現行の「原料原産地表示」の基礎知識

By | 2017年3月2日
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 今年も2ヶ月が過ぎ、3月がやってまいりました。この間での食品表示に関する主な話題は、やはり「全ての加工食品に原料原産地義務化」だったと感じています。現在はパブリックコメント待ちの状態ですので、この機会に現在(改正前)の原料原産地表示の仕組みについて整理してみます。とりわけ、これまで原料原産地の表示が必要な食品(食品表示基準別表第十五の22食品群+4品目)の取扱いがなかった方にとって、表示制度について再確認の機会にしていただければと思います。

対象となる食品と原材料


  • 別表第十五の1~22番の22食品群については、原材料及び添加物に占める重量の割合が最も高い生鮮食品で、かつ、当該割合が50%以上であるものの原産地を、原材料名に対応させて表示します。
  • 23~26番の4品目は、個別に基準が定められています。
  • 輸入食品は対象外です。

原料原産地表示の例


 乾燥果実(りんご)を事例にすると、次のような表示方法になります。枠で囲まれた部分が、原料原産地表示です。ここでは、真ん中の表示方法(原料原産地名の事項欄を設けずに、原材料名の次に括弧を付して表示する方法)を例に説明をすすめたいと思います。

【基本的な表示方法】

  • りんごの原産地が1ヶ国の場合は、「りんご(A国)、砂糖」。
  • りんごの原産地が2ヶ国の場合は、「りんご(A国、B国)、砂糖」。A国、B国は重量割合の高い順に表示します。以下、複数国ある場合は同様です。
  • りんごの原産地が3ヵ国以上の場合は、「りんご(A国、B国、C国、D国)、砂糖」もしくは、「A国、B国、その他」と3ヵ国目以降を「その他」と表示できます。
  • 国産を使用する場合は、「りんご(国産)」もしくは「りんご(日本)」。もしくは、「りんご(a 県)」など都道府県など、その他一般的に知られている地名による表示もできます。

【特別な表示方法】

  • 調達先が頻繁に変更するなどの事情がある場合は、「商品名下部に記載」などと表示し、印字やシールにより対応することもできます。
    例えば「原料原産地名 A国 B国 C国」のように の印字で表示とすることもできます。
  • 複数国の原料を混合して製造する等、原産地の重量割合が商品ごとに特定できない場合は、「〇〇(A国またはB国)」「〇〇の原産地は平成~年の取扱い実績順」「詳細は~までお問い合わせください」と表示することもできます(「たらこ」などで見られる表示方法です)。

【不適切な表示方法】

  • りんごの原産地が2ヶ国の場合に、「りんご(A国、その他)」とすることはできません。また原産地が国内に2か所以上ある場合でも、まとめて1ヶ国扱いとなるため、「りん
    ご(a 県、b 県、その他)」は不適切となります。
  • りんごの他に対象となる原材料があり、なおかつ原料原産地名の事項欄を設けている場合、「 ■原材料名:りんご、ぶどう、砂糖 ■原料原産地名:A国」とすることは不適切。
    例えば「原料原産地名 A国(りんご)」のようにわかりやすく表示する必要があります。
  • 産地を強調する場合、加工地なのか原料原産地名なのか不明確な表示は不適切となります。例えば、A国産のりんごを、国内で加工した場合は、「国産 乾燥りんご」は不適切となり、「加工地:日本」もしくは「国内加工」などの表示に変更することが必要です。

原料原産地と原産国について


 以上はあくまでも事例です。実際には、いろいろと複雑な流通過程を経て製造される食品も多いものですので、よく直面するQ&Aについて整理してみたいと思います。(同様に「乾燥果
実(りんご)」を事例にします。)

  • りんごの原産地(A国)で加工(りんごの切断等)された原料を使用し、国内で製品を完成させた場合は、りんごの原料原産地名(A国)の表示が必要です。
  • りんごの原産地(A国)とは別の国(X国)で加工(りんごの切断等)された原料を使用し、国内で製品を完成させた場合は、りんごの原料原産地名(A国)の表示が必要です。
  • りんごの原産地(A国)とは別の国(X国)で製造(砂糖で味付等)された加工食品を使用し、国内で製品を完成させた場合は、現行の原料原産地表示の義務表示対象品目には該当しません。
  • りんごの原産地(A国)とは別の国(X国)で製造(砂糖で味付等)された食品を、国内で加工(小分け等)した場合は輸入食品に該当するため、製造した国(X国)を「原産国名」として表示します。

「特色のある原材料」との関係


 特定の原産地を強調した表示は、「特色のある原材料(第7条)」として食品表示基準に規則が定められています。「重量の割合の表示」が必要になるのですが、「原料原産地名(第3条)」の事項欄に記載されている場合は、適用の対象外となります。

《例》国産りんご70%、A国産りんご20%、B国産りんご10%使用した商品の場合

  1. 強調したい原料のみ表示する場合は第7条が適用され、割合表示が必要
    (原料原産地名の義務表示対象外品目の場合)
     例:「原材料名  りんご(国産りんご70%使用)、・・・」
  2. 原料原産地を全て表示する場合は第7条の適用外(割合表示は不要)
    (原料原産地名の義務表示対象、対象外品目とも共通)
     例:「原材料名  りんご(国産、A国、B国)、・・・」
  3. 一括表示外に強調表示する場合は第7条が適用され、割合表示が必要
    (原料原産地名の義務表示対象、対象外品目とも共通)
    例:「原材料名  りんご(国産、A国、B国)、・・・」 
    (一括表示外に「国産りんご70%使用(りんごに占める割合)」)

 その他詳細な規則は多々ありますが、以上が主な注意点と言えるでしょう。ちなみに食品表示基準Q&A内には、「原料原産地表示(別添)」だけで88ページもあります。こうした資料をざっと読むことで、今後の改正で必要になる準備について検討することができると思います。

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