義務表示の方法

  1. 対象原材料の産地について、現行の表示方法と同様に、国別に重量割合の高いものから順に国名を表示する「国別重量順表示」を原則とする。
  2. 対象原材料が加工食品の場合、中間加工原材料の「製造地」を表示する。
  3. 原産国が3か国以上ある場合は、現行の表示方法と同様、重量割合の高いものから順に国名を表示し、3か国目以降を「その他」と表示することができる。
  4. 「国別重量順表示」が難しい場合には、一定の条件の下で、「可能性表示」や「大括り表示」の表示を認める。

(産地の表示例)

名称 ポークソーセージ(ウインナー)
原材料名 豚肉(アメリカ)、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料/調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na、K)、・・・

(製造地の表示例)

名称 清涼飲料水
原材料名 りんご果汁(ドイツ製造)、果糖ぶどう糖液糖、果糖/酸味料、ビタミンC

3.「国別重量順表示」が難しい場合の表示方法

1)「可能性表示(「又は」表示)」の表示例

名称 ポークソーセージ(ウインナー)
原材料名 豚肉(カナダ又はアメリカ又はその他)、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料/調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na、K)、・・・

※豚肉の産地は、平成○年の使用実績順

2)「大括り表示(「輸入」表示)」の表示例

名称 ロースハム
原材料名 豚ロース肉(国産、輸入)、糖類(水あめ、砂糖)、食塩/調味料(有機酸等)、増粘多糖類、発色剤(亜硝酸Na)、香辛料

3)「大括り表示+可能性表示(「又は」表示)」の表示例

名称 小麦粉
原材料名 小麦(輸入又は国産)

※小麦の産地は、平成○年の使用実績順

4.その他の改正点

  • 一定期間における使用割合が5%未満である原産地については、その旨を表示する。
  • おにぎりののりについては、のりの原料となる原そうの原産地を表示する。
  • 「国別重量順表示」が難しい場合の表示方法については、根拠書類の保管を条件とする。

答申書に記載された意見について


 以下は、2017年7月28日消費者委員会食品表示部会において提出された答申書から、「前提条件」「追加修正」についての情報をまとめたものです。

【諮問された食品表示基準案を適当とする前提条件】(概要)

  1. 理解度等に関する目標値を設定し、消費者と事業者への周知活動を行うこと。
  2. 周知活動には、新たな普及・啓発方法も取り入れて行うこと。
  3. 相談窓口の常設など、事業者の理解不足による誤表示が発生しないよう周知すること。
  4. Q&Aを拡充し、事業者が制度を誤って解釈しないよう、的確な制度解説を行うこと。(特に例外要件の判断基準、根拠資料の保管ルール、行政に対する説明事項など)
  5. 「周知状況を把握する調査」は、消費者のみならず事業者に対しても実施すること。
  6. 食品表示に関する監視体制をより一層強化すること。
  7. 別表第十五に追加する品目を選定する場合の基準を明確化し、公表すること。
  8. 国別重量順表示と例外表示がどの程度の割合で存在するかを定期的に検証すること。
  9. 経過措置期間終了後、理解度等に関する調査を実施し、その結果を公表すること。
  10. 経過措置期間終了から2年後を目途とし、必要に応じて制度の見直しを実施すること。

【諮問された食品表示基準案のうち、修正・追加を行うべき内容】(全文引用)

(1)第3条第2項表1の五イの(ロ)

一定期間使用割合が5パーセント未満である対象原材料の原産地について、当該原産地の表示の次に括弧を付して、当該一定期間使用割合が5パーセント未満である旨の表示を義務付けるが、第3条第2項表1の四の規定に基づく「その他」の表示に対しては、当該表示を義務付けない。

(2)施行期日、経過措置、今般の基準改正による原料原産地表示の対象とならない製品の範囲

施行は今回の食品表示基準の一部改正に係る公布の日からとし、経過措置期間は府令の施行の日から平成34年3月31日までとする。また、今回の食品表示基準の一部改正にかかる施行の際に加工食品の製造所又は加工所で製造過程にある加工食品は、従前の食品表示基準の例によることができる。

まとめ


 その他、答申では付帯意見としていくつか追記がなされています。義務表示が増えているのでインターネットでの表示の活用の検討をという意見と、また海外商取引への影響の懸念について、そして分かりやすい基準案とQ&Aへの要望がありました。
 全体的にみたときの大きな変更点は、「経過措置期間が平成32年3月31日から、平成34年3月31日へと延期された」点であり、その他の詳細な情報(例外表示の判断基準や根拠資料の保管ルールなど)については、Q&Aを待って確認することになります。これで一連の検討会が終わり、この夏には正式に制度改正が施行される予定です。
 実務上では、とりわけ「根拠資料の保管」がポイントになりますので、まずは手元の規格書などの情報整理と、情報管理体制の見直しを進めていくことが大切になると思います。

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