新しい食品表示制度をめぐる最近動向

By | 2013年10月7日
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今年6月に成立した食品表示法(以下、「新制度」)について最近の動向をお伝えしたいと思います。

新制度の目的と範囲


新制度は「消費者の権利」として、「消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会」を確保し、また「消費者自身の利益の擁護・増進のための自主的かつ合理的な行動」といった消費者の自立的な活動の支援を基本理念に、その実現に大きな役割を果たしている食品表示の制度整備として、これまで、食品衛生法に基づく表示基準や品質表示基準、栄養表示基準と複数の表示基準に定められていた「食品」、そしてこれまで酒税法の範疇に含まれていた「酒類」の表示を一元的に整備することを目的としています。

 

適格消費者団体による差止請求権


また、新制度の検討の際に行われた食品表示一元化検討会では、課題に含まれておらず、閣議入りおよび成立時に加えられた内容として、「適格消費者団体による差止請求権」というものがあります。

これは直接の被害者ではない消費者団体(現在、11団体が適格消費者団体と認められています)が個人個人にかわり、事業者の不当行為を訴える制度として2007年に消費者団体訴訟制度が始まった際に規定されたものです。ただこれまで、強引な勧誘や不当な契約、つまり金銭的・健康的なトラブルに対して行われたものが多く、表示のミスをこれまで差し止め請求が行われたトラブルと同様に扱う、つまり消費者の利益を直接的に損ねるものと判断することが可能かその線引き(どこまでが不意のミスかどこからが虚偽の表示、また消費者の利益を直接損ねる表示となるか)が今後求められる課題になると考えられます。

(8月22日に行われた消費者安全専門調査会においても、食品の安全・衛生を損ねる商品に関しては回収を命じることができますが、表示違反に関しては改善命令・指示はできます。しかし回収命令の規定はありません。)

個別品質表示基準の扱い


これは、先々月から先月にわたって行われた「食品表示法に係る説明会」の質疑応答の中で行われた解説のため、確定しているものではありませんが、個別品目の品質表示基準を将来的になくす可能性を示唆しています。

現在、「品質表示基準」には、共通的に適用される表示基準と品目個別に定められる表示基準があり、例えば「マヨネーズ」を例にした場合、加工食品に共通する「加工食品品質表示基準」と品目個別の「ドレッシング類品質表示基準」の両方の基準を満たす必要があります(図をご参照ください)。そのため、品目によって表示のされ方が変わるなど、事業者と消費者ともに混乱を招いてきたのではないかとの指摘があっての発言であると考えられます。

ただし、例えばソーセージにおいては「でん粉」が比較的多く含まれる場合はその含有量を示す必要があるなど、食品の品質向上や、消費者の商品選択に寄与していた部分があり、単純にただ撤廃すれば良いというものでもなく、現在50近くある個別の表示基準を共通ルールの中に盛り込むのであれば、却って事業者側の混乱が増すことになり、これも解決にはつながりません。
実際に実施するとなると、現行の表示方法との両立を求められることになるかと考えられます。

両方の基準を満たす必要があります

参照資料
食品表示法、第26回消費者安全専門調査会 議事録、FOOCOM「食品表示・考」

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