海外への輸出と食品表示

By | 2014年12月1日
Pocket
LINEで送る

overseas2

2014年12月13日より、EUにて新しく改正された食品表示の規則(EU No.1169/2011)が適用されます。今年に入ってから主にEUを拠点とするグローバル商品の容器包装表示の変更作業が増え始め、秋までには流通在庫を切り替えるという会社が多くありました。

また日本から海外に輸出する食品についても、その表示方法の変更に伴い、製品規格書など情報管理の見直しをされた会社も多かったことと思います。そこで今月のコラムでは、表示制度の異なる海外に輸出する際の食品表示について、注意点などを簡単にまとめてみました。

よくある表示ミスの傾向を知る


日本国内に輸入される食品にも表示違反があるように、日本から海外に輸出される食品にも、現地で表示違反とされることがあります。表示違反の事例はインターネットで検索すれば見つけることができますが、ここでまず、どんな表示にミスが生まれやすいのかついて知っておくと防止策を検討しやすくなると思います。

商品が国内に入るときに違反になるものと、国内に入って流通してから違反になるものとありますが、多くは「表示にない添加物(使用基準を満たしてない)の検出」ではと思います。ついで「表示にないアレルギー物質」「表示方法の不備」など、その内容を分類することができます。こうしたミスの多くの原因は、制度に関する確認不足もあると思いますが、それ以上に資材管理不十分などによるコンタミネーション(混入)が想定され、背景として「各国によって表示制度や使用基準が異なること」があるかと思います。米国FDAのサイトでは輸出元の国別に違反事例を知ることができますので、参考になるでしょう。

日本と海外の制度の違いを知る


海外の表示制度や使用基準について詳細を確認する方法についてですが、それにはまず日本の食品表示制度と、新しい食品表示基準の設置に伴って生じるいくつかの変更点(アレルギー表示方法の変更、栄養成分の表示方法の変更等)について知ることが大切だと思います。そのうえで海外の表示制度について知ることで、その違いをより比較しやすくなるでしょう。

現在の輸出先国の制度をいきなり知るのもよいですが、その前にお薦めしたいのが、冒頭に触れたEUの新しい食品表示制度(EU No.1169/2011)とその変更点について知ることです。やはり最近改正された規則であることと、関わる対象国の多さが第一の理由です。日本とEUの制度を比較してその違いを把握し、そのうえで他の輸出対象国の制度について確認することができれば、情報管理のうえで様々なケースを想定できるようになり、食品表示のミスを防ぐことに役立つのではと思います。

表示方法の違い、表示項目の違い


そのEUの制度を例に、具体的にどのような違いがあるのかについてあげてみます。

まずアレルギーの表示方法についてですが、EUでは原材料の最後にまとめて表示する方法(一括表示)は認められていません(日本では認められています)。アレルギー物質は各原材料名の箇所に個別に記載することになるのですが、その際に太字や斜体、下線など強調した表示方法が必要になります(日本では認められていません)。また添加物の扱いも異なるため、香料や酵素の表示方法も異なります。さらに実務上で慎重な対応を求められるのが、表示項目自体の違いです。これらは、商品規格書の項目の違いから確認することができます。

例えばアレルギー表示の場合、日本では小麦は表示対象ですが、大麦やライ麦は表示対象ではありません。ですがEUではグルテンを含めばこれらも表示対象になります。その他マスタードや貝類など、日本国内で流通する規格書にない項目のものが該当します。このように、輸出時にはトレーサビリティの情報管理対象に追加する必要があるものがある、という点に注意が必要です。EUから日本への輸入時に、規格書のコンタミネーションの欄に豚肉やりんごの項目自体がないなどの理由でヒアリングが必要になりますが、輸出時にはその反対のことが起こりうるということです。

事前の確認作業時間を十分に確保する


表示方法や表示項目の違いにより、その確認作業に時間がかかるものもある、という点にも留意しておくことは大切です。例えば栄養成分表示のうち糖類(Sugars)など、日本では表示義務ではないことから、表示値をすぐに設定すること自体が難しいものもあります。こうした点を確認するには、まず対象国内で流通する商品の規格書をもらうことが手早いでしょう。そこから情報管理対象の違い(と制度の違い)を想定できますので、必要な作業とその準備時間についても検討しやすくなるかと思います。

最後に、十分な準備と十分な確認により表示のミスを少しでも減らすことも大切ですが、調理方法やお召し上がり方の表示など、なるべく現地の方にも分かりやすい表示にすることに時間をかけることも大切です。海外への対応作業は大変ですが、互いの食文化を理解できる機会になるなど、仕事の楽しみにできればと思います。

参照資料:食品安全関係情報詳細(食品安全委員会)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03491280305


Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です