加工食品の原料原産地表示の拡大について3 ~検討の現状と海外の制度について~

By | 2016年9月2日
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 今年1月より開催されている「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」も、8月23日に第7回目を終えました。現状の義務表示対象は加工食品の一部(22食品群+4品目)ですが、今後はすべての加工食品にまで広げる方向で検討が進められています。

現状の整理


第6回目(7月26日)の検討会で、4つの論点が発表されています。

  • 表示の対象となる加工食品(表示可能面積30㎠以下、包装のない加工食品の扱い等)
  • 義務表示の対象となる原材料(製品に占める重量割合などの条件、冠表示の扱い等)
  • 義務表示の方法(以下に詳細)
  • 表示媒体(インターネットによる情報提供の扱い等)

 複数の原材料を使用する加工食品での原産地表示は容易ではない実態を考慮し、「表示方法」に関する課題の解決案を提示するなどして実行可能性を検討している段階です。

  1. 切替え産地を列挙する『可能性表示』
    A国産、B国産又はC国産の原料を使用する可能性がある場合
    ⇒原料原産地名:A国又はB国又はC国
  2. 「国産」・「外国産」又は「輸入」といった『大括り表示』
    A国産、B国産又はC国産の原料を使用する可能性がある場合
    ⇒原料原産地名:外国産
  3. 輸入中間加工品の 『加工地表示』
    A国で加工した中間加工品(原料の産地は不明)を使用する場合
    ⇒加工地:A国

ここまでは、今年3月に発表された内容のとおり進んでいると言えます。

韓国とオーストラリアの表示制度


 検討会の資料を定期的に確認されている方にとっても目新しい情報となるのは、海外の原料原産地表示制度ではないでしょうか。輸出の際に、特定の食品もしくは特定の原材料を使用した場合に原産国表示が必要となるケースはありますが、輸入食品を含めほとんどの食品に横断的に原産地表示を義務付けしている例は、少ないと言えます。輸出や進出を検討する方はもとより、今後の日本の制度がどのようになるのかをイメージするうえでも大変参考になる情報だと思いますので、概要をまとめてみます。

韓国

例1)漬け白菜70%[白菜98%(国産)、食塩2%]、大根(国産)、…
例2)○○チョコレート[白砂糖、植物性油脂(なたね油 オーストラリア産、パーム硬化油 マレーシア産)、混合粉ミルク(輸入産)、ココアパウダー、ピーナッツバター]、…

引用:韓国における加工食品の原料原産地表示制度(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/pdf/160613_shiryou2.pdf

 「配合比率上位3位までの原料(※配合比率98%を基準に分岐あり)」を対象とする等、数値基準が日本の原料原産地制度と大きく異なります。また「商品名に強調表示した原料」も対象とする点や、「原産地が更に頻繁に変わる場合等は「外国産」と表示可」、「海外加工の中間加工品を使用した場合、中間加工地(原産国)を表示」など、今回の検討会の案どおりに改正された際のイメージとして参考になるかと思います(実際の商品は韓国語ですが)。

オーストラリア

<表示例>

(図:カンガルーロゴの下に帯グラフ(目盛図)、“60%”など国産原料使用割合の表示)

引用:オーストラリアにおける原料の原産地表示制度(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/pdf/160726_shiryou2.pdf

 マークにより国内産原料の使用割合を視覚化している点が特徴です。優先食品にはこのマークによる表示が義務づけされ、非優先食品(調味料、菓子等)には原産国(製造国)表示が義務づけられます。主要原材料がオーストラリア産で、かつ製造過程も全てオーストラリアで行われる食品には、「Product of Australia」など、オーストラリアで実質的な変更が加えられ、かつ生産・製造コストの50%以上がオーストラリアに起因する食品には、「Made in Australia」など、国産原料使用の度合いを表示する制度であることが分かります。

原料原産地制度の目的


 原産地表示拡大に賛成の方もいれば、実際に拡大した際の実行可能性に困っている方もいるなど、同じ食品関連事業者とはいえ、様々な立場があります。今後の事業計画を考えるうえで、やはり大切なことは「目的」を再確認することだと思います。
 韓国は、「農産物、水産物又はその加工品等に対して、適正かつ合理的な原産地表示をさせることで、消費者の知る権利を保障し、かつ、公正な取引を誘導することによって生産者と消費者を保護すること」。オーストラリアは、「より明確で、矛盾のない、有益で確認が容易な食品の原産国表示を提供することにより、消費者が購入する食品について、個人の嗜好に沿って、より多くの情報に基づいた選択ができるようにすること」。
 そして日本の、今回の検討会で確認された目的は、「原料原産地表示は、消費者が食品を購入する際の合理的判断に資するために、消費者への正確な情報提供を行うもの。表示により安全を担保するものではない」です。
 今回の検討会の行く末に気をもむだけでなく、今後ますます進む国際社会において自社の食品表示をどのように考えればよいのか、そのヒントになる情報を得るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

参照:加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/kakousyokuhin_kentoukai.html
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